〔特集〕職人技、石について深く識る もっとジュエリーを愛するために トップジュエラーたちが大切に継承し続ける、伝統の手技。そして、美的価値を高める稀少なジェムストーンへの徹底したこだわり。高度なジュエリーメイキングには、たゆまぬ努力がひそんでいるもの。秘められた舞台裏をのぞき見れば、よりジュエリーに愛着がわくはずです。
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【技を知る】
メゾンの傑作に尽くされた熟練した職人による“超絶技巧”を見る
「ジョゼフィーヌ」コレクションより“フィル・クトー”を駆使した「エグレット アンペリアル」ネックレス(WG×ダイヤモンド)4092万円(参考価格)/ショーメ
Chaumet(ショーメ)
宝石の存在感を強調する魔法[フィル・クトー]
創業以来、王侯貴族のために2000を超えるティアラを作り続けてきたという「ショーメ」。
20世紀初頭には当時の最先端をゆく素材、プラチナを駆使した“フィル・クトー”の技で、新世紀にふさわしい優雅なヘッドジュエリーを仕立て、人々を魅了しました。
“フィル・クトー”を用いたジュエリーの20世紀初頭のデッサン。
“フィル・クトー”はナイフエッジという意味のフランス語。その名のとおり、ナイフの刃のように薄くプレスしたプラチナで宝石の石座をつなぎます。すると薄いプラチナの刃は存在感を消し、輝く宝石だけがあたかも宙に浮いたかのように連なって見えるのです。
宝石を留める前に石座を調整。
ナイフの刃のように薄いパーツが石座をつないでいます。
デリケートな細工に向くプラチナならではの技でしたが、現代のショーメはこれをホワイトゴールドでも実現。ナポレオン1世の皇后ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネに捧げたコレクションでは“フィル・クトー”によって軽やかなラインを描き出しています。
ショーメの技は代々のアトリエマスターたちによって連綿と受け継がれ、現在は13代目となるブノワ・ヴェルルが職人たちを率いています。彼は、これまでの職人たちが研鑽を積み、磨いてきた技を未来につなぐという重責をも担っているのです。
(次回へ続く。
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