ジュエリー見聞録 宝石史研究家・山口 遼さんの解説で、素晴らしいジュエリーとその見どころをお届けします。
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サファイアとエナメルの共演はメゾンが誇る職人技の結晶
解説/山口 遼(宝飾史研究家)
地中海の海や空を思わせる鮮明なブルーが特徴のショーメの最新作は見事な色合いのサファイアとエナメルのグラデーションが素晴らしい。マダガスカル産サファイアは約10カラット。さらに、この作品を印象づけるエナメルの秘密を紐解いてみましょう。
ブルーの「グランフー エナメル」。これだけの色の移り変わりは、一回だけのエナメル加工では出ません。グランフー エナメルとは、高熱で焼成する技術で、綺麗に削り上げた金属の表面に、まず白色のエナメルを焼成し、ブルーの濃淡を出すための数種類の顔料を順番にその上に塗布して、顔料ごとに数回焼成して出来上がるという複雑なもの。手間がかかり、高熱を必要とするために、あまり使いたくない技術、これはショーメの執念といえる作品です。
何とこのジュエリー、羽根の部分を動かすことで、ネックレスとして四種類、さらにブローチとしても三種類に化けるのですよ。変化するのが一つ二つなら珍しくないけれど、合計で七種類というのは、私も見たことがありません。こうした変化するジュエリー、これほどに複雑な作品は珍しいのですが、意外なことに歴史上に時折見ることができます。
理由は簡単、いくらお金持ちでも一つのジュエリーを様々に使えるのは嬉しい。もう一つの理由は作り手である職人さんたちが、“自分はこんなに複雑なことができるのだ”と高度な技を披露する、この二つの理由が重なって、こうしたジュエリーが作られてきたのです。シンプルなネックレスに見えますが、こうした美しい仕掛けが隠れています。長い伝統を持つショーメならではの傑作です。
CHAUMET
自らの翼で自由に羽ばたいてほしいという想いが込められたコレクション「アンヴォル」。エナメルとダイヤモンドで首もとに輝きを。サファイアがトップを鮮やかに彩ります。

翼のモチーフとサファイアは取り外しでき、ネックレスとブローチ(写真)に。「アンヴォル」ネックレス(WG×エナメル×マダガスカル産クッションカットサファイア10.96ct×ダイヤモンド)1億2980万円(参考価格)/ショーメ
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