〔特集〕職人技、石について深く識る もっとジュエリーを愛するために トップジュエラーたちが大切に継承し続ける、伝統の手技。そして、美的価値を高める稀少なジェムストーンへの徹底したこだわり。高度なジュエリーメイキングには、たゆまぬ努力がひそんでいるもの。秘められた舞台裏をのぞき見れば、よりジュエリーに愛着がわくはずです。
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【石を知る】
ジュエリーの価値を高めるこだわりの素材選び。メゾンの美学とは?
壮麗な「バード オン ア ロック」ブレスレット(Pt×YG×モルガナイト×ピンク サファイア×ダイヤモンド)すべて参考商品/ティファニー(ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク)
Tiffany & Co.(ティファニー)
クンツ博士にまつわる歴史ある宝石[クンツァイト]
ライラック色の宝石、クンツァイトにその名を残した学者、それがジョージ・フレデリック・クンツ博士。宝石学の偉人です。
1876年、彼は20歳の若さで大胆にも「ティファニー」の創業者チャールズ・ルイス・ティファニー(当時64歳)に面会を申し入れ、上質なトルマリンを見せて買い取ってもらいます。チャールズは彼の鑑識眼に惚れ込み、やがて副社長という破格のポストを用意して彼を迎え入れたのでした。
こうしてジョージは世界各国を旅し、ティファニーのために最高の宝石を追い求めました。最もよく知られているのはモルガナイトの発見。彼は淡いピンクの新種のベリル(緑柱石)を、銀行家J・P・モルガンにちなんで命名しました。
モルガンは一大宝石コレクターでもあり、その収集にはジョージもひと役買っていたのです。
また、彼はまだ世に知られぬアメリカ原産の宝石にも情熱を注ぎ、モンタナ州のサファイアやミシシッピ川の天然淡水真珠などを次々と紹介。さらに「カラット」を宝石の重量を表す世界共通の単位として広めることにも寄与しました。
宝石にすべてを捧げた、稀有な人生を送った人だったのです。
左・タンザナイトはティファニーが名づけた宝石。「アウルオン ア ロック」ブローチ(Pt×YG×タンザナイト×ターコイズ×ラピスラズリ×ダイヤモンド) 右・名作「バード オン ア ロック」ブローチ(Pt×YG×クンツァイト×ピンクサファイア×ダイヤモンド)
(次回へ続く。
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