お互いに相手を応援する関係に。前より優しくなれた気がする

ご主人は自称“森 公美子応援団”。舞台を見に来たご主人と楽屋で(2018年8月)。写真提供/森 公美子さん
もう一つ、介護によって大きく変化したことがあります。夫との関係でした。「事故を境に介護する側とされる側になり、夫婦関係の次元は以前とは違うものになりました。私以外にこの人を世話する人はいないし、私はこの人を他の人には任せられない──。今はお互いに悪かったと思うことは素直に反省していますし、相手に対して優しくなれている。前よりも“いい関係”になったと思うのです」。
それは、二人とも自分に噓をつかず、無理をせず、自分を一番大切にしているからだろうと森さんはいいます。コロナ禍の頃から施設に入っている夫とは毎日SNSでやりとりをしていますが、公演中は舞台に集中するため、よほどのことがなければ会いに行きません。“私は自分の仕事を最優先する、あなたはあなたにできることをやる。あなたは私を応援してね、私もあなたを応援するから”。お互いがお互いの応援団でいる関係にたどり着いたお二人。「19年前、私が介護から逃げなかったのは大正解でした。私自身も人としての階段を一段上れているような気がします」。
心に残る言葉
自宅介護が始まり負担が大きかった頃、ヘルパーさんからいわれた言葉
プロがいるんですよ。奥様は奥様の仕事をなさってください。──夫が要介護状態になってからしばらくの間、私は公的支援も十分に受けず一人で頑張り続けていました。自宅介護が始まり、仕事との両立で負担が増していたときあるヘルパーさんにこういわれ、肩の荷が下りたどころか身も心も一気に軽くなった気がしました。一番大切なのは自分。介護は介護のプロに任せる―。「あなたのせいで私はやりたいことができない」は最も、介護する者がいってはいけない言葉であり、介護される側が聞きたくない言葉だと私は思うのです。
介護で得た3つのこと
1.困っている人に、すぐ手を差し伸べられる町なかで、障害のある方や困っている様子のお年寄りを見かけるとすぐに「どうされました?」、「お手伝いしましょうか?」と声をかけ、行動できるようになりました
2.躊躇なく、大きな声で助けを求められる車椅子の夫と外出すると、バリアだらけ。自力での突破が難しいアクシデントに遭遇したときは、ためらうことなく「助けてください」ということができます
3.心から「ありがとう」といえる自分自身が、相手を助けると同時に助けられる立場にもなって、ささいな出来事に対しても心からの感謝で「ありがとう」といえるようになりました
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