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東洋医学

長寿や免疫力アップの万能穴「足三里」。『徒然草』や『奥の細道』にも登場します

2025.12.18

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不調スッキリ! 毎日のツボ押し365 中医学のエキスパートである鍼灸師の兵頭 明先生が、ツボの効能や位置、効くメカニズムを解説します。健康の土台作りに、不調改善に、1日1分のツボ押しを習慣にしましょう。連載一覧はこちら>>

足三里(あしさんり):胃経のツボ

ツボ名の由来

「里」は村や居住地を指し、集まることを意味しています。「三」は膝の下3寸にあることを指しています。手にも「三里」というツボ「手三里」があるので、これと区別するために足三里と名づけられています。

足三里(あしさんり):胃経のツボ

ツボの場所

膝を直角に曲げ、膝のお皿の外側のくぼみ〔「犢鼻(とくび)」というツボ〕の下3寸で、脛骨(すねの骨)の縁から中指1本分離れたところ。

刺激の仕方
両手の中指の腹を左右の足三里に垂直に当てて5呼吸ほど押します。これを3回繰り返しましょう。足三里を押しながら、足首を上下にゆっくり動かすのもよいでしょう。

効能・作用

胃痛、嘔吐、下痢、食欲不振、免疫力の低下、健脚(けんきゃく)、健康長寿など


1.消化器系全般の症状を改善する効能があり、特に胃痛、嘔吐、下痢、食欲不振の改善にすぐれています。

2.強壮の効能があり、免疫力を高める作用があります。

3.下肢の疾患を治療する重要なツボであり、「健脚」のツボとされています。

4.「健康長寿の灸」として、古来より「足三里の灸」が重宝されています。

【豆知識】
1.『徒然草』148段には、「四十以後の人、身に灸を加へて、三里(※足三里のこと)を焼かざれば、上気(じょうき)の事あり。必ず灸すべし。」とあります。また『奥の細道』の序文にも「足三里の灸」が紹介されています。これは「健脚の灸」ともされています。興味のある方は、『奥の細道』の序文を調べてみてください。

2.明代の医学書である『鍼灸聚英』に「四総穴歌」という記載があります。そこでは「肚腹の病は足三里に留める」とあります。胃経が巡っている部位の症状の中でも、足三里はとくに腹部の症状の治療効果が著しいことを後世に伝えてくれています。

3.「健康長寿の実現、健康寿命の延伸」を目的とした「健寿6穴」の1つ。「健寿」は、「健康長寿、健康寿命」の略。

ツボ取りに役立つ「同身寸法」
親指の幅を1寸、人差し指・中指・薬指を合わせた幅を2寸、人差し指から小指までを合わせた幅を3寸とする。

親指の幅を1寸、人差し指・中指・薬指を合わせた幅を2寸、人差し指から小指までを合わせた幅を3寸とする。


ツボの探し方としては、ご自身の指の長さや幅から位置を割り出す「同身寸法」という方法が適しています。“自分の体は自分で測る”という考え方で、体格差などから一律に「cm」で表せないツボの位置も、同身寸法なら測ることができます。この連載では、しばしば「へその上3寸」といった表現が出てきますが、その際には上記の「同身寸法」を用いてツボを取ってみてください。

文/兵頭 明 Akira Hyodo
学校法人衛生学園(東京衛生学園、神奈川衛生学園)中医学教育臨床支援センター長、天津中医薬大学客員教授、神奈川歯科大学特任教授。1982年、北京中医薬大学卒業。中医学の真髄を広く日本に普及・啓蒙するため、『鍼灸医学大辞典』(医歯薬出版)、『針灸経穴辞典』(東洋学術出版社)、『経絡・ツボの教科書』(新星出版社)など著書・訳書は30数冊にのぼる。現在は、「医療・介護・鍼灸」3分野連携による認知症対策プロジェクトを展開している。
https://old.gto.ac.jp/tc_med

イラスト/ミヤジュンコ

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