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東洋医学

NHKディレクターが予感する統合医療の幕開け。西洋医学と東洋医学の融合で医療の質が上がる

2026.01.28

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〔特集〕ツボ、鍼灸、漢方薬、薬膳のチカラを解明 今、東洋医学の知恵に学ぶ 気・血・水をはじめ独自の概念のもと、鍼灸や漢方薬、薬膳などを用いて治療を行ってきた東洋医学は、長い間「よくわからないけど効く」といった評価を受けてきました。ところが近年、西洋医学の視点から東洋医学が効くメカニズムを解明する研究が盛んです。東洋医学の最新の動きと利点を押さえたうえで、日常で賢く活用する方法をご紹介します。

特集「ツボ、鍼灸、漢方薬、薬膳のチカラを解明 今、東洋医学の知恵に学ぶ」の記事一覧はこちら>>>

東洋医学研究の最前線
“人体の精緻な仕組み” に作用していた! 東洋医学の「効く」メカニズム

山本高穂さん
NHKコンテンツ制作局 チーフ・ディレクター。自然科学や健康・医療分野の番組を中心に制作。『東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム』(共著・講談社刊/1210円)が好評発売中。

科学技術の進歩によって、鍼灸の効果が明らかに

NHKで自然科学分野の番組を制作する中、鍼灸でうつ病を治療する臨床研究が行われていることを偶然知りました。俄然、興味が湧いてきて、2018年から放送を開始した特集シリーズ『東洋医学 ホントのチカラ』の中で漢方薬や鍼灸が効く科学的メカニズムと効果について取り上げると視聴者から大きな反響があったのです。


東洋医学は江戸時代まで我が国の医学の主流であり、現代も数多の人々が活用し、その治療効果を実感するにもかかわらず「なぜ効くのか」は科学的に謎に包まれていました。もちろん、以前から東洋医学のメカニズムの解明に取り組む研究者はいましたが、西洋医学の知見や分析技術が追いついていなかったのです。

ところが近年、科学技術が発展し、神経科学や免疫学の知見を基に人体の精緻な仕組みが明らかになるにつれ、動物実験を中心とした基礎研究によって、鍼灸や漢方薬が効く複雑なメカニズムがわかってきました。

たとえば、鍼(はり)の刺激が手足などの末梢から脊髄(せきずい)、脳を繫ぐ神経ネットワークを駆け巡り、それぞれの部位で神経伝達物質や免疫細胞などを巻き込んで多様な作用を及ぼしているメカニズムが明らかになりつつあります。

さらに、ヒトを対象とした臨床試験も積極的に行われるようになり、どのくらい効くのかということも科学的に示されるようになりました。その結果、疾患ごとに作成される「診療ガイドライン」(科学的根拠に基づき、最適な治療法を提示する文書)で鍼灸が治療法として推奨されることが多くなってきています。

■鍼灸が推奨される主な疾患

  • ◎慢性疼痛
  • ◎片頭痛・緊張型頭痛
  • ◎線維筋痛症の疼痛・こわばりほか
  • ◎がん化学療法・放射線療法に伴う吐き気
  • ◎過敏性腸症候群
  • ◎産痛緩和、陣痛促進
  • ◎ジストニア
  • ◎乳がん内分泌療法によるホットフラッシュ・睡眠障害
  • ◎COPD(慢性閉塞性肺疾患)など非がん性呼吸器疾患の呼吸困難
  • ◎間質性膀胱炎
  • ◎女性下部尿路症状
  • ◎過活動膀胱
  • ◎複合性局所疼痛症候群
  • ◎脳卒中後うつ
  • ◎顔面神経麻痺
『鍼灸のことが気になったらまず読む本Q&A89』(寺澤佳洋編著 中外医学社)、「鍼灸の推奨度が掲載されている国内の診療ガイドライン」山下 仁ほか(『全日本鍼灸学会雑誌』2025年第75巻2号)などを参考に作成


心身一元論的な考え方で、西洋医学と東洋医学の融合へ

この20年余り、鍼や漢方薬に対する臨床試験の報告数は右肩上がりに増えています(下図参照)。

『東洋医学はなぜ効くのか』(山本高穂・大野 智 著 講談社刊)を参考に作成

東洋医学に関する研究は世界的に注目され、中国では国家戦略として多額の費用を投じて研究を推進し、米国ではNIH(国立衛生研究所)が生薬や鍼灸などの研究を担う専門機関を設置したり、研究費の増額を行ったりしています。

一方、西洋医学では臓器や病気を個別に診断・治療する考え方だけでなく、東洋医学のような心身一元論的な考え方が見直されています。

その代表的なものの一つが「脳腸相関」で、脳と腸が自律神経やホルモン、免疫などを介して互いに影響し合うメカニズムが注目されています。心身一元論的な考え方をベースに西洋医学と東洋医学が融合することで、よりよい医療が受けられることが期待されています。それは統合医療の本格的な幕開けになるかもしれません。

(次回に続く。この特集の記事一覧はこちらから>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2026年02月号

家庭画報 2026年02月号

撮影/本誌・大見謝星斗 取材・文/渡辺千鶴

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