ジュエリー

葉やつるの自然な柔らかさを繊細に描き出した「ブシュロン」のジュエリーに注目

2025.07.10

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ジュエリー見聞録 7月 宝石史研究家・山口 遼さんの解説で、素晴らしいジュエリーとその見どころをお届けします。前回の記事を読む>> 連載一覧へ>>

同じ形の葉や蕾は一つもないリアルな表現が美しい

解説/山口 遼(宝飾史研究家)

大小さまざまな葉のデザインを繫ぎ合わせたブシュロンのネックレス。活き活きと生い茂る葵の葉がモチーフです。このネックレスを見た時、最初にふっと感じるのは、なんとも言えぬ柔らかさというか、金属の持つ冷たい硬さが感じられないのです。

使われている葉も花の蕾も、同じ形のものは一つもありません。ひらきかかった蕾や、先端が枯れ始めた葉なども、実にリアルに表現されています。この金属部分の加工は、ロストワックスという技術で作られたものなのです。


これはモチーフを精巧にできる技術で、簡単に言いますと、熱して溶かした金属を、ワックスを使って作り出した型に流し込んで成形するものです。そうすることで、金属を叩いたり火で繫ぎ合わせたりするものよりは、はるかに一貫性のある柔らかさが特徴の作品ができます。

しかしこのネックレスのように、全く違うデザインを延々と、一個ずつワックスを削りながら作り、且つ葉脈を透かし細工で表現することは、時間と手間がかかるものです。そこを断固としてやったのがブシュロン。しかもすべてのデザインの上に、びっしりとダイヤモンドをパヴェ状に埋め込むという、これまた気の遠くなるような作りをしています。まあ、グランメゾンならではの執念の塊と言えますよ。

全体が真っ白になる単純さを救っているのが、8石並んだザンビア産のエメラルドです。比較的新しい鉱山のものですが、透明感のある見事な緑色のエメラルドを8石も揃えて見つけるあたり、さすがブシュロンですね。

「ブシュロン」が表現した写実的な自然の美 よじれたつると葉を丁寧に模したオープンワークの繊細さに注目
19世紀、葉をモチーフにした作品がブシュロンの主流を占めていた時代に誕生した「モーヴ(葵)」よりインスピレーションを得たネックレス。繊細なオープンワーク(透かし細工)で、“ありのまま”の葉脈を表現。「モーヴ」(WG×Pt×ダイヤモンド×エメラルド8石計19.63ct)5億5968万円(予定価格)/ブシュロン

●お問い合わせ/ブシュロンクライアントサービス
TEL:0120-230-441

この記事の掲載号

『家庭画報』2025年07月号

家庭画報 2025年07月号

撮影/栗本 光

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