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町亞聖さん、18歳で始まった母の介護と弟妹の世話。その経験から学んだ「受援力」とは

2025.07.30

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「受援力」は自分らしく生きる力、社会の優しさを引き出す力

10代の終わりから約10年間続いた介護生活。弟と妹の存在を支えに自分がやるしかないという責任感で頑張り続けてきました。今、町さんが発信し続けているのは、人に助けを求めることのできる力、すなわち「受援力」を持つことの大切さです。

「自立とは何でも一人でできることではなく、困ったときには誰かを頼って生きていくことだと思うのです。その意味で、母は受援力の高い人でした。外出先でも躊躇せず、持ち前の明るさと笑顔で“すみません”と声をかけ、多くの人が喜んで手を貸してくれました。お礼を伝えたときに相手から返ってくる“どういたしまして”の言葉には、“こちらこそありがとう”の意味がこもっているように感じられました。受援力は自分らしく生きる力になると同時に、社会の優しさを引き出す力にもなるのです」。

もし身近にヤングケアラーかもしれないと思える子どもや若者がいたら「さりげなく気にかけていてほしい」と町さんはいいます。


「性格も背景も異なるので一概にはいえませんが、私の経験からいえば、“えらいね”は安易に使わないほうがよい言葉のように思います。“もっといい子でいなければ、もっと頑張らなければ”と重荷に感じてしまう場合があるかもしれません。まずは日常的に“おはよう。行ってらっしゃい”などと声をかけて、あなたに関心を持っている大人がここにいるよ、と伝え続けることが第一歩ではないでしょうか」。

心に残る言葉

1998年、母に末期がんが見つかったことを、弟に伝えたときの言葉。

弟「人生は長さじゃない、深さだよ。お母さんが元気なうちにたくさんの人に会ってもらおうよ」

──当時、弟は23歳。大学進学をあきらめて高校卒業後は消防士になっていました。母が最初に倒れたとき中学3年生だった弟は、「手術中に死んでしまうかもしれない」と聞いて、こらえきれず、母の前で泣きだしてしまいました。そんな弟がこんなことをいえるまでに頼もしく成長したのです。「もう、私一人で背負うことはないんだ。弟がいてくれるから大丈夫」と思えた言葉でした。

受援力をつける3つの心得

*受援力=困ったときに誰かに助けを求めることができる力。

1.不安を言葉にし、経験者の話を聞く
「一人で抱え込まない」が大原則。不安や困りごとを言葉にして伝えることは受援力の第一歩。そして介護や喪失の経験者の話に耳を傾けることが受援力を高めます

2.「ありがとう」から始める
誰かに助けてもらったときは、「すみません」ではなく「ありがとう」を。「お互い様」と思える気持ちを育み誰もが将来助けられる立場になったときの受援力につながります

3.弱さをさらけ出す
親であっても年長者であっても、ときには人間は完璧でなく脆い存在であることを子どもや若者の前でさらけ出していい。それが彼らに「人を頼っていいんだ」と思わせ、受援力が育つきっかけになります

連載「私の介護体験」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2025年08月号

家庭画報 2025年08月号

取材・文/浅原須美

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