ファッション
2022/12/05
気持ちも、体型も変化していく40代以降。大人だからこそ似合う服を知りたいという迷い世代の女性に、スタイリストおおさわ千春さんがおすすめするブランドやアイテムを紹介します。
第34回は、おおさわさんが学生時代から愛用しているラルフ ローレンをフィーチャー。「そろそろきちんとしたお洒落がしたい!」と思っていたおおさわさんの気持ちに響く服ばかりだったという今回のプレコレクションから春のお洒落のヒントをひもときます。前回の記事を読む>>
「ここにある服、全部好き!」――ラルフ ローレン コレクションのプレスプリングの展示会で、ずらりと並んだ服を前に、思わずつぶやいた言葉。オリーブ、サンド、ライラックというカラーパレットのモダンなサファリルックは、私好みの服ばかり。
なかでも、特に惹かれたのがカーキ×ブラックの色合わせ。迷い世代を過ぎた頃から、ブラックは主張が強すぎると敬遠しはじめ、代わりにネイビーやグレーを愛用してきました。しかし、最近、またブラックを着てみようかなという気分になってきた矢先に出会ったのが、この黒にカーキを合わせるという粋な配色。これが大きなヒントになり、「今、黒を格好良く着こなすには、カーキと合わせればいいんだ!」と膝を打ったのです。
このところ、コロナ禍の影響でカジュアルな服ばかり着るようになっていましたが、「そろそろきちんとした服が着たいな」という気分になっていました。ある時、自分に気合を入れようと、ライダース+シャツ+パンツと、珍しく全身ブラックの装いで出かけたら、とある女優さんから「おおさわさん、黒、格好いい!」と、思いがけず、お褒めの言葉をいただいたのです。私にとっての黒は、「戦闘的な強い色」で、いつもと違う自分に見せたいときに着るカラーだったのですが、もしかすると、年齢を重ねることで増してきた「人としての迫力」を、上手に受け止めてくれる色なんじゃないかと気がついたのです。
この「きちんとした服が着たい」、「黒を着てみようか」という2つの気持ちを、偶然にも同時に満たしてくれたのが、今回のラルフ ローレン コレクションのプレスプリング。「大人に似合うエレガントな日常着」に、旬を感じさせるデザインやカラーを盛り込んだ服は、私をわくわくさせ、背筋がピンと伸びるようなお洒落を楽しんでみたいという気持ちにさせてくれたのです。それでは、私が心を奪われた春のルックを紹介します。
今回のプレコレクションのテーマ「サファリ」を象徴するこちらのルックは、私の大好物! 春一番に着るプレコレクションというとカラフルな色を提案するブランドが多い中、あえてシックなアースカラーを選んだところに、大人ならではの余裕、真のラグジュアリーを感じます。同素材でまとめたこのルックは、そのまま都会で着たいですね。コロナ禍で心も体も緩みがちだったけれど、こういう格好いい服を見ると頑張って着てみたくなるし、「そうそう、私ってこういうきちんとした服をいつも着こなしていたじゃない」と、カジュアル化しすぎた自分をリセットしなきゃ、という気持ちになります。
リネン×シルクのツイル素材を使用したセットアップ+ハット。「リネン素材ならではのシャリ感のある風合いに惹かれます。ジャケットに白いパンツを合わせても素敵ですね」。ジャケット(ベルト付き)32万100円 スカート27万8300円 ハット9万7900円 バッグ「ウェリントン」(横24×縦15×マチ6.5㎝)25万1900円/すべてラルフ ローレン コレクション(ラルフ ローレン)
私の気持ちに刺さった、カーキ×ブラックの配色コーディネートがこちら。黒と同様、カーキも好みの色ではあるものの、フェミニンなスタイルを好んでいた40~50代の頃は“お休み”していました。でも、たまにカーキを着ると、新鮮かつどんなカラーにも合うということで、最近再び気になっている色でした。私にとっては“久しぶり”な、この2色を組み合わせると……大人の迫力が出て格好いい! 年を重ねたからこそ気がついた、色合わせの妙ですね。ちなみに、ルックではブロンズのサンダルを合わせていたのですが、それもまた素敵で。カーキ×ブラック×ゴールドは、最強の大人色コンビネーションだと思います。
深いオリーブのメッシュニット素材に、スネークの型押しを施した黒のレザースカートの組み合わせ。スタイリングはカジュアルで少しハードなイメージですが、レザーなどの高級感ある素材を使うことで、大人だからこそ着こなせるラグジュアリー感のある装いに。「カジュアルリッチなスタイルはこのブランドの得意とするところ。ブロンズのサンダルで、光を加えて華やかさを出すと大人なスタイルに」。トップス19万4700円 中に着ているキャミソール9万1300円 スカート27万8300円 バッグ「ウェリントン」(横20×縦16×マチ6㎝)19万5800円/すべてラルフ ローレン コレクション(ラルフ ローレン)
乗馬をルーツに持つラルフ ローレンらしく、鐙(あぶみ)型のモチーフを取り入れた「ウェリントン」コレクション。イタリアの熟練職人がハンドクラフトで仕上げたバッグは、洋服に美しく寄り添うデザイン。小物を際立たせるのではなく、洋服とのハーモニーを第一に考えているところに、ラルフ・ローレン氏の哲学を感じます。
鐙型バックルの両サイドに“Ralph Lauren”の刻印がさりげなくあしらわれて。「ウェリントン」バッグ〈上〉コットンキャンバスにカーフスキンのトリムを施したデザイン。(横20×縦16×マチ6㎝)19万5800円 〈下〉滑らかなスエード×カーフスキンのコンビが贅沢。バッグ(横24×縦15×マチ6.5㎝)25万1900円/ともにラルフ ローレン コレクション(ラルフ ローレン)
ラルフ ローレンは、私にとって「お洒落の原点」。幼い頃から、母や姉の影響で、「コンサバなキレイめ服」で育ってきた私が、20代前半に夢中になったのがラルフ ローレンです。大学にもツイードスーツを着ていくような学生だったので(笑)、フリンジのついたジャケット、コットンのワンピース、麻のトップスやキレイ色のポロシャツなど、頑張って買っていたのを覚えています。
それ以来、今に至るまで、ラルフ ローレンのことを「素敵!」と思い続けられているのは、“今”をとらえながらも毎シーズン変わらぬコンセプトを貫いているブランドゆえ。だからずっと大好きなんです。数十年前に買ったものと今のコレクションを合わせてもフィットするのは、ラルフ・ローレン氏の確固たる美意識のもと、絶対にブレない軸があるから。アメリカの上流階級のワードローブを提案する世界観に憧れ、私自身の装いのルーツともリンクして、自然と手に取るようになった20代。年齢とともに様々なお洒落を経てきましたが、今、改めてラルフ ローレンを着てみたいと思い始めています。
皆さんには、「原点」となるブランドはありますか? もしもお洒落に迷っていたら、自分のルーツとなるブランドを見直してみると、今の自分に似合う装いのヒントが見つかるかもしれませんよ。
●お問い合わせ
ラルフ ローレン コレクション(ラルフ ローレン)
フリーダイヤル 0120-3274-20
スタイリスト。
雑誌のほか、映画の衣装デザインや女優のスタイリングなどを幅広く手掛ける。着る人に合わせた的確なスタイリングやアドバイスは、多くの女優からも信頼を得ている。
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撮影/大見謝星斗 編集協力/湯澤実和子
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