不調スッキリ! 毎日のツボ押し365 中医学のエキスパートである鍼灸師の兵頭 明先生が、ツボの効能や位置、効くメカニズムを解説します。健康の土台作りに、不調改善に、1日1分のツボ押しを習慣にしましょう。
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太淵(たいえん):肺経のツボ
ツボ名の由来
「太」は非常に大きいことを指しています。「淵」は深い淵のことで、魚がよく集まるところを指しています。太淵というツボは、手の脈診で触れるところにあり、「八会穴(はちえけつ)」(下部の豆知識を参照)の1つであり、多くの臓腑の脈が集まることから太淵と名づけられています。
ツボの場所
手首の内側のしわの上で、親指側の骨の上のくぼみ(動脈の拍動部)。
刺激の仕方親指の腹をツボに垂直に当て、ゆっくり息を吐きながら少し強めにツボを押さえていき、息を吸うときに指を戻します。これを左右3回繰り返しましょう。
効能・作用
せき、喘息、発声の異常、皮膚・鼻・喉の潤い改善、鼻症状、発汗調節など
1.呼吸を整えることにより、咳や喘息や発声の状態を改善する作用があります。
2.呼吸を通じて津液(しんえき・体内の正常な水分)を循環させ、皮膚の潤いや鼻粘膜、喉を保護する作用があります。また鼻づまり、鼻水などの鼻症状を改善する作用もあります。
3.発汗を調節することにより、体温調節をサポートする作用があります。
【豆知識】八会穴:臓・腑・気・血・筋・脈・骨・髓と密接な関係があるツボで、臓会、腑会、気会、血会、筋会、脈会、骨会、髄会と呼ばれる8つのツボがあることから、「八会穴」と呼ばれています。「脈は太淵に会する」ことから、太淵は「脈会」とも呼ばれています。
文/兵頭 明 Akira Hyodo学校法人衛生学園(東京衛生学園、神奈川衛生学園)中医学教育臨床支援センター長、天津中医薬大学客員教授、神奈川歯科大学特任教授。1982年、北京中医薬大学卒業。中医学の真髄を広く日本に普及・啓蒙するため、『鍼灸医学大辞典』(医歯薬出版)、『針灸経穴辞典』(東洋学術出版社)、『経絡・ツボの教科書』(新星出版社)など著書・訳書は30数冊にのぼる。現在は、「医療・介護・鍼灸」3分野連携による認知症対策プロジェクトを展開している。
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