
アルビオンアート・コレクションの真髄から
監修・文/山口 遼(宝飾史研究家)
現在、ルビーやサファイア、エメラルドといった貴石の取引価格は、数年前より非常に高くなっているといわれます。そのような宝石を用いたハイジュエリーがいかに価値あるものか、読者の皆様ならおわかりいただけるかと思います。そもそもの美しさや資産性の高さに加え、こうしたジュエリーを所有するということは、装飾芸術という文化を守ることにも繫がります。世紀を超えて私たちに美と感動をもたらしてくれる名品と出合い、所有する喜びを、ここにお届けします。
◆このページでご紹介したジュエリーはホテル The Okura Tokyoロビーフロアのアルビオンアートで実際にご覧いただき、ご購入いただけます。↓お問い合わせ先はこちら↓
長い間、宝石商をやっていて、最も悩まされるお客様からの質問は、価値あるジュエリーとは何をいうのか、というものです。こんな金額を払う価値があるのか、持っていたら値上がりするのか、孫子の代になって売れるのか。
では、使用価値のあるジュエリーとはどんなものでしょうか。これは簡単、あなたがぜひ使ってみたいと思われるジュエリーです。人間は動物です。動物にはカン、つまり第六感というものが備わっています。ピンとくるという言葉がありますよね。どんどん見ていって、ピンとくるもの。それがあなたに似合うジュエリーです。他人がごちゃごちゃいうのは無視してください。自分のカンを信用して買うべきです。
加えるならば、こんなことをいう宝石商からは買ってはいけません。
1・この宝石は近いうちに値上がりします。
2・これは社長が現地に行って仕入れてきたから安いのです。
3・まもなくなくなる宝石です。
4・このジュエリーは売れます、儲かります。
さて、問題は交換価値、つまり売りたいという場合です。ややこしくなるのは、いくらでもいいから売りたいというわけではない、できるだけ高く売りたい、できれば買値よりも高くならないか、と思われることです。それは普通ではなかなか難しい。皆さんが買われて、散々使い、それを処分したら儲かる、つまり買値よりも高く売れる、そんな商品はあるでしょうか? 自動車、きもの、家具、衣類、ハンドバッグ。どれをとっても売買差益が出るものは少ない。ジュエリーも同様です。ただし商品によっては、楽に売れる、あるいは買値よりも高く売れるかもしれない場合もあります。使用価値があり、交換価値もあるジュエリーについて、考えてみましょう。
一番わかりやすいのは、いわゆる「ブランドもの」です。ブランドというのは、買うときにお客様が自己判断をしなくてすむもののこと。つまり、このブランドなら宝石に間違いがない、作りがしっかりしている、買った後のサービスが間違いない。そういったことをお客様が心配しなくてよいもののことです。お客様が無条件で信頼できるブランドは、今、世界中を見渡しても、おそらく10軒に満たないかも知れません。
それ以外では、「アンティーク」。昔作られて、数多くのお客様に使われてきたものの中には、今見ても復元できない技術や、今では採れない素晴らしい宝石を使ったものがあります。しかし、これには売り手の信頼の問題があり、素人判断ではなかなか難しい。新しいジュエリーを買う場合よりも、ずっと専門知識が必要です。
さらに、使われている「素材」。つまり宝石自体が素晴らしいもの。使われている素材の価値を認めるものですから、この場合、その宝石について海外のしかるべき鑑定業者の書類がついていることが絶対条件です。国内の業者がつけている、もっともらしい鑑定書、鑑別書、保証書などは全く意味がありません。
宝石業者があなたのジュエリーについて判断するときは、好き嫌いではなく、それを再販売できるかという視点で決めます。売れないと思うものは買いません。そう考えると、交換価値のあるジュエリーは少ない。ましてや、素人が売買で儲けようなどということは、ほとんど不可能です。ただ、ジュエリーがほかの商品よりも有利なのは、売買差益はさほど得られなくとも、ほかのものよりは比較的高く売れるということです。例えば10年使ったロールス・ロイスと、10年使った10ctのダイヤモンドを比べれば、おわかりいただけると思います。
儲かる、つまり最初から売買差益を得るためにジュエリーを買うことだけは、おやめになることです。売買差益を得られることは結果ではありえても、目標にすることはおすすめしません。ジュエリーとは、あくまで自分で使って楽しむもの。楽しんだ後で、もしかしたらお金になるかもしれない、それだけでも十分素晴らしいのではないでしょうか。
今回は、こんなジュエリーが日本にあるのかと驚かれるものをご紹介します。価格にも驚きますが、これらが日本にたどり着くまでには、アルビオンアートの大変な努力があります。どうかこのまま日本にいてもらいたい、私はそう願っています。

[1]は驚嘆すべきネックレス。エメラルドとダイヤモンドをシンプルに連ねたもので、フランス語でリヴィエールといいます。河、川という意味ですが、これは使われている宝石の凄さだけで見る人を圧倒します。古いブリリアントカットのダイヤモンドを大小、少しずつグラデーションしながら並べ、その間にステップカットのエメラルドを挟んでいます。私の知る限り、これに類するネックレスは見たことがないですし、世界のオークション市場にもここしばらく出ることはないでしょう。不思議なのは、こうしたジュエリーにつきものの来歴、つまり誰がいつ頃作らせたのか、誰が使っていたのかということが全くわからないのです。突然現れ、日本にやってきた。お値段も凄いですが、とにかく息をのむ、もの凄いジュエリーです。この美しさをしかとご覧ください。

[2]はダイヤモンドの指輪。カリブルカットで作ったエメラルドの海に浮かんでいます。技術的に凄いのは、中央のダイヤモンドを留める枠に打たれたミル打ちと呼ばれる装飾。これは力を込めて金属を打ちますから、ダイヤモンドを入れたまま打つわけにはいかないのです。ダイヤモンドが割れてしまいますから。どうやって作ったのか、なんとも不思議な作品です。おそらくベル・エポックと呼ばれた20
世紀初頭のフランスのものでしょう。
◆このページでご紹介したジュエリーはホテル The Okura Tokyoロビーフロアのアルビオンアートで実際にご覧いただき、ご購入いただけます。↓お問い合わせ先はこちら↓

[3]はルビーのブローチ。釣り鐘をデザインしたものでしょうか、ルビーの周りと直線部分にはすべて精密なミル打ちが施されています。このルビーが凄い。世界で最も権威ある研究所が、非加熱ルビーの中で最高とされるピジョンブラッド――鳩の血という意味――の判定を下した宝石なのです。世の中にはピジョンブラッドと称するルビーがたくさんあるようですが、ほとんどは自称にすぎません。2カラツトを超える大きさで、しかるべき機関がその鑑別を出したもの、これが重要です。

最後の[4]は、ビルマ産の非加熱ルビーを使ったブレスレット。小さなダイヤモンドを埋め込んだ細い線を使い、オープンワークで繫いだ繊細なデザインのもの。重厚ではなく、むしろ意図的に軽くしたデザインが面白いのです。1900年前後のベル・エポック時代におそらくフランスで作られたものですが、この頃の女性の上着は袖の長いものが一般的でしたから、袖の隙間からちらりと見えるこの輝きはさぞかし人目を引いたことでしょう。
いかがでしょうか。ハイジュエリーの極みともいうべき、価値あるジュエリーの数々。これほどの宝石を使った作品がアルビオンアートにあるということは、まだあまり知られていません。その美しさ、資産価値、文化を支えるということ。あなたの人生を豊かに彩る名品中の名品がここにあります。
このページでご紹介したジュエリーはホテル The Okura Tokyoロビーフロアのアルビオンアートで2026年10月末日まで展示中です。実際にご覧いただき、ご購入いただけます。
■お問い合わせ
アルビオンアート
The Okura Tokyo
プレステージタワー5階
担当:大野
電話:03-6738-8100(受付時間:10時~18時/不定休)
住所:東京都港区虎ノ門2-10-4
監修・文/山口 遼(宝飾史研究家) 撮影/栗本 光