〔特集〕正しく知れば怖くない 認知症の「新常識」 50代を迎え人生の折り返し地点を通過。親も高齢になり、「認知症」が身近な問題として徐々に存在感を増してきました。今、私たちが取り組むべきは、認知症を正しく理解し、恐れず、効果的な予防法に努め、適切な医療を求めること。まずは、ありがちな誤解や思い込みを改め、正しい知識を“新たな常識”として身につけることから始めましょう。
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家族が認知症になったとき──
“接し方”を変えたら、父・母も変わりました
親の認知症問題が身近になり、意思の疎通に不安を抱く方も多いのでは?でもご心配なく。認知症の親の介護をしてきた5人の方たちが「対応次第で親は変わります」とご自身の体験を語ってくださいました。
【母を約15年介護。2015年に看取る】
安藤優子さん (キャスター・ジャーナリスト)

臨床美術との出合いで本来の自分を思い出した母
認知症が進み、在宅介護に限界が来て、当時82歳の母を老人介護施設に入れることになりました。「家に帰りたい」と激しく抵抗し、私に「親不孝者」と怒りをぶつけ、スタッフの方にも心を閉ざした母が、半年後、変わり始めたのです。
きっかけはスタッフの方々の対応でした。「お母様の思い出話を聞かせてください。昔の写真を見せてくれませんか」と、母の歩んできた人生を知ろうとしてくださったのです。母も本能的に「この人たちは自分を一生懸命理解しようとしている」と感じたのでしょう。徐々に心を開き、レクリエーションにも参加して楽しむようになりました。そこで出合ったのが脳の活性化に効果があるとされる回想法の「臨床美術」です。昔よく旅行した大好きなハワイをイメージして花の絵を描き、「よ・く・で・き・た」と自分を褒めた母。認知症になってから自分を否定して怒り続けていた母が、本来の自分を思い出し、初めて自己肯定した瞬間でした。
「額縁の中の絵は、母が描いたアンスリウム。鮮やかな赤、勢いのある筆致は明るく社交的だった母そのものです」。写真提供/安藤優子さん
(次回に続く。
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