革新的で洗練されたデザインで、世界のセレブリティを魅了している「ロジェ ヴィヴィエ」。そのクリエイティブ・ディレクターを務めるゲラルド・フェローニ氏に、すべて1点もので構成されたラグジュアリーなコレクションについて、春の東京でお話をうかがいました。
繊細な手仕事で華やかで幻想的なアニマルが誕生。左「スプランディド・ジラフ」974万1600円、中「エクラン・アルジャンテ」885万3900円、右「ジラフェット」797万600円
ジュエリーのように煌めく11点のバッグ
とんでもなく美しく、バッグ界の常識を覆すコレクションが、2026年春に誕生しました。
ロジェ ヴィヴィエの「アトリエ アニマリエ」。半貴石やメタルの装飾、刺繍やフェザーワーク、ハンドペイントの上にビーズやスパンコールを縫い留めるなど、いくつものアルチザン(=熟練の職人技)を重ね合わせた、11点からなる芸術性の高いコレクション。それぞれ「世界に1点だけ」というスペシャルな構成です。
斑紋は金糸刺繡の上にビーズ刺繡を重ねた贅沢さ。「レオパール・ド・ニュイ」619万9600円

かつてパリ装飾芸術美術館に展示されたアーカイブの靴から着想を得たデザイン。ビーズやクリスタル、羽根を繊細に縫い留めています。「パラディ・ノワール」1062万4900円

ビーズ刺繡に羽根飾りで躍動感も添えて。「ゼブラ・ノクターン」1062万4900円

羽根を緻密に重ねて上品なレオパード柄に。「ゲパール・エレ」1239万5900円
個性が際立つラインナップですが、ブランドの象徴エフロレッセンスバックルは、素材こそさまざまですが、どれにも共通に配されていますね。
「はい。イヴニングバッグで統一したかったので、サイズも同じ『エフロレッセンスジュエルバッグ』で11点、全く異なるアニマルを誕生させました。ロジェ ヴィヴィエのアーカイブにあるレオパードやゼブラなどの動物柄の靴から着想を得て再構築しています」。神話やファンタジーの生き物のように、1つに数種の動物が共存しているような幻想性も素敵です。いったいどのように思いつくのでしょうか。
「とても長いプロセスを踏むんです。デザイン画は私が描きますが、職人たちとやりとりしながら、ここに羽根をつけてみようとか、ハンドペインティングだけでなく刺繍で厚みプラスしようなど。先入観でゴールを決めつけず、熟練たちの技法もダイナミックな扱いで取り入れるが私のスタイルです。メゾンの伝統を新鮮に進化させてゆく、それこそが私の役目ですから。パリとミラノを往復しながら悩むこともありますが、とても楽しい作業です」。
「立体のカーブを細かくつけて身体を支える靴と比べて、バッグは平面積が広いので、装飾の手仕事を盛り込みやすく、また、工程のほとんどをハンドメイドに徹することができます。そんな面白さにのめり込み、宝石のようなバッグを誕生させることができました」。繊細な生命力の煌めきを、匠の技で
ガーデニングが趣味というゲラルド氏は、今回の滞在で日本庭園の美しさにも心奪われたといいます。
「早朝に皇居のまわりを散歩して、日本には信じられないくらい古い木があって、剪定されたり添木で補強したり、そこにも匠の技があるのだろうな、と気が付いたんです。桜の花ひとつとっても、蕾から開花していくまで絶妙に色味を変えていきますよね。生命あるものの“繊細な変化”を愛おしく感じます」。
気さくで朗らかなゲラルド氏。ジュエリーコレクターでもあり、日々のお洒落にネックレスを欠かしません。
美しいものの裏側に、職人の存在を察するゲラルドさんの感性。インタビューに持参した家庭画報のバックナンバーを広げて、日本の様々な伝統――たとえばきものの織りや刺繍は、西洋のものとは少し技法が違うことなどをお伝えすると、
「きもの姿の女性に『アトリエ アニマリエ』を持っていただいても、きっと素敵でしょうね」とゲラルド氏。
「アトリエ アニマリエ」はいずれも同一サイズ(縦13×横19.5×マチ4センチ)。左・「ゼブラ・ボンボン」531万1900円 中・「ティグル・ロワイヤル」442万8600円 右・「ティグレス・フォル」885万3900円
うっとりするほど美しい書籍も編纂

60年の歴史と、時代を超越して今なお魅力的な靴とバッグの数々を掲載
ロジェ ヴィヴィエの膨大なアーカイブを収めた『ヘリテージ&イマジネーション』という美しいビジュアル本も刊行されたばかり。寄稿者にはロジェ ヴィヴィエを長く愛用するカトリーヌ・ドヌーヴやイザベラ・ロッセリーニ、ミショル・ヨーなどの著名人が名を連ねています。
デザイン画など、魅力の“秘密”の一部に触れるような楽しみも。
「大変な作業でしたが、靴の神様ともいうべきムッシュ ヴィヴィエの偉業を伝えたかったのです。私が初めてロジェ ヴィヴィエの靴を目にしたのは、まだ十代の時。本に掲載されたピンクのピンヒールを見て、心を鷲掴みにされました。20年後の自分が、この本に一緒に名を連ねることになるとは、この上なく光栄ですし、感無量ですね」。
ゲラルド・フェローニ●イタリア生まれ。トスカーナの靴職人の家系で育ち、美意識を磨く。ミラノ、パリのトップメゾンでキャリアを積み、2018年からロジェ ヴィヴィエのクリエイティブディレクターに。ガーデニングをこよなく愛し、休日は10匹の猫たちと過ごす。
■お問い合わせ/ロジェ・ヴィヴィエ・ジャパン
TEL:0120-957-940
URL:
https://www.rogervivier.com/