ジュエリー見聞録 宝石史研究家・山口 遼さんの解説で、素晴らしいジュエリーとその見どころをお届けします。
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パヴェセッティング技術の見事さが見どころ
解説/山口 遼(宝飾史研究家)
様々な色石の使い方で知られるイタリアのポメラートの最新作。このネックレスと指輪の見どころは色石だけではありません。ダイヤモンドを密集して埋め込む技術、普通にはパヴェと呼ばれる技術こそ、このジュエリーの最大の見どころです。
ネックレスの方は長楕円形の輪を縦横に交互に繫ぎ合わせた普通のものに見えますが、非常にボリュームがあり、単純に輪を繫いだだけでは上から見て凹凸が出るのを防ぐために、小さな三角形のパーツを挟むという凝ったもの。しかも全体として首の後ろ側に向かって、少しずつ細くなっている恐ろしく手の込んだものです。
このぼってりとした金の表面が見えないほどに密集して小粒のダイヤモンドを埋め込む、もちろん石を留めるには小さな金の爪があるのですが、それがほとんど見えない、真っ白に見えますよね。これはパヴェの技術としても最高のもの、ポメラートの見事な技です。
指輪の方は、色石で名高いポメラートの個性が見事に出た作品。同じブルーでも色合いの異なるタンザナイトとジルコンを同時に用いたもの、しかも全体が左右異なる非対称というデザイン、二つの色石がダイヤモンドの海に浮かんでいるとでも言いましょうか、表面がすべてダイヤモンドで埋め尽くされています。このパヴェの技術、平面でも難しいのですが、これは全て曲面、金の爪があるはずなのですが、全く見えない。その代わりに色石を留めるための爪はデザインとして鮮明に見えるようになっています。色石も見事ですが、作る技術もさらに素晴らしい傑作です。
シグニチャーであるフォルサチェーンのボリュームをアレンジ
カボションカットとファセット入りのティアドロップ。対照的な2つのアクアマリンが存在感を放つ。「アクアマリンドリーム」ネックレス(RG×アクアマリン計53.93ct×ダイヤモンド25.38ct)6789万2000円 「デュエット」リング(RG×タンザナイト8.45ct×ジルコン18.28ct×ダイヤモンド4.33ct)1623万6000円/ともにポメラート
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