
いったい私達のからだには、どのような力が宿っているのでしょうか。
一般的に、多くの人は自分自身の生きる力、病気にかからない力、病気になっても自分で治ろうとする力について、普段はあまり関心がないようです。
健康を維持する力、体調を整える力、疾病を予防する力、症状を改善する力、美容をサポートする力、アンチエイジングの力、ウェルエイジングの力……など、私たちには本来いろいろな力が備わっています。その力をサポートしているのが、ご自身の“ツボの力”なのです。
私たちのからだは、いろいろな部品の集合体ではなく、一つの有機的な統一体を形成しています。いま一度、全人的・総合的な視点からご自身のからだについて見つめ直していただけたら幸いです。
東洋医学では、「経絡(けいらく)」と呼ばれる情報伝達システムがからだじゅうに張り巡らされていると考えます。
目、耳、鼻、舌といった器管の機能と内臓の状態とは密接な関係にあり、経絡がそれらをつないでいます。内臓に変調が起きると、同じ経絡上にある別の器官に異常が伝わり、症状として現れます。このように内臓と諸器官とを連絡させている情報伝達システムを「経絡系統」と呼びます。
そしてこの経絡系統上に一定の法則をもってツボが存在しています。ツボはからだに点在しているのではなく、内臓系統や諸器官を調整する経絡系統上の“ステーション”の役割を担っています。
ツボを刺激すると、経絡を通じて離れた場所にも刺激が伝わるので、たとえば足のツボを押すことで内臓や肩こり、歯の痛みなどを治療することもできるのです。
ツボ療法は日本の文化です。日本における医療の中で、そして民間療法の中で、1500年の長きにわたって私たちの健康管理、疾病予防、そして疾病治療の面で大いに貢献してくれているツボは、お一人おひとりが持っている自己調整のためのスイッチなのです。
この連載を通じて、ぜひご自身の持っている力に気づき、ご自身のツボを活用し、ご自身の健康管理、疾病予防、体調管理にツボを役立てていただきたいと思います。
明日からは、いよいよ各ツボの解説に入っていきます。毎日1分のツボ押しを、ぜひ取り入れてみてください。
文/兵頭 明 Akira Hyodo
学校法人衛生学園(東京衛生学園、神奈川衛生学園)中医学教育臨床支援センター長、天津中医薬大学客員教授、神奈川歯科大学特任教授。1982年、北京中医薬大学卒業。中医学の真髄を広く日本に普及・啓蒙するため、『鍼灸医学大辞典』(医歯薬出版)、『針灸経穴辞典』(東洋学術出版社)、『経絡・ツボの教科書』(新星出版社)など著書・訳書は30数冊にのぼる。現在は、「医療・介護・鍼灸」3分野連携による認知症対策プロジェクトを展開している。
https://old.gto.ac.jp/tc_med
イラスト/ミヤジュンコ