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介護福祉士の資格を持つ安藤なつさんが家族介護で悩む人たちに呼びかける「プロを頼って」【私の介護体験】

2026.05.19

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つらくて不安なあなたに伝えたい「私の介護体験」第17回 お笑いコンビ「メイプル超合金」の安藤なつさんは、介護福祉士の国家資格を持つ異色の芸人です。子どもの頃から介護現場で遊び、働いてきた体験をもとに、介護の仕事の魅力や醍醐味を発信。大変な思いをしているご家族に、「無理せず介護職を頼って、少しでも休んでほしい」と呼びかけます。前回の記事はこちら>>

介護する家族を助けるための「介護職」。無理をしないでプロを頼って

安藤なつさん(「メイプル超合金」。お笑い芸人)

安藤なつさん(「メイプル超合金」。お笑い芸人)

安藤なつ(あんどう・なつ)さん 1981年東京都生まれ。2012年、カズレーザーさんとお笑いコンビ「メイプル超合金」を結成。15年、M-1グランプリ決勝進出後、バラエティ番組を中心に女優としても活躍中。小学生の頃から親戚の介護施設で介護現場に親しむ。高校卒業後、ホームヘルパー2級の資格を取り、訪問介護を行う。23年、介護福祉士の国家資格を取得。厚生労働省の補助事業『GO ! GO ! KAI-GOプロジェクト』の副団長を務めた。著書に『介護現場歴20年。』(主婦と生活社)ほか。

子どもの頃から経験していた介護施設での喜びと達成感

安藤なつさんの介護体験は小学校1年生の夏、伯父が自宅で開いていた介護施設に遊びに行ったことから始まりました。今でいうデイサービスやショートステイを行っていて、脳性まひの少女や自閉症の若者、認知症のお年寄りなどさまざまな人たちが来ていました。

「みんなでおやつを食べたり、歌ったり踊ったり。夏祭りみたいで楽しくて、毎年夏休みや年末年始に行くようになりました」(安藤なつさん)。遊びの延長でしたが、誰かと一緒に何かをやり遂げたり、簡単な仕事を任せてもらえる嬉しさを子どもながらに感じたといいます。

伯父の介護施設に遊びに行っていた小学校低学年の頃の安藤さん。写真提供/安藤なつさん

伯父の介護施設に遊びに行っていた小学校低学年の頃の安藤さん。写真提供/安藤なつさん


中学生になり毎週末に泊まりがけで伯父の施設に行き始めた安藤さんは、認知症のMさんの朝の着替え担当になりました。これがとんでもなく難題だったのです。


Mさんは着替えるという行為が頭の中で繫がらず、断固として着替えを拒否したり、脱いだパジャマをまた着たり。安藤さんは試行錯誤し、「別の人物になったら着替えてくれるかもしれない」と“キャラ変作戦”も試みます。“医者だけど、調子どう? まずは着替えようか”と少し偉そうに話してみたり、可愛い孫になって甘えてみたり、時代劇風に“着替えでござるよ”と誘ってみたり。うまくいかない失意の数か月が過ぎたある日、「突然、着替えてくれるようになったんです。理由はまったくわからないけれど、心を許してもらえた喜びと、難しいゲームを攻略したような達成感。その嬉しさといったら! 介護を仕事として意識し始めた出来事でした」。

安藤なつさん 介護の足跡

心に残る言葉
小学生の頃、遊びに行っていた介護施設で経営者の伯父が私にいった言葉

伯父「何でもやってみることだな」

──ある日、私は、伯父が何か見慣れないものを口に含んでいる光景に出くわしました。「何してるの?」と聞くと、「これ? 浣腸液。ブドウ糖だから甘いんだよ。──何でもやってみることだな」と。そんなこと、普通の人は思いつかないですよね。なんとキャパシティの大きな伯父なのでしょう!その後、私がさまざまな介護の場面で、利用者さんのために“何でもやってみよう”と思い、実際に試してみたのも、伯父のその言葉が無意識に頭のどこかに残っていたからかもしれません。

介護職は好きで選んだ仕事。家族介護の大変さとは違う

高校卒業後、お笑いの道に進みながらホームヘルパー2級の資格を取った安藤さんは、夜間の訪問介護の仕事を始めます。鍵を預かり、一晩に15~20軒の家を回っておむつ交換や体位変換、着替え、トイレ誘導などを行うのです。「在宅介護は24時間。ご家族の身体的・精神的負担は計り知れません。特に寝たままのおむつ交換はプロでも難易度の高いお世話です。少しでも体を休めてほしい、就寝中のご家族を絶対に起こすまいと細心の注意を払いました」。

介護職の介護は家族の介護とは別物、なぜなら仕事だから、と安藤さんは強調します。「私たちは好きでこの仕事を選んで、対価をいただいて働いています。だから“申し訳ない”なんて思わなくていいんです。残念に思うのは、大変なのはどの職業も同じなのに、介護がきつい仕事の代表みたいに思われて敬遠されがちなこと。介護職ならではの魅力もあるのに──」。

一羽の折り鶴が開けた、おじいさんの可能性の引き出し

それはいったい何でしょう。安藤さんは一つのエピソードを語ってくれました。

夜間訪問先の某おじいさん宅でのこと。時間調整のため待機中の車内で作った折り鶴を、おむつ交換が終わった後、何気なくテーブルの上に置いて帰りました。翌週、再び訪問すると、そこには広告の紙で折った大きな鶴が。ご家族からの手紙には「鶴をいただいた翌日、父が自分で鶴を折ったのです。まさか父が鶴を折れるなんて、思ってもみませんでした」とお礼の言葉が書かれていました。

「めちゃくちゃ嬉しかったですね。普段は物静かなおじいさんが、実は人知れず鶴の折り方を知っていた……。ということは、ほかにもご家族の知らない引き出しがあるに違いない。おじいさんにはまだまだ可能性がある! かかわり方次第で、現場にはこんな新鮮な発見があるし、ご家族とも喜びを共有できるのです」

その“可能性の引き出し”、家族にも探し出せますか?「はい。余裕があれば見つかるし、取っ手を引いて開けることもできるはずです。そのためにもご家族は無理をせず、プロを頼ってほしいのです」。

安藤さんの著書『介護現場歴20年。』。小学校1年生からの介護現場歴をまめこさんの漫画で辿り、介護専門職との対談コラムも充実の一冊。

安藤さんの著書『介護現場歴20年。』。小学校1年生からの介護現場歴をまめこさんの漫画で辿り、介護専門職との対談コラムも充実の一冊。


2023年に介護福祉士の資格を取った安藤さん。受験勉強は、それまでご自身が“この方にとって何がベストか”を第一に実践してきたことの答え合わせだったといいます。「私の現場体験は理論的にも間違っていませんでした。──介護とお笑いですか? 両方好きですね。どちらも人間相手の仕事だから。いずれ独身芸人のための老人ホームを作って一緒に住めたら楽しいなと。何もしたくないときはぼーっとしていていい自由な場所。要介護になったら私がケアをさせていただきます!」。

無理をしない介護のための3つの心がけ

1.睡眠時間をできるだけ確保する
在宅介護は長丁場。体力・気力の維持に睡眠の確保は欠かせません。デイサービスやショートステイを利用して介護から離れる時間を作り、心身の休息を心がけましょう。

2.生活の主軸を自分自身に置く
介護が終わっても人生は続きます。介護のために、大事な仕事や人間関係を断ち切ることのないよう、自分に主軸を置いた生活を第一に。それを助けるのが介護職の仕事です。

3.体位変換は声かけをして行う
重労働の体位変換も、無言で行わず、「壁のほうを向きますよ」などと声をかけると不思議と楽にできます。「そっちを向こう」と本人の意識が働き、体が動かされやすくなるのです。

連載「私の介護体験」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2026年06月号

家庭画報 2026年06月号

取材・文/浅原須美

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