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東洋医学

腱鞘炎やヘバーデン結節など「手指や足裏の慢性的な痛み」を鍼灸で。喜島 顕先生(喜島鍼灸院・喜島接骨院)

2025.03.19

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新世代の鍼灸師に訊く 第16回(1)鍼灸院は「未病を予防する」ことから「病気を改善する」ことまで守備範囲が広く、身近な健康アドバイザーとしてもっと活用したい医療施設の一つです。前回の記事はこちら>>

更年期から起こりやすいトラブルの予防法・解決法「手足のトラブル」

喜島 顕先生(喜島鍼灸院・喜島接骨院)

喜島鍼灸院・喜島接骨院 院長 喜島 顕(きじま・あきら)先生 1960年、東京都生まれ。祖父の代から続く接骨院に生まれ育つ。柔道整復師の資格取得後、入院施設のある医療機関などに勤務する。一般的な整形外科疾患、リハビリテーションのほかスポーツ障害に取り組み、高校のサッカーやバレーボールチームのトレーナーも経験。2007年に鍼灸師の資格を取得。08年2月に開業。

喜島鍼灸院・喜島接骨院 院長 喜島 顕(きじま・あきら)先生 1960年、東京都生まれ。祖父の代から続く接骨院に生まれ育つ。柔道整復師の資格取得後、入院施設のある医療機関などに勤務する。一般的な整形外科疾患、リハビリテーションのほかスポーツ障害に取り組み、高校のサッカーやバレーボールチームのトレーナーも経験。2007年に鍼灸師の資格を取得。08年2月に開業。

体幹からのアプローチとセルフケア指導を加え、手指や足裏の慢性的な痛みを早期に消失させる

喜島鍼灸院・喜島接骨院の院長である喜島 顕先生は、祖父の代から接骨院を営む家庭に生まれ育ちました。最初に柔道整復師の資格を取りましたが、自身の腰痛治療をきっかけに鍼灸に深く関心を持つようになり、その後に鍼灸師の資格も取得しました。以来、整形外科関連の疾患やケガを治療する際には、その人の状態に応じてそれぞれの得意技を組み合わせながら対応しています。

また、腱鞘炎を抱える患者さんの来院が多いのも特徴の一つです。これは喜島先生が子どもの頃からピアノを弾いてきたことと関係しています。

「私自身、腱鞘炎を経験し、ピアノを弾きすぎたことでどの部分を痛めたのかよくわかるのです。予防法も心得ています。それもあってピアニストを中心に腱鞘炎の患者さんが自然に集まるようになりました」。

セルフケア法を丁寧に指導し、症状の悪化や再発を予防する

手のトラブルでは腱鞘炎のほか、ばね指、ヘバーデン結節、手根管(しゅこんかん)症候群、頸肩腕(けいけんわん)症候群など更年期世代の女性によくみられる疾患も多いそうです。また、足のトラブルでは足底筋膜炎、外反母趾なども少なくありません。これらの手足のトラブルに対して、喜島先生は痛みがある患部だけでなく、体幹からも積極的にアプローチしていきます。


「肩甲骨まわり、脇腹などの過度な緊張が肩や手の痛みを引き起こしていることがあります。また、下半身の神経は腰から太もも、膝下を通って足裏まで張り巡らされており、仙骨まわりの緊張をほぐすことによって足底筋膜炎の痛みが軽減されることもあるのです」

手や腕に痛みやしびれがある人は肩甲骨まわりが過度に緊張していることも多く、最初に低周波治療器を使って緊張をほぐす。

手や腕に痛みやしびれがある人は肩甲骨まわりが過度に緊張していることも多く、最初に低周波治療器を使って緊張をほぐす。

一方、手足の患部への治療は、痛みを軽減するのと同時に動きをスムーズにすることを目的としています。これらの施術を行う際、喜島先生は少なめの刺激量を心がけています。また、手段としては主に台座灸を使った温灸を行います。

痛みがある部分に温灸を行い、血行の改善を促す。より高い効果を狙い、腱鞘の位置と一致する手のツボを活用することも。

痛みがある部分に温灸を行い、血行の改善を促す。より高い効果を狙い、腱鞘の位置と一致する手のツボを活用することも。

温灸だけで緊張や痛みが十分に取れない場合は鍼による刺激を加え、鍼が苦手な人には徒手や低周波治療器によるマッサージを行います。

仙骨まわりを中心に下半身の緊張を取ったうえで患部の痛みにアプローチ。温灸だけで軽減できないときは足裏に鍼を打つ。

仙骨まわりを中心に下半身の緊張を取ったうえで患部の痛みにアプローチ。温灸だけで軽減できないときは足裏に鍼を打つ。

「心地のよい治療を提供し、患者さんの満足感も高めたいのです。それは免疫力の向上にもつながると考えています」。

そして、セルフケアの指導も重視しています。「大半の患者さんは病態について理解していないので、そのことを説明したうえで効果的なセルフケアの方法を教えています。例えば手根管症候群は正中神経が圧迫されることによって起こるため、自宅でも手首まわりのマッサージや前腕のストレッチに取り組んでもらい、症状が悪化しないように、あるいは再発しないようにサポートしています」。

その方法にもこだわりがあり、手足のマッサージには金属製ボールを活用しています。「ゴルフボールで行ってもよいのですが、金属製ボールのほうが肌への当たりがソフトでなめらかな割にしっかり圧迫することができるため、マッサージ効果がより高いからです」。

必要に応じて医師と連携し、統合医療で早い回復を支える

喜島先生には、長年にわたり整形外科クリニックなどで医師とともに働いてきた経験があるため「医鍼連携」にも注力しています。整形外科関連では3か所(クリニック2か所、大学病院1か所)の医療機関と必要に応じて連携しています。患者さんにかかりつけ医がいる場合は連絡を取って面談し、患者さんの症状を伝えたうえで治療戦略について話し合い、各自の治療範囲を決めることもあります。まさに統合医療の実践です。

スタッフの宮下明大先生と。地下のサロン室に置いてあるベヒシュタイン製のピアノを施術後に弾いて、手や指の痛みや動きを確認する患者さんも少なくない。

スタッフの宮下明大先生と。地下のサロン室に置いてあるベヒシュタイン製のピアノを施術後に弾いて、手や指の痛みや動きを確認する患者さんも少なくない。

「困ったときに相談ができて共同診療を行える医師を、鍼灸師が持っておくことは患者さんの早い回復を支えるうえで必要不可欠です。これからもそれぞれの得意技を組み合わせ、安心・安全かつ効果的な治療を提供していきたいと考えています」

喜島鍼灸院・喜島接骨院

診療案内

神奈川県相模原市南区東林間8-7-29
TEL:042(743)2530 完全予約制
診療時間/月曜~金曜 8時~19時、土曜 8時~17時、日曜 8時~12時
休診日/水曜・日曜午後・祝日
診療費/初診料 2000円、鍼灸マッサージ総合治療(60分)5500円ほか。健康保険への対応あり。
http://kijima-care.jp/

次回へ続く→

連載「新世代の鍼灸師に訊く」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2025年04月号

家庭画報 2025年04月号

撮影/八田政玄 取材・文/渡辺千鶴

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