
まもなく二十四節気の「穀雨(こくう)」です。春の恵みの雨が穀物に優しく降り注ぐ時季で、春の土用に差し掛かる頃でもあります。
「土用」とは、立春、立夏、立秋、立冬前のそれぞれ約18日間を指します。土用は季節の変わり目で、土とは五行では「脾(ひ) 」、つまり胃腸のこと。体調を崩しやすいため、胃腸(土)を大事にしましょうという古くからの慣しも伝えています。
胃腸をいたわるのにぴったりな「山いものほたてあんかけ」。山いももほたても胃腸によい食材。胃腸を守っておけば体の土台が揺るがないので、少しくらいの気候の乱れには動じなくなっていきますよ。
山いもは、生薬では「山薬」とも呼ばれ、胃腸を整え体を元気にする漢方薬にも用いられている食材。脾、肺、腎の機能を高める効果があります。長いもと同じく、調理法によって効果は変わり、生の状態では潤いを補い、加熱すると気を補います。
つまり肌のカサつきや髪のパサつき、空咳、ほてりなど、潤い不足の不調には生のトロトロした状態で。疲れ、倦怠感、毛穴の開きなど、気の不足からくる症状の際は、加熱調理しホクホクしたものをいただくのがおすすめです。
●材料と作り方
1)鍋に湯を沸かし、白だしを加え、味を調える。
2)皮をむいた山いもを加え、弱火で煮る。
3)ほたて缶を汁ごと入れ、水溶き片栗粉でとろみをつける。器に盛り、あれば山椒の新芽をのせる。
久保奈穂実(くぼ・なおみ)
国際中医薬膳管理師。漢方アドバイザー。ハードな生活で身体のバランスを崩した際に漢方薬に助けられた自身の経験から興味を持ち、中医学と薬膳を学ぶ。現在、成城漢方たまりで年間約2000人の漢方相談・薬膳講師を行っている。著書に『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』『おいしい漢方365 いたわりスープとごほうびドリンク』(ともに世界文化社刊)。SNSで発信するやさしい養生知識や、簡単薬膳レシピも大好評。X:@naominkubo /Instagram:@naomin_yakuzen
レシピ、食材の薬膳・漢方知識、ツボなど「365」の情報を掲載した大人気シリーズの第2弾。今回は身近な食材で簡単にできるスープ、ドリンクのレシピに特化した内容です。液状の食事は消化に優れ、吸収率も高いので養生食としてぴったり。
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