ファッション

究極のエレガンス、ヴァレンティノレッドを継承する、ピンクとブラックの新たな世界

〔迷い世代の服選び〕大人になった“今の自分”に、栄養を与えてくれる服とブランド

気持ちも、体型も変化していく40代以降。大人だからこそ似合う服を知りたいという迷い世代の女性に、スタイリストおおさわ千春さんがおすすめするブランドやアイテムを紹介します。

第30回は、ピンクとブラック、2色だけのコレクション「PINK PP」を発表して話題になったヴァレンティノにフォーカス。時代に合わせて進化しながら「究極のエレガンス」を発信し続けるメゾンを解き明かします。前回の記事を読む>>

第30回 ヴァレンティノの進化するモダン・エレガンス

毎シーズン、すべてのブランドのランウェイをチェックしている私ですが、今季、私にとって、最も衝撃的だったのがヴァレンティノのコレクション。洋服や小物はもちろん、舞台セットまですべてがピンク一色に染められていたからです。後半は、ピンクと対になる色としてオールブラックのルックが登場。今まで、数えきれないほどのコレクションを見てきましたが、ここまで色を絞ったショーは初めてで、「なんてすごい世界をつくり上げたのだろう!」と感激。

クリエイティブディレクターのピエールパオロ・ピッチョーリ。

クリエイティブディレクターのピエールパオロ・ピッチョーリは、「カラーパレットを1色に徹底的に絞り込み、一見すると可能性が狭まったように思われる枠組みの中で、表現の可能性を最大限に広げる」ために、モノトーン(単色)の世界を描き、シルエットとディテールの違いに観客の目を向けさせたのだそう。ピンクといっても甘いピンクではなく、鮮烈なフューシャ色のパワフルなピンクだったのも印象的。そして、ヴァレンティノの提案する「究極のエレガンス」は、時代に応じてモダンに進化し続けているな、と実感したのです。

ヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏創業者のヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏。ローマのコンドッティ通りにあったアトリエでのワンショット。1959年撮影。

そもそも、ヴァレンティノのシグネチャーカラーといえばレッドなのは、皆さんもご存じのとおり。私が「ヴァレンティノレッド」といって思い出すのは、1990年代に10年ほど、パリコレに通っていたときに見た、伝説のスーパーモデルたち――ナオミ・キャンベル、クラウディア・シファー、リンダ・エヴァンジェリスタなど――が、ロッソ(レッド)のドレスを纏って颯爽とランウェイを歩く姿。その赤いドレスの美しさは圧倒的、まさにめくるめく世界でした。

ヴァレンティノオートクチュールはもちろんプレタポルテに至るまで、世界最高峰のクチュリエの技を披露してきたヴァレンティノ。写真は2022-23年秋冬オートクチュールコレクション「Valentino The Beginning」ショーのフィナーレ。ローマ・スペイン広場にて。

クチュールの技法を駆使して作られた洋服は、「究極のエレガンス」を体現しており、素材や色はもちろん、ディテールの一つ一つに至るまでが完璧に計算されている“アートピース”といっても過言ではないほど。

現在、カタールの展示スペースM7では、ヴァレンティノ・ガラヴァーニの90歳の誕生日と、卓越したオートクチュールヘリテージに敬意を表した、メゾン最大のエキシビション「フォーエバー ヴァレンティノ」を開催しているのですが、そこに展示されているアーカイブの一部を、まさに私自身の目で見てきたのだと思うと、感慨深いです。

フォーエバー ヴァレンティノカタールで行われている「フォーエバー ヴァレンティノ」のメインビジュアル。ブランドを象徴する真紅のドレス。エキシビションは2023年4月1日(土)まで開催中。

そして、メゾンに脈々と受け継がれてきた「エレガンス」を、ガラヴァーニの後継者であるピッチョーリがモダンに進化させていく……。ひと針ひと針に愛情をこめて縫い込む伝統的なクチュールの技法はそのままに、表現の可能性を広げながら、最新のモードを生み出していくのがヴァレンティノのすごさだと思います。それでは、具体的に今季のルックをご覧いただきましょう。

モダンなエレガンスを表現した
モノクロームのカラーパレット

ピンクとブラックだけで構成された今季の「PINK PP」コレクション。全身ピンクというところに、ピエールパオロ・ピッチョーリの強い意志を感じました。コレクションではワントーンでしたが、実際はピンクとブラックをミックスさせて着ても素敵だと思います。

「私には、このコレクションが“ピンク対ブラックのせめぎあい”のように見えたのが面白くて。きっと“このピンクに対抗できるのはブラックだけだ”と思って作ったのではないかな、などと想像するのも楽しかったです」。〈右〉透けるボウタイブラウスに、芯地によってフレアシルエットを描き出したボリュームのあるスカート。トップス23万1000円 スカート39万6000円 〈左〉ウールのダブルフェイスのケープタイプのコートは、なだらかな肩の曲線が美しい構築的なシルエット。「両サイドにボウがあしらわれたケープは、マニッシュな装いに合わせても」。コート47万8500円 スカート31万9000円 ニットトップス23万1000円/すべてヴァレンティノ(ヴァレンティノ インフォメーションデスク)

レザーと同色のスタッズが
シックなスパイスに

「PINK PP」コレクションは、小物もピンクとブラックで統一。ヴァレンティノの小物は、エレガンスとモダンさを上手にミックスさせたシックなデザインで、大人が使うのにぴったり。小物が装いの主役になるというよりも、洋服を引き立てるように計算されたデザインだなと思います。

ヴァレンティノ1.レザーで作られた立体的なフラワーモチーフがあしらわれたクラフト感漂うデザイン。バッグ(W27×H13×D6㎝)53万9000円 2.艶やかなパテントレザーにマキシスタッズがアクセント。シューズ(H10㎝)12万1000円 3.キルティングディテールのナッパレザー。アクセサリー感覚で使いたいミニサイズ。バッグ(W13×H9×D6㎝)30万8000円 4.なめらかなラムスキンナッパレザーのホーボーバッグ。A4書類が収納できる大き目のサイズ感で、内側はふたつのコンパートメントに分かれています。バッグ(W40×H30×D12㎝)53万9000円 5.ラムスキンナッパレザーを使用。スライド式チェーンでクロスボディにもショルダーにもなる2ウェイ仕様。バッグ(W19×H14×D11㎝)43万4500円/すべてヴァレンティノ ガラヴァーニ(ヴァレンティノ インフォメーションデスク)

女性らしいのに甘すぎない
シャツタイプのソワレ

プレフォールコレクション「プロムナード」からチョイスしたヴァレンティノレッドのソワレ。細いボウタイやレースとシルクのフリルなど、フェミニンなディテールがありつつ、シャツタイプなので甘すぎないモダンさがこのドレスの魅力。私は、“女性を美しく見せる”ことにかけては、ヴァレンティノのドレスの右に出るものはないと思っていて。パーティなどの華やかな場に出たときパッと際立つし、何より着るとものすごくテンションが上がるんです。私は、女優さんのスタイリングを手がけることも多いのですが、衣装にヴァレンティノを持っていくと、「うわぁ、綺麗ねぇ~」と喜んで、表情も佇まいも一気に変わるんです。そんなとき、やはりヴァレンティノのドレスは、女性の心をとらえる真のエレガンスを宿しているんだなと実感します。

ヴァレンティノボディ部分はシルクを二枚重ねに、スリーブ部分は一枚であえて透けるデザイン。前ボタンで開閉するシャツタイプ。ドレス231万円/ヴァレンティノ(ヴァレンティノ インフォメーションデスク)

ヴァレンティノの服は、裏側までパーフェクトに美しいんです。「うわぁ……こんなところまで綺麗」とうっとりするような服は、「いいものを着ている」という自信を授けてくれます。大人だから似合う「究極のエレガンス」を纏う高揚感を、是非ヴァレンティノで味わってみてください。

●お問い合わせ
ヴァレンティノ インフォメーションデスク
電話 03-6384-3512

おおさわ千春/Chiharu Osawa

スタイリスト。
雑誌のほか、映画の衣装デザインや女優のスタイリングなどを幅広く手掛ける。着る人に合わせた的確なスタイリングやアドバイスは、多くの女優からも信頼を得ている。

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撮影/大見謝星斗 編集協力/湯澤実和子

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