ジュエリー見聞録 宝石史研究家・山口 遼さんの解説で、素晴らしいジュエリーとその見どころをお届けします。
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大胆なモチーフをパヴェセッティングでリアルに
解説/山口 遼(宝飾史研究家)
ジュエリーのデザインの中で、動植物のデザインというのはかなり多く、この連載でも何度も取り上げてきましたが、今回のショパールの新作の指輪、デザインがカバというのは初めてです。見たとき正直、唸りましたね。
見た目はずんぐりむっくりして可愛いのですが、結構獰猛(どうもう)、これをジュエリーのデザインに取り入れるとは、大胆です。これは今年(2025年)のカンヌ国際映画祭、世界のセレブリティが練り歩くレッドカーペットと呼ばれる催しで、その際に発表された新作ハイジュエリーからの一点です。
作りも大胆です。全身をダイヤモンドで埋め尽くし、目にはオニキス、体の一部にはピンクのガーネットを埋め込んでいます。パヴェと呼ばれる技法で、石畳のように石が密集して埋め込まれ、留めるための爪がほとんど見えません。しかも全身が曲線のみ、平面でも難しいパヴェを曲面でこれまでに仕上げるのは大仕事です。
カバの全身を覆うダイヤモンド、ちょっと不思議な色合いをしているのにお気づきでしょうか。灰色のダイヤモンドで滅多に使われないもの、さらに、ほとんどがクローズドセッティングになっています。これはセットしたダイヤモンドの裏面を、広く開けて光線を通すのではなく(これをオープンセッティング、またはアジュールと呼びます)金属で覆ってしまう作りをいいます。そうしますと裏面からの光が入らなくなり、全体がくすんだ色合いになります。この指輪、そうした色合いがリアルで雰囲気が出ていますよね、見事なものです。
Chopard ショパール
「レッド カーペット コレクション」の新作より。共同社長兼アーティスティック・ディレクター、キャロライン・ショイフレが愛してやまない動物を愛嬌たっぷりのリングで表現。リング(WG×グレーダイヤモンド計17.38ct×オニキス計0.15ct×ガーネット計1.9ct)1936万円(参考価格)/ショパール
●お問い合わせ/ショパール ジャパン プレス
TEL:03(5524)8922