ジュエリー見聞録 宝石史研究家・山口 遼さんの解説で、素晴らしいジュエリーとその見どころをお届けします。
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創始者の思いと匠の技が成す唯一無二の金加工
解説/山口 遼(宝飾史研究家)
ジュエリーのデザインや作りが、最もユニークなのはイタリアです。この大きなバイオレットトルマリンを見事な金細工でしっかりと取り囲んだ指輪と、レースのような透かし細工が美しいペンダントトップは、ミラノに本店を構えるブチェラッティの新作。一言で言えば、実にクラシックなジュエリーです。
ブチェラッティは二十世紀の初め頃に創業してから今日まで3代、一族の手で盛業を続けている宝石商です。創始者のマリオは、数多くのイタリアの宝石商に混ざっての新たな出発に際して、ルネッサンス期の豪華な衣装やテキスタイルから着想を得たデザインを選びました。デリケートなダマスク織、繊細なヴェニスのレースなどに見られる、当時の衣装ならではの流れるような模様を取り入れたのです。
その思いは、この指輪にも顕著に表れています。バイオレットトルマリンを留める爪と、その下の指を通す部分の流れるような金とホワイトゴールドの表面の装飾をよく見ると、マリオが硬い金属を使いながら布の柔らかい質感を表現しようとしていたことがわかります。
薄い金の板の表面に、織物の持つ軽快さと複雑な文様を表現するため、彼は特別な工具まで作りました。ブチェラッティのジュエリーは全ての面に職人が彫金を施し、細かく光を受ける装飾に仕上げられています。写真上のペンダントトップも、ヴェニス特産のレースから着想を得たのでしょうか。ダイヤモンドを取り巻くホワイトゴールドの表面には精密な加工が施されています。この繊細な表面加工こそがブチェラッティの特徴です。見事ですよ。
BUCCELLATI
上・計113個ものダイヤモンドが華やかに煌めくペンダントトップ。チェーンを外せばブローチとしても、活躍します。ネックレス(WG×YG×ダイヤモンド計5.84ct)2618万円 下・ユリを模した爪にセットされた天然のバイオレットトルマリンが輝きを放つリング。宝石を取り囲むように、葉が連なる装飾とリガート彫刻(多数の細い線を平行に彫る技法)が交互に施されています。リング(WG×YG×バイオレットトルマリン31.6ct×ダイヤモンド計1.16ct×エメラルド計0.15ct)4042万5000円/ともにブチェラッティ
●お問い合わせ/ブチェラッティ
TEL:03(4572)4561