[天野惠子医師特別取材]今、娘たち世代に伝えたい 女性が健やかに生きるコツ 第1回 日本における性差医療・女性外来の先駆者、天野惠子医師が輝き続ける姿は、私たちのお手本。今回、吉川英治文化賞受賞により、社会的にも功績を認められました。尊敬すべき大先輩が娘たち世代へ、「健やかに自分らしい人生を」とエールを送ります。
天野惠子(あまの・けいこ)さん1942年生まれ。循環器内科医。静風荘病院特別顧問。日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。東京大学医学部卒業。女性外来・性差医療の先駆者としての功績により令和7年度吉川英治文化賞を受賞。
性差医療・女性外来のパイオニアにして“信念の人”
2025年3月、“天野惠子医師が吉川英治文化賞を受賞”とのニュースが飛び込んできました。受賞理由は、「性差医療・女性医療を根づかせたパイオニア」としての功績と、今も臨床に携わる82歳の現役医師であること。周囲が喜びに沸き立つ中、ご本人は感慨深くも、「コツコツやっていれば時代は後からついてくるもの」といたって冷静です。
天野医師は自他ともに認める“信念の人”。子どもの頃に「日本一の医師になる」と掲げた目標は揺るぎなく、日進月歩の医学界において今も勉強の日々を送ります。目の前に、女性医療のさらなる発展、後進の育成などやるべきこと、やりたいことが山ほどあるのですから、生涯現役は当然なのです。
〔歴史ある「第59回吉川英治文化賞」を受賞!〕2025年4月11日、帝国ホテルで行われた贈呈式。男性優位の医学界で医師としての信念を貫き通した半生と、女性外来・性差医療の重要性を明快に訴えた天野医師の挨拶に、会場からひときわ大きな拍手が起こりました。

“伝説の女医”を母に持って──三姉妹が語る天野医師の素顔

吉川英治文化賞贈呈式にて母・惠子さんを囲んで三姉妹が勢ぞろい。前列右から長女・馨南子(かなこ)さん、次女・史子さん、後列三女・京子さん。当時少数派だった働く母の背中を見て育ち、子育てをしながらキャリアを高めてきた同志のような3人。多忙でめったに会えないのが悩みですが、集合すればたちまち楽しいおしゃべりに花が咲く仲よしご一家。
医道を突き進んできた天野医師にはもう一つ、三姉妹の母親としての顔があります。「量より質と割り切って、一緒にいられる時間はとことんべったり。濃密な時間を過ごしました」と話す天野医師。現在、3人とも専門性の高い仕事と子育てを両立しています。目標を持ち夢に向かって努力することの素晴らしさを母から学んだに違いありません。
そんな天野医師にも訪れていた“80歳の壁”。「体の機能が落ちるのは仕方のないこと。だからこそ手直しと調整をして老化を緩やかにする努力が大事です」の言葉どおり、そのライフスタイルは健康な体と脳を保つための知恵と工夫に満ちていました。
「頑張らなければ“100歳で現役”は叶いません」と自らにいい聞かせるように話す天野医師。歩んできた道とその日常から、自信と輝きを保ち続ける秘訣が見えてきました。