ジュエリー

『ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧』展 ブルガリが東京で見せた新たな美の形

2025.12.08

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東京・国立新美術館で開催中の『ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧』は、日本における同ブランド史上最大規模を誇る展覧会として多くの人々を魅了してきました。

ヘリテージ キュレーター ディレクターが語る、本展覧会のもたらす意味

約350点を超える圧巻の展示に見られるブルガリのジュエリーの歴史を、ブルガリ ヘリテージ キュレーター ディレクターのジスラン・オークレマンヌ氏のお話とともに振り返ってみると、ローマという街がいかにブルガリにとって特別な存在であるか、ということがわかります。

「ローマの街並みは、さまざまな色彩をまとった建物のファサードが澄み渡る青空に映え、日常そのものが豊かな色に包まれています。地中海独特の大胆で鮮烈な色の世界は、ブルガリが長年にわたり培ってきたジュエリーの美学そのものであり、サファイアの深いブルー、濁りのないエメラルドグリーン、炎のようなオレンジのシトリンなど、石そのものが持つ力を最大限に引き出す“ローマの色”は、ブランドの根幹に息づいているのです。

そして私たちほど、色彩をふんだんに使っているメゾンは、ほかにないと自負しています。 1つの作品にたくさんの色を使うということは、一歩間違えれば、ちぐはぐな印象になってしまいますが、どうすれば宝石の色同士がハーモニーを生み、美しい形になるのかということを、私たちは長い歴史の中で探求してきました。ブルガリにとっては色彩こそが芸術的な言語であり、それを宝石というジュエリーによって表現しているのです」

3章構成の展示それぞれに、色彩とジュエリーの関係を紐解く傑作が

3章構成に分かれた展示では、第1章で色彩の科学的アプローチ、第2章で色彩の文化的・象徴的側面、第3章では金属における色と光の関係が紐解かれています。


「第1章で皆様にお伝えしたかったのは、色彩というのは、科学的に過去2世紀にわたって研究されてきたのだということ。色には原色と、原色を混ぜてできる色があり、それらが混ざりあうことでさまざまな色が生まれますが、そうした色彩によるコントラスト効果は、科学的なアプローチによって作られているということをジュエリーが証明してくれます。《バングル》ゴールド、プラチナ、ルビー、サファイア、ダイヤモンド 1954-55年 ブルガリ・ヘリテージ・コレクション

《バングル》ゴールド、プラチナ、ルビー、サファイア、ダイヤモンド 1954-55年 ブルガリ・ヘリテージ・コレクション

この章で登場する作品の中でも私がとりわけお気に入りなのが、こちらの「ビブ」ネックレスとイヤリングです。このボリューム感、そして多様な色彩の石を織り交ぜたカボションカット、イエローゴールドとの組み合わせも本当に美しいですよね。これは1968年に、アメリカ人のコレクターのために作られたもので、1990年にブルガリファミリーが買い戻しました。ブルガリのヘリテージ・コレクションとして最初に買い戻したもので、ブルガリ家としても、この価値を知っていたに違いありません。《「ビブ」ネックレス》《ペンダント イヤリング》 ゴールド、プラチナ、エメラルド、アメシスト、ターコイズ、ダイヤモンド 1968年 リン・レブソン旧蔵 ブルガリ・ヘリテージ・コレクション ©Barrella Studio Orizonte Gallery

《「ビブ」ネックレス》《ペンダント イヤリング》 ゴールド、プラチナ、エメラルド、アメシスト、ターコイズ、ダイヤモンド 1968年 リン・レブソン旧蔵 ブルガリ・ヘリテージ・コレクション ©Barrella Studio Orizonte Gallery

1940年頃に作られたシトリンのブレスレットは、非常に貴重なもので、私が本展覧会の中でも特にお気に入りのジュエリーの一つです。1940年代といえば戦時中ですから、遠い国から貴石を運ぶことは非常に難しかったわけですが、本当に質のよい半貴石のシトリンが入手でき、この素晴らしいブレスレットが完成しました。《ブレスレット》1940年頃 ゴールド、プラチナ、シトリン、ダイヤモンド  ブルガリ・ヘリテージ・コレクション

《ブレスレット》1940年頃 ゴールド、プラチナ、シトリン、ダイヤモンド ブルガリ・ヘリテージ・コレクション

第2章に展示されているエリザベス・テイラーの愛用したエメラルドのネックレスも素晴らしいです。エリザベス・テイラーは宝石のコレクターとしても有名で、ブルガリ兄弟とも親しい関係にありました。彼女は単に宝石を好んだだけでなく、どういった場で、どのように身につけるかということも知り尽くしていたエキスパートです。ブルガリのアイコニックな色彩のジュエリーを愛してくれた人がいたということは、ブランドの信頼の証でもあります。
《ネックレス》 プラチナ、エメラルド、ダイヤモンド 1962年頃  エリザベス・ テイラー旧蔵 ブルガリ・ヘリテージ・コレクション

《ネックレス》 プラチナ、エメラルド、ダイヤモンド 1962年頃 エリザベス・ テイラー旧蔵 ブルガリ・ヘリテージ・コレクション

第3章のメッセージは、“すべてのものは、光に触れている“ということです。ブルガリの創業者であるソティリオ・ブルガリ氏は、もともとは銀細工の職人でした。 そこからゴールドをはじめいろいろな素材に製作の幅を広げていきました。光は銀だけでなく、ゴールド、しかもゴールドといっても、ローズゴールドやホワイトゴールドに触れたときにも生まれ、そこにダイヤモンドなどを合わせることでも生まれ、美しく変化する――歴史の中で紐解かれた光と色の関係を表現します。

今回の展示の総まとめ的な意味合いで展示したのが、私も特にお気に入りのソートワール・ネックレスです。ブルガリの持つクラフツマンシップ、石のカッティングの技術、コンバーチブルでネックレスからブレスレットに変えられるという遊び、すべての傑作的要素がここに凝縮されています。《コンバーチブル・ソートワール=ブレスレット》ゴールド、アメシスト、ターコイズ、シトリン、ルビー、エメラルド、ダイヤモンド 1969年頃 ブルガリ・ヘリテージ・コレクション ©Barrella Studio Orizonte Gallery

《コンバーチブル・ソートワール=ブレスレット》ゴールド、アメシスト、ターコイズ、シトリン、ルビー、エメラルド、ダイヤモンド 1969年頃 ブルガリ・ヘリテージ・コレクション ©Barrella Studio Orizonte Gallery

色彩とは、どの文化にも共通する普遍的な言語です。 さらに、これは過去と現在を繋ぐ橋でもあり、日本とイタリア、そしてアートやクラフツマンシップと技巧、ジュエリーを繋ぐ橋でもあります。是非皆様それぞれの感性で、長い橋を渡ってきた色彩・文化・技巧について感じとっていただけたらと思います」

本展覧会も、まもなく終盤を迎えようとしています。一度行かれた方も、まだの方も、ブルガリが長い歴史の中で紡いできた色彩の美の世界を、改めて体感しに訪れてみませんか?

『ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧』
会期:2025年12月15日(月) まで
会場:国立新美術館 企画展示室2E
時間:10時~18時(毎週金曜・土曜は20時まで。最終入場は閉館の30分前まで)
入場料:一般2300円

●お問い合わせ 
電話 050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会ホームページ
https://www.bulgari.com/ja-jp/stories/kaleidos-exhibition

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