ファッション
2017/11/27
絹糸は京都から取り寄せたものを、基本のステッチフランス刺繍の技法を用いるという、日本とフランスの伝統のクロスオーバーから、石渡さんのジュエリーは生み出されます。
「刺繍のジュエリーは小さな世界観の中に、平面と立体の両方の要素がどちらも入っています」と石渡さん。無数に敷き詰められた黒のフレンチ・ノット(玉ぬいの技法)と銀糸のステッチによって、遠目には平面に見える表情も、目を凝らすと緻密な奥行きに圧倒されます。
糸そのものにも、石渡さんならではのこだわりが。撚りをかけない太めの糸をオリジナルでオーダー。細い糸によるステッチと組み合わせると、躍動感のあるメリハリが生まれるそうです。
石渡さんの作品でとりわけ目を引くのが、2014年から取り組んでいる宇和島産のアコヤ真珠を使ったコレクションです。
海から生まれたままの色と形の美しさにこだわり、それぞれの個性が生きる有機的な作品へと昇華されます。
デザインのインスピレーションソースは、宇和島に実際に足を運んで目に焼きつけた海や空の色、石畳や老舗旅館の建具のモチーフなど、すべて宇和島という土地から得たものばかりです。その作品は、伝統とモダン、洋の東西が融合した不思議な魅力に満ちています。
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石渡さん作品から、おすすめのブローチを紹介© SEKAI BUNKA PUBLISHING INC. All rights reserved.
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