〔特集〕生誕100年記念企画 森 英恵──美しく生きて 若くして才能を開花させ、東京、ニューヨーク、パリを拠点に活躍した、ファッションデザイナーの森 英恵さん。愛する家族と仕事のため、全力で生き抜いた森さんは、亡くなった今もなお、後をゆく私たちの道を照らしてくれる存在です。生誕100年記念の大回顧展も開催中の今、その凜として美しい人生を振り返ります。
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未来へ受け継ぎたい「ヴァイタル・タイプ」という美学
「ヴァイタル・タイプ」とは、30代半ばの森さんがファッション誌『装苑』に綴った新しい女性像を表す言葉です(記事後半参照)。生き生きと生命力に溢れる女性、それは森さんそのものでした。美しいものを生み出し続けながら、しなやかに生きた森さんが『家庭画報』に残した言葉はどれも強い信念が感じられます。
森さんの言葉は『家庭画報』2001年1月号、6月号、2008年1月号、2010年8月号、2011年8月号、2022年11月号より抜粋。右は、森さんが「デザイナー人生を一緒に走ってきた」と話す真珠の品々。ハートのブローチは自身がデザインし、夫の賢さんが贈ってくれたもの。ゴールドにアコヤ真珠のボタンはお客様のための特注品。一つ一つに思い出が宿る。
「服を作り続けて、スタジオで死ねたら本望よ」
「美しいと思うものは生きている仲間。嬉しいときも悲しいときもすべてを吸い取ってくれます」
「美しいってことは才能よ」
「過去は振り返らない。明日を夢見てファッションの素晴らしさをいつも信じていたい」
「さまざまな肌の色や目の色、髪の色の人種が混在する西洋人は他との“違い”を知り、アピールすることがとても上手です。私たちも“違い”というものをコンプレックスではなく“個性”ととらえ、どう生かすかを訓練することが必要なのでは」
「まろやかで神秘的に輝く真珠は、奥ゆかしい日本人の象徴のよう。受け継ぎたい日本の美意識が宿っているもの」
豊かな黒髪を幅広のカチューシャでまとめた髪型がトレードマークだった森さん。「いつも走っている感じ」と話すほど多忙な毎日を送っていたが、佇まいは常にエレガント。仕事の合間のわずかな時間にいただくお茶とお菓子が「気分転換と糖分補給になります」と教えてくれた。
いろいろなものを飾りたて、それを美しいとする時代はすぎ去りました。こういうとぎすまされた生活感覚のなかでは生き生きと生命力に溢れ、敏捷げに目を光らせた女性が美しく見えるのです。そんな魅力を持った女性を「ヴァイタル・タイプ」と名づけてみました。「ヴァイタル(Vital)」とは、生命力のある、とか、活気のある、とかいう意味です。──森 英恵 1961年
森 英恵(もり・はなえ)1926年島根県生まれ。1951年にアトリエと店舗を兼ねたスタジオ「ひよしや」を設立。1954年より数百本もの映画の衣裳をデザイン。1965年にニューヨークで海外初のショーを成功。1977年に東洋人で初めてパリ・オートクチュール組合の正会員となり、2004年まで毎シーズン新作を発表。プレタポルテや制服、ライフスタイル関連商品のデザインも手がけた。2022年に永眠。
生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ

森さんの生誕100年を記念した大回顧展が国立新美術館で開催中です。圧巻の展示400点が語る、偉大なるデザイナーの美意識とものづくりのすべてをご覧ください。
会期 : ~2026年7月6日(月)
会場 : 国立新美術館(東京都港区六本木7-22-2)
休館日 : 毎週火曜
開館時間 : 10時~18時(毎週金・土曜は20時まで。入場は閉館30分前まで)
お問い合わせ(電話):050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://morihanae100.jp(
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