時計の進化を2世紀早めたと称される天才、アブラアン‐ルイ・ブレゲの偉業

多くの時計師に影響を与えたアブラアン‐ルイ・ブレゲ

ブレゲを代表するコレクションの人気モデルから。1.「マリーン レディ 9518」（18KRGケース、60個のダイヤモンド、ケース径33.8ミリ、ラバーストラップ、自動巻き）478万5000円　2.「トラディション レディ 7038」（18KRGケース、68個のダイヤモンド、ケース径37ミリ、アリゲーターストラップ、自動巻き）523万6000円　3.「クイーン・オブ・ネイプルズ 8918」（18KWGケース、117個のダイヤモンド、ケース縦36.5×横28.45ミリ、アリゲーターストラップ、自動巻き）513万7000円／すべてブレゲ（ブレゲ ブティック銀座）

もし時計の歴史に、ブレゲが存在していなかったら……。ブレゲ創業者、アブラアン‐ルイ・ブレゲは、時計の進化を2世紀早めたと称される天才。今ある時計機構の4分の3は、彼によって発明されたといわれるほどです。


初代ブレゲはスイスのヌーシャテル出身ですが、15歳のときにパリに渡り、本格的なキャリアをスタート。1775年、28歳のときにパリのシテ島に小さなアトリエを開きました。これがブレゲの始まりです。時計師の才能に恵まれていただけでなく、最新の科学や美術にも精通していた彼の作品を、世界各国の王族が絶賛。押し寄せる依頼に、数々の“世界初”で応えました。

時計の精度を安定させるための機構、トゥールビヨンは1801年に特許を取得。それ以外にも自動で時計を巻き上げるペルペチュエル、耐衝撃装置パラシュートなど、ブレゲ考案の機構は、挙げればきりがないほど。

もちろん機構だけではありません。ブレゲ針やブレゲ数字といったダイヤルデザインは、ブレゲ以外のメゾンが採用した場合でも「ブレゲ針」、「ブレゲ数字」と呼ばれます。こうした偉業は、ブレゲだけ。つまり多くの時計メゾンがブレゲをリスペクトしており、ブレゲの影響を受けていない時計師はいないといっても、過言ではないのです。

200年以上変わらないクラフツマンシップ

ギヨシェマシン
時計の文字盤に溝を彫って模様をつけるギヨシェマシンは、創業当時からメンテナンスを欠かさず行い、今も使い続けています。もちろんその操作は手作業で行います。

時計職人
肉眼で確認できないほどの小さなパーツを、拡大ルーペを使い組み立てていくのが時計職人の仕事。この工程で時刻表示の精度が決まるため、非常に重要な作業です。

顧客台帳
ブレゲ社では、創業当時からの顧客台帳をパリのブティック2階のミュージアムに保管。ナポレオン・ボナパルトの名で3つの時計が購入されているのが確認できます。

現代の時計スタイルはブレゲ考案のものばかり

ブレゲ針
時刻を示す時分針の先端を丸くくりぬいたのも、ブレゲのアイディア。現在、コレクションを問わず、ほぼすべてのモデルで、この針のデザインが採用されています。

ブレゲ数字
手で書いたような、丸みのあるアラビック数字は、ブレゲ数字と呼ばれています。ブレゲ以外の老舗時計メゾンもこぞって愛用する、数字インデックスの人気スタイルです。

ギヨシェ装飾
金属製の文字盤に多彩な彫りを施し、美観を整えるギヨシェ装飾は、光の反射を抑える効果も。創業時のギヨシェマシンを使い手作業で行うため一度のミスも許されません。