一生見える目を守る!大人の眼科教室 第3回(前編)緑内障は、かなり進行するまで自覚症状がほとんどない視神経の病気です。そのため、人間ドックや眼科検診で初めて「緑内障疑い」と指摘される人が少なくありません。治療が遅れ、放置すると視野障害が進行し、失明に至る可能性もあります。緑内障の検査と診断、最新治療について解説します。
早期発見と目薬習慣が基本
失明を回避する緑内障の検査と治療
東京科学大学大学院医歯学総合研究科
眼科学分野教授・医学博士
大野京子先生

おおの・きょうこ 横浜市立大学医学部卒業。東京医科歯科大学(現・東京科学大学)准教授を経て2014年より現職。眼科専門医。日本眼科学会専門医指導医。日本近視学会理事長。専門は網膜・視神経疾患、強度近視。強度近視・病的近視研究の世界的第一人者として知られ、近視医療の女王(クイーン・オブ・マイオピア)とも称される。さまざまな眼科疾患に対し、安全で高度な先端医療を提供している。眼球部分を3次元化する画期的な眼球3D MRIの開発者。
主に視神経の異常と視野障害をチェック
人間ドックなどで緑内障の疑いを指摘されたら、すぐに眼科を受診し、くわしい検査を受けましょう。一般的には、眼圧検査(眼圧が高いかどうか)、眼底検査( 視神経乳頭〔ししんけいにゅうとう〕の形や障害の有無)、OCT検査(光干渉断層計検査。網膜神経線維層・視神経の厚み)、視野検査(視野欠損の有無・進行度)、隅角(ぐうかく)検査(緑内障のタイプ)などが行われます。これらの検査結果をもとに、医師は主に次の観点から総合的に緑内障かどうかを判断します。
(1)視神経に緑内障性の変化があるか(眼底検査・OCT検査)
(2)特定の視神経障害に一致する視野障害があるか(視野検査)
(3)ほかの病気を除外できるか
日本人の緑内障患者の多くは正常眼圧緑内障であり、眼圧が正常でも発症します。そのため、複数の検査結果を総合して診断します。
また、脳疾患や網膜疾患など、視神経や視野異常を起こすほかの病気でないかをチェックすることも重要です。
緑内障は、早期発見し、早期に治療を開始することで進行を食い止め、治療効果が高まることがわかっています(グラフ参照)。
早期治療開始で進行が抑制できる

出典:Heijl A, et al. :Arch Ophthalmol, 120 (10):1268-1279, 2002
迅速に異常を見つけ、早期に治療をスタートすることで将来の失明リスクを格段に下げることができます。
緑内障疑いを指摘されると不安になりますが、実際は精密検査の結果、「問題なし」とされる場合も多いです。早期に正確な診断を仰ぐことが大切です。
視神経と網膜の微細な異常を画像検査で早期発見
近年の緑内障診療で大きく進歩したのが、OCTです。OCTは視神経や網膜を断面画像として映し出し、緑内障による初期の変化を捉える画像検査で、「目のCT」と呼ばれることもあります。検査は数秒で終わり、痛みもありません。
緑内障になると、視神経の線維が少しずつ減っていきます。OCTではその厚みを精密に測定できるため、自覚症状がなく視野に異常が現れていない段階でも異常を見つけられることがあります。以前は、視野が欠けて初めて緑内障と診断されるケースも少なくありませんでしたが、OCTの登場で「視野障害が出る前の緑内障」を発見できるようになりました。
視野検査で進行の有無と速度を正確に把握する
緑内障の診断や経過観察で重要なのが視野検査です。半球状の機械の中を見つめながら、小さな光が見えたときにボタンを押していくことで、どの部分が見えていて、どの部分が見えにくくなっているのかを調べます。緑内障では、「今どれだけ見えているか」だけでなく、「どのくらいの速さで進行しているか」が重要です。そのため、定期的に視野検査を行い、変化を追跡するのです。
検査結果から将来の視野変化を予測し、治療方針を決めることもあります。
たとえば、このままの進行速度だと○年後には生活に支障が出る恐れがあると判断されれば、より積極的な治療を検討します。患者さん自身が自分の現時点の状態を正確に把握し、適切な治療計画を主治医とともに講じることが大切です。
※次回へ続く。
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