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暦年齢だけでは判断できない高齢者のがん治療。身体機能や生活能力に応じて治療方針を検討

2026.09.28

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QOLを高めるがんサポーティブケア 第10回(中編)がん患者の約7割を占める高齢がん患者の特徴は個人差が大きいこと。「80歳以上だから」など高齢を理由に治療を諦める時代ではなくなっています。今号は高齢者が治療を選択する際の目標設定やポイントを中心に解説します。

高齢者のがん

[解説してくださる方]
福岡大学病院
医療情報部教授
吉田陽一郎先生

よしだ・よういちろう 1996年、産業医科大学医学部卒業。同大学病院第一外科などを経て2010年より福岡大学病院消化器外科に所属。23年より現職。消化器外科診療教授を兼務。専門は大腸がん。「高齢者がん診療ガイドライン」 作成委員、「高齢者機能評価に基づくがん治療方針最適化教育プロジェクト」 研究代表などを務める。

よしだ・よういちろう 1996年、産業医科大学医学部卒業。同大学病院第一外科などを経て2010年より福岡大学病院消化器外科に所属。23年より現職。消化器外科診療教授を兼務。専門は大腸がん。「高齢者がん診療ガイドライン」 作成委員、「高齢者機能評価に基づくがん治療方針最適化教育プロジェクト」 研究代表などを務める。

高齢者総合機能評価に基づいた治療方針の検討・決定が推奨

「治療方針の決定を含め、高齢者のがん治療を行う際には“がんだけをみるのではなく、その人全体をみる”ことが最も大切です」と吉田先生はいいます。というのも壮年期では「がんを治す」ことが治療目標になりますが、高齢期では「がんを治す」ことと「その人らしい生活を守る(維持する)」ことの両立が治療の大きな目標になるからです。この目標を実現するためには診断時、がんの状況とともに、患者さんの身体機能、認知機能、持病(併存疾患)の有無、栄養状態、家族の支援状況、本人の価値観などを評価することが重要であると考えられています。そして、その評価に基づき、治療方針を検討・決定することが推奨されるようになってきました(下表)。

体力や生活能力を評価したうえで治療方針を検討

吉田陽一郎先生提供資料をもとに作成

吉田陽一郎先生提供資料をもとに作成



近年、その評価方法の一つとして活用されているのが「高齢者総合機能評価(CGA)」です。これは、がん医療に限らず、高齢者医療・ケア全般で使われている評価ツールです。身体的・精神的・社会的側面から多面的に生活機能を評価することで、一人一人の状態に応じた最適な治療やケアを選択し、さらには治療によるダメージを最小限に抑えるための予防的なサポートが可能になります。すべての高齢がん患者さんにCGAを実施するのは時間的にもマンパワー的にも厳しいため、簡易版(G8)スクリーニングツール(下表)を用いて食事、歩行状態、服薬数などを調べます。G8では17点満点中14点以下はフレイルの疑いがあると診断され、さらに詳しく調べるためにCGA検査が行われます。

フレイルの疑いがある人は、より詳しい機能評価を

日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)ホームページ掲載資料をもとに作成

日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)ホームページ掲載資料をもとに作成


「ただし、CGA検査も万能ではありません。この検査で問題ないと判断された人に治療を施すと重い合併症や副作用を引き起こしたというのはよくあることで、CGA検査だけで治療中のダメージを正確に予測するのは難しいのです」と吉田先生は指摘します。

(次回へ続く。)

・連載「がんサポーティブケア」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2026年10月号

家庭画報 2026年10月号

取材・文/渡辺千鶴

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