〔特集〕職人技、石について深く識る もっとジュエリーを愛するために トップジュエラーたちが大切に継承し続ける、伝統の手技。そして、美的価値を高める稀少なジェムストーンへの徹底したこだわり。高度なジュエリーメイキングには、たゆまぬ努力がひそんでいるもの。秘められた舞台裏をのぞき見れば、よりジュエリーに愛着がわくはずです。
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【技を知る】
メゾンの傑作に尽くされた熟練した職人による“超絶技巧”を見る
完成したブローチ(YG×ダイヤモンド)参考商品/ブチェラッティ
BUCCELLATI(ブチェラッティ)
レースのような繊細さが美しい[チュール]
かつてイタリア産のレースは、ヨーロッパ諸国の王侯貴族にとっては宝石同様の垂涎の品。なかでも軽やかに透ける金糸のレースは憧れの的でした。
1920年代、ブランド創業者のマリオ・ブチェラッティもレースに魅せられ、金細工でその繊細な美を再現すべく、限界に挑んだといわれます。
そして誕生した“チュール”は、圧延したゴールドのプレートに手作業で小さな穴を開け、さらに糸ノコで切り抜いて透かし模様を描き出すというもの。
デザイン画をゴールドのプレートに転写して直径0.5ミリほどの穴を開けます。
これによって装飾パターンがいにしえのレースのように浮かび上がります。
糸ノコで模様を切り抜く気の遠くなるような作業。
今もなお機械に頼らずに仕上げる難易度の高い技は、賞賛に値します。
(次回へ続く。
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