ジュエリー

「カルティエ」が宝飾界のパイオニアである理由。時代を先取りしたパンテール

「ジュエリーの真髄」を知る 第7回(全14回) 美術館や博物館で観るような歴史的な芸術品から、日々を彩る日常使いの輝きまで……。美しいジュエリーには、夢や希望を与え、人々の心を潤す圧倒的な力があります。学び、愛で、そして楽しむ。ジュエリーの真髄を知れば、私たちの人生はもっと心豊かなものになることでしょう。前回の記事はこちら>>

そのハイジュエラーたる理由
Cartier(カルティエ)── 時代の先駆者

カルティエ

強く、しなやかに生きる女性たちの輝けるアイコン
コーラルとオニキスのビーズと無邪気に戯れるかのようなパンテール。写実的なポーズでありながら女性の手首にフィットする造形力は、名門メゾンならでは。赤と黒のカラーコントラストとパンテールの組み合わせは、最もカルティエらしいデザインの一つ。「パンテール ドゥ カルティエ」ブレスレット(WG×コーラル×オニキス×エメラルド×ダイヤモンド)2508万円(参考価格)/カルティエ(カルティエ カスタマー サービスセンター)

新たなステージへと導く強い牽引力を持った宝飾界のパイオニア

「カルティエ」は1847年に創業し、時代をリードするさまざまなスタイルを創出してきた稀有な存在。とりわけ忘れてはならないのは、20世紀の初めにおける目ざましい活躍です。

ダイヤモンドの輝きを引き立てる新しい素材として、プラチナをいち早く取り入れたガーランド・スタイルを確立。ベル・エポック期の上流社会を席巻しました。

リリーストマッカーブローチ

プラチナとダイヤモンドで繊細な花綱(ガーランド)を表現したリリーストマッカーブローチ。1906年製作。Nils Herrmann, Collection Cartier © Cartier

そして1914年、顧客へ送られたカルティエの展示会への招待状には、パンテールのイラストが。

パンテールのイラスト

1914年のカルティエ展示会への招待状には女性の足もとにパンテールの姿が。著名なイラストレーター、ジョルジュ・バルビエが描いたもの。© Cartier

このモチーフはその後さまざまなジュエリーに取り入れられ、自立した勇気ある女性を象徴するアイコンとなりました。人生を自ら切り拓くアール・デコ期の女性たちは、パンテールの凜々しく優雅な姿態に自分自身を見たのです。

そしてネコ科動物の動きを巧みに写し取る徹底した写実性は、ジュエリーをアートの域にまで高めました。

サファイアにパンテールが乗ったウィンザー侯爵夫人旧蔵のクリップブローチ

152.35ctのサファイアにパンテールが乗ったウィンザー侯爵夫人旧蔵のクリップブローチ。1949年製作。Vincent Wulveryck, Collection Cartier © Cartier

同時期に発達した鉄道や船舶により、はるか東方からもたらされたコーラルの印象的なあしらいにも人々は息をのみました。赤と黒は当時のグラフィックデザインで効果的に用いられたカラーコントラストでした。

コーラルビーズを用いたブレスレット

彫刻したコーラルビーズを初めて用いたブレスレット。クラスプのパンテールモチーフが斬新。1930年製作。© Cartier

カルティエが20世紀に生み出したジュエリーは、どれも時代を先取りし、新たなステージへと人々を導く先鋭的なものばかり。今もこのメゾンは流行を追わず、流行に先駆けて女性たちのあるべき姿を示しているのです。

カルティエ ブティック

ラペ通りに構えた本店は現在改装中。 F.Hammod © Cartier

【1847年創業 創業者:ルイ=フランソワ・カルティエ】
●カルティエ ブティック パリ ラペ通り13番地[13 Rue de la Paix Boutique]
13, Rue de la Paix, Paris,France
●カルティエ 銀座ブティック
東京都中央区銀座2-6-12 TEL:03(5159)3200

撮影/Fumito Shibasaki〈DONNA〉 スタイリング/阿部美恵 取材・文/本間恵子

『家庭画報』2022年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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