Discovering the True Value of High-End Jewelry 今こそ知りたいハイジュエリーの価値 類いまれな宝石の価値やその芸術性で人々を魅了し、身につける喜びや、時に次代へと継承していくことのできる資産性までも与えてくれる、ハイジュエリー。その価値は、希少性と注目度で決まります。今、手に入れるべき宝石やデザインを、長く宝飾品のオークションに携わるスペシャリストに伺います。
未来へと継承したい四大貴石
将来的に高い資産価値が期待できる宝石の条件には、大きさ等の希少性の高さに加え、日常使いに適した硬度や、無処理であることなどが挙げられます。家庭画報が厳選したダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドのジュエリーを、「ジュエリーアドバイザー アンド ギャラリー」代表の原田信之さんの解説とともにお届けします。
Diamond(ダイヤモンド)
【Graff】センターに11.53ctのエメラルドカット ダイヤモンド、左右のショルダーに各0.26ctのテーパードバゲットカット ダイヤモンドをあしらったリング。レソト王国産のDカラーフローレス、タイプ IIaという最高グレードで、透明感は格別。リング(Pt×ダイヤモンド) 参考商品/グラフ(グラフダイヤモンズジャパン TEL 03-6228-7732)
美しさの決め手は透明度。希少性の高いレソト産の「タイプ IIa」カット、カラー、クラリティ、カラットのいわゆる“4C”が評価の基準となるダイヤモンドですが、4Cのグレードが同じでも、その美しさは一粒一粒で異なります。美しさを左右する決め手は、透明度。特に大粒のファンシーシェイプは透明度によって美しさの差がはっきりつきます。
「タイプ IIa」と呼ばれるダイヤモンドには、窒素などの不純元素をほとんど含まず、特別に透明度の高いものが存在します。天然ダイヤモンド全体の1~2%と希少性が極めて高く、資産としての評価に繫がります。かつてはインドのゴルコンダ産に多く見られましたが、現在ではアフリカのレソト王国が大粒の「タイプ IIa」ダイヤモンドの産地として注目されています。
Ruby(ルビー)
【Boucheron】主役は4.16ctのモザンビーク産の無処理(加熱の痕跡を認めず)のルビー。メゾンのアーカイブにも残る、古くから健康と子孫繁栄の象徴とされる麦の穂のモチーフをシャンクにあしらうことで、メインストーンをより印象深く。「ブレ」リング(WG×ルビー×ダイヤモンド)1億3464万円(予定価格)/ブシュロン(ブシュロン クライアントサービス フリーダイヤル 0120-230-441)
2009年春から市場に登場したモザンビーク産が台頭ルビーは産地の格が残酷なほどに明確で、ビルマ(現ミャンマー)のモゴック鉱山から産出されるルビーが最も格が高い扱いを受けています。ビルマ産のルビーは鉄分が少なく特有の美しい赤で、それ以外の地域とは評価に格段の差があるのですが、残念ながらモゴック鉱山の産出量は少なくなる一方で、価格も高騰。
また、国際的な人権基準や倫理的調達の観点からビルマ産を取り扱わないジュエラーも出てきています。そんな中、ビルマ産に近い美しさの石も採れるとして救世主となっている産地がモザンビーク。原石の形からフラットなものが多いのが特徴です。特に無処理のモザンビーク産ルビーは、将来的にも高い資産価値が期待できるとされています。
Sapphire(サファイア)
【Tiffany & Co.】オーバルシェイプの11.15ctのマダガスカル産・非加熱のブルーサファイアの周囲をダイヤモンドのラインで囲むことで、深みのあるブルーの色合いがひときわ鮮やかに。リング(Pt×サファイア×ダイヤモンド)1億3040万5000円/ティファニー(ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク フリーダイヤル 0120-488-712)
第四の勢力となったマダガスカル産に注目を“青の宝石”として人気のサファイアは、これまでカシミール、ビルマ(現ミャンマー)、スリランカが三大産地とされてきました。しかし、カシミールは約100年前にすでに採掘が終了しており、現在市場に出回るケースは、持ち主が手放したことでかつて別のジュエリーにセットされていた石が還流された場合に限られます。ビルマ産、スリランカ産も数が減っているので非常に高値です。
そこで注目したいのが、マダガスカル産のサファイアです。1998年に大規模な鉱脈が発見され、現在では世界のサファイアの20%以上を占める重要な産地となっています。三大産地と見間違えるほどの美しさと多様性があり、無処理の個体も少なくないことから、将来的な価格上昇が見込まれる、非常に有望な産地だといえるでしょう。
Emerald(エメラルド)
【Chaumet】コロンビア産1.56ctのペアシェイプ・非加熱のエメラルドを、あえて尖った先端が下向きになるようにセット。深みのあるグリーンが上品な、指に纏う小さなティアラを思わせるデザインで、手もとを華やかに。「ジョゼフィーヌ コレクション エグレット アンペリアル」リング(Pt×エメラルド×ダイヤモンド)2079万5000円(参考価格)/ショーメ(ショーメ TEL 03-5635-7057)
オイルや樹脂の含浸が少ないコロンビア産の価格が高騰エメラルドの産地はコロンビア、ザンビア、ブラジルで、それぞれ色の濃さと大きさに違いがあります。深く柔らかなグリーンで透明度が高いものが多いことから、おすすめはコロンビア産。ただしエメラルドにはクレオパトラの時代から天然の傷や亀裂を目立たせず石の透明度や光沢を高めるために、オイルや樹脂を含浸する処理が施されてきました。
コロンビア産もほとんどのエメラルドに施されていますが、スイスのSSEF(スイス宝石学研究所)やGübelinGem Labなどで最も軽度な含浸(Minor)と鑑別されたものはプレミアがついて取引されます。無処理のコロンビア産は本当に希少なので、無処理にこだわるならザンビア産という選択肢もあります。
Nobuyuki Harada(原田信之)1983年「諏訪貿易」入社。宝石バイヤーの傍ら、ジュエリーのプロデュースも担当。2017年、所有しているジュエリーの活用方法をアドバイスする「ジュエリーアドバイザー アンドギャラリー」を設立。宝飾品のプロへのアドバイスも行う。
この記事の掲載号
『KATEIGAHO JOURNAL(家庭画報 ジャーナル)』
2026年9月5日発行号(非売品/Free)

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