ジュエリー見聞録 宝石史研究家・山口 遼さんの解説で、素晴らしいジュエリーとその見どころをお届けします。
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日本人の好みを熟知した、軽やかさを感じる作品
解説/山口 遼(宝飾史研究家)
素晴らしい色のエメラルドと、さまざまなカットのダイヤモンドとを組み合わせたシンプルなジュエリーの3点セット。こちらの和光の最新作は、全体に小ぶりで、それでいて端正な迫力がある、決して大きな宝石を使っているわけでもなく、凝り固まったデザインのものでもない。デザインとしてはむしろ単純かもしれない、しかし美しい、すぐにでも着けてみたくなりませんか。日本の女性の体つき、好き好み、服装を熟知した人の作ったジュエリーだと思います。
使われているのはダイヤモンドとエメラルドだけ。ダイヤモンドのカットがユニークで、普通のバゲットカットの石の四隅を丸く仕上げており、合計で62面のカット面を持ち、縦長の形で、ブリリアントカットの石を二つ並べたような効果があります。このカットは前世紀末にニューヨークで開発されたもので、古代インドの王の名前を取ってアショカと呼ばれています。
この3点セットのジュエリーを見て感じるのは、軽さでしょう。宝石をたくさん使っていながら変な重量感がない、軽さを作っているのがデザインの隙間です。石と石とを密集させずに隙間を開け、そこに金属だけのパーツを差し込んでいます。指輪が一番よく分かりますよ。それによってなんとも言えない、言ってみれば風通しの良い軽みのあるジュエリーが生まれました。見事なまでにデリケートなデザインと作り、いかにも日本のジュエリーと言えます。
「WAKO」が手がける気品ある美しさを放つネックレス
アショカダイヤモンドと、磨き上げた鏡のような地金そして、希少なエメラルドが互いの輝きを引き立てて。「ASHOKA KYO」ネックレス4180万円(Pt×ダイヤモンド計19.17ct×エメラルド計9.23ct) ピアス880万円(Pt×ダイヤモンド計2.29ct×エメラルド計1.29ct) リング(Pt×ダイヤモンド計2.91ct×エメラルド1.06ct)990万円(すべて11月発売予定)/すべてWAKO
●お問い合わせ/和光
TEL:03(3562)2111