ジュエリー

スペシャリストに聞いた!価値あるジュエリーは“希少性”と“注目度”で決まる

2026.09.29

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〔特集〕心躍る至高のハイジュエリー 選び抜かれたジェムストーン、尽きることのない創造力、そして至芸ともいうべきサヴォアフェール……。気の遠くなるほどの時間と技巧を凝縮したハイジュエリーは、神々しいまでの美を放つ宝石の芸術です。メゾンの傑作を集めた心高鳴る世界へとご案内します。

・特集「心躍る至高のハイジュエリー」の記事一覧はこちら>>>

オークション・ハウス「クリスティーズ」に学ぶ、真に価値あるジュエリーとは?

私たちにときめきや歓びをもたらしてくれる、ハイジュエリー。その価値は、希少性と注目度で決まります。今、手に入れるべき宝石とは?ジュエリーとは? 長く宝飾品のオークションに携わるスペシャリスト、クリスティーズのヴィッキー・セックさんに伺いました。

オークションの歴史を塗り替えるジュエリー

2026年5月、香港で開催されたクリスティーズのオークションで、“ザ・エテリアル・ジェイド(天上の翡翠)”と名付けられたネックレスが、過去10年間で最高額となる2億20万香港ドル(約40億円)で落札され、話題を集めました。

大粒・極上の翡翠を連ね、クラスプにイエローダイヤモンドをあしらったネックレスは、落札予想価格を遥かに上回る高額で落札され話題に。

「近年再び、オークションで注目されている翡翠ですが、特にこのネックレスは、翡翠そのものの鮮やかな色合いや透明度に加え、61粒のすべてが一つの原石から削り出されたものであることでも注目を集め、翡翠への関心が高い中国をはじめアジア全土のお客様がプレビューに足を運びました。ジュエリーの世界に45年以上携わっている私の経験のなかでもベストな逸品だったと言えるでしょう」と、クリスティーズ・アジア・パシフィック宝石部門チェアマンのヴィッキー・セックさん。


オークションで高い評価を得るジュエリーとは、どのようなものでしょうか?

「オークションに出品されるジュエリーは、オークションが開催される前に専門家によって一点ずつ“エスティメート”と呼ばれる落札予想価格がつけられます。これは宝石の純粋な評価額であり、たとえばダイヤモンドであれば何カラットでどんなカラー、クラリティ、カットであるかであり、著名なジュエラーのものであってもノーブランドのものであっても評価は変わりません。さらに、オークションに参加されるお客様の判断材料となる情報……手がけたジュエラーや年代、持ち主が著名人であったなど……が添えられ、オークションでお客様がそこに付加価値を見出すと、落札価格が予想額を大きく上回ることになるのです」

今、注目すべき宝石のムーブメントは?

石そのものの価値が高いのは、どのような宝石なのでしょうか?

「ダイヤモンド、ルビー、ブルーサファイア、エメラルドのいわゆるプレシャスストーン(貴石)以外でこのところ人気を集めているのはパライバトルマリン。スピネルやピンクサファイアも注目度が高い宝石です。こうした宝石は、ただ流行っているからというのではなく、予算に見合ったクオリティであるかどうかを判断して選ぶことをお勧めしています」

ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドと並び、需要が高まってきているパライバトルマリン。

多彩なカラーバリエーションをもつサファイアにおいては、近年、ブルーだけでなくピンクも人気。

長く愛し続けられる“心の価値”を大切に

高額で落札されるジュエリーには、宝石そのものの価値以外の要素も。

「たとえば熟練の職人が何千時間もかけて仕上げた、といった点は落札予想価格には含まれません。それを評価し高値をつけるのはお客様。同様に人気ブランドの人気コレクションであることも、“欲しい”と感じるお客様の心が生み出す価値なのです。ブランドの歴史や技術、芸術性は世界的に高い信頼を得ていますし、アイコンといわれるコレクションには、それぞれに著名なコレクターがいて市場に出れば流動性が高く付加価値がつきやすい。一方でハイジュエリーは作られる数が少ないので、常に手に入れたいと考えている人が存在します。ジュエリーの価値は、そんな需要と供給のバランスから生み出されると考えるとよいでしょう」

ハイジュエリーを購入する際には、次の世代へと引き継ぐことのできる資産としての価値があるかどうかも頭をよぎります。

「ジュエリーは金や株式といった純粋な資産とは異なり、まずはご自身が身につけたいかどうかを基準に選ぶべきだと考えます。大きな一粒石のジュエリーがよいのかデザイン性の高いアイコニックなブランドジュエリーがよいのかも、あなた次第。たくさんの宝石やジュエリーをご覧になって審美眼を磨くことはもちろん大切ですが、最終的にはその方がお好きで長くつけられるものを選ぶことが、その方にとっての価値あるジュエリーとなるのではないでしょうか」

ブルガリを象徴する“セルペンティ”。ネックレス、ピアス、リング、ブレスレットがセットで出品されたこともオークションでの高い評価に繫がった。

色彩豊かな貴石を贅沢に配したカルティエの“トゥッティフルッティ”のネックレス。激しい入札競争の末、6777万5000香港ドル(約13億円)で落札された。

20世紀を代表するアーティスト、ジャン・シュランバージェのデザインを受け継ぐティファニーの“バード オン ア ロック”は近年、注目度が再上昇。

ブチェラッティのブローチに施された高い金細工技術は、オークション・ハウスが提示したエスティメートに付加価値をもたらし評価された。

エメラルドのミステリーセットであることも評価されたヴァン クリーフ&アーペルの“バレリーナ”クリップ。



クリスティーズの次回宝飾オークションは、2026年11月24日に香港にて開催。上は出品予定の2.70ctのブラジル産パライバトルマリンのリング。(Kaji Mitsuo) URL:https://www.christies.com/

(次回へ続く。この特集の一覧はこちらから>>)

この記事の掲載号

『家庭画報』2026年10月号

家庭画報 2026年10月号

取材・文/清水井朋子 撮影協力/クリスティーズ

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