日本人デザイナーの感性が息づくアメシストの優美なジュエリー


カボションの宝石(アメシスト)で花や果実を瑞々しく表現
「これほど透明で純粋な紫色はほかの宝石にはありません」とアメシストを称えるのは、デザイナーの穐あき原はらかおるさん。カボションのアメシストを用いた3点は透明感も着け心地も秀逸。右・オーバル形のアメシストを横向きにセットした花が愛らしい。ブローチ(アメシスト×Pt×ダイヤモンド×デマントイドガーネット)418万円 中・ぶどうの自然な立体感を出すため、色や大きさが異なるアメシストを緻密に組み合わせている。ブローチ(アメシスト×YG×Pt×デマントイドガーネット×ダイヤモンド×サファイア)825万円 左・アメシストの紫が際立つ逸品。リング(アメシスト×Pt×ダイヤモンド)300万円/すべてギメル

アメシストの可能性を広げる多彩なデザイン
「アメシストの紫は上品。大きな石でも普段づかいできるのもよさですね」と話すのは、“100年愛されるジュエリーづくり”を信条とするデザイナーの植田嘉恵さん。右・クッションカットのアメシストが主役の2WAYジュエリー。ペンダントヘッド兼ピンブローチ(アメシスト×WG×ダイヤモンド)110万円 中・原石の形を生かして制作された鳥は唯一無二。ブローチ(アメシスト×YG×Pt×アクアマリン×ローズクオーツ×ベリル×ダイヤモンド)220万円 左・キキョウの「花脈」も繊細に表現。ブローチ(アメシスト×YG×Pt×ダイヤモンド)198万円/すべてウエダジュエラー(ウエダジュエラー帝国ホテル店)

アメシストを巡る旅
きっかけは小石川植物園の江戸花菖蒲「寛政」との出合いでした。アメシストそのままの美しい青紫色の花に感動し、「アメシスト本来の価値を呼び戻したい」という積年の思いに火が着きました。そして、気づけば、アメシストを巡る旅、その魅力をより深く知るための旅に出ていたのです。
宝石界では一般に「貴石」と呼ばれるダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドが珍重されています。貴石の条件は、希少性が高く、耐久性に優れ、美しいこと。
アメシストは希少性と耐久性では貴石に及びませんが、美しさにおいては決して引けを取りません。貴石と同じく“地球が生み出した尊いカケラ”のみが持つ深遠な美を備えているうえに、紫という色が悠久の昔から「高貴な色」として、人々を引きつけてやまないからです。
そして、その真の美しさは、宝石に携わる者たちが地球の恵みへの敬意と情熱を持って向き合ってこそ引き出され、人々の心に響き、受け継がれ、価値を持ち続けるのです。
連載を通じて、いろいろお伝えしてきましたが、実際にアメシストを選ぶ際はひとまず知識は脇に置いて、ご自分の感性に従って手に取ってみてください。「宝石とは身につけて心地よさを感じ、自分を守ってくれるもの」とは、60年以上、宝石とともに生きてきた私の持論です。皆さんがご自分の感性に導かれ、そんな逸品と出合えることを願ってやみません。
(諏訪恭一・談)
諏訪貿易会長
諏訪恭一さん(すわ・やすかず)1942年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業。65年米国宝石学会(GIA)宝石鑑別士の資格を取得(日本人第1号)。諏訪貿易会長。国際貴金属宝飾品連盟色石委員会副委員長、国際色石協会執行委員などを歴任。2022年国立科学博物館特別展『宝石 地球がうみだすキセキ』監修。『決定版 宝石』(世界文化社)、『価値がわかる宝石図鑑』(ナツメ社)、『知っている人は得をしている宝石の価値』(新潮新書)、『日本人の指輪100年』(世界文化社)など著書多数。
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