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がん薬物療法の手強い副作用、漢方なら1処方で改善できることも

2026.07.29

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QOLを高めるがんサポーティブケア 第8回(中編)がん薬物療法に伴う副作用に対処するための薬剤が開発されている一方で、対応しきれない副作用も少なくありません。このような難治性の副作用に対し、漢方薬による支持療法が取り組まれており、その有用性が期待されています。・前回の記事はこちら→

漢方による苦痛の軽減

[解説してくださる方]
福井県済生会病院 内科顧問
金沢医科大学名誉教授
元雄良治先生

元雄良治先生

もとお・よしはる 1980年、東京医科歯科大学(現 東京科学大学)医学部卒業。金沢大学がん研究所腫瘍内科等を経て2005年、金沢医科大学腫瘍内科学主任教授に就任。がん薬物療法と漢方の二刀流で、がん治療にあたる。26年4月より現職。日本がんサポーティブケア学会漢方部会部会長。国際東洋医学会会長。

信頼性の高い研究手法によって漢方薬のエビデンスが明らかに

2007年から日本東洋医学会EBM委員会は、最も信頼性の高い研究手法であるランダム化比較試験(RCT)が行われた漢方薬の研究抄録をまとめ、「漢方治療エビデンスレポート」として同学会のウェブサイトで一般公開しています。収載されている594件(2026年1月末現在)の研究抄録のうち、がんサポーティブケアに関連するのは110件で、がん薬物療法の副作用対策が53件、次いで手術後の合併症対策が31件掲載されています。

「2010年以降、漢方薬に対するRCTの研究論文が現代医学の権威あるジャーナルにどんどん発表され、エビデンスが明らかになってきたことで、がん治療の現場でも副作用・合併症対策の一つとして漢方薬を用いるようになりました。現在、がん治療医の7~8割が使用していると推測されます」と元雄先生は漢方による支持療法が普及してきた背景について説明します。


がん3大療法の副作用・合併症対策に漢方を積極的に活用

『がんサポーティブケアのための漢方活用ガイド』日本がんサポーティブケア学会監修・同漢方部会編(南山堂刊)を参考に作成

『がんサポーティブケアのための漢方活用ガイド』日本がんサポーティブケア学会監修・同漢方部会編(南山堂刊)を参考に作成


がんの3大療法の副作用・合併症対策に用いられる主な漢方薬は上表のとおりで、各症状への効果はRCTによっても証明されています。「食欲不振に効く六君子湯(りっくんしとう)や全身倦怠感・疲労感を改善する補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は、漢方の教科書に記載されている、とても有名な基本処方です」(元雄先生)。

このような基本処方はあるものの、その効果が芳しくない場合は丁寧な問診によって、患者の体質や状態を把握したうえで、次の一手、二手となる処方を行ったり、主訴だけでなく随伴症状に合わせて、ほかの薬を使い分けたり組み合わせたりできるのが漢方の極意です。

「例えば、全身倦怠感・疲労感の漢方治療では基本処方である補中益気湯を含め、随伴症状に応じて5種類の漢方薬を使い分けます」と元雄先生は説明します(下表)。

同じ症状でも個々の状態に応じて最適な漢方薬は異なる

『がんサポーティブケアのための漢方活用ガイド』日本がんサポーティブケア学会監修・同漢方部会編(南山堂刊)を参考に作成

『がんサポーティブケアのための漢方活用ガイド』日本がんサポーティブケア学会監修・同漢方部会編(南山堂刊)を参考に作成


(次回へ続く。)

連載「がんサポーティブケア」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2026年08月号

家庭画報 2026年08月号

取材・文/渡辺千鶴

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