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がん薬物療法で現れる難治性の副作用に、漢方を併用して治療の完遂を目指す

2026.07.28

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QOLを高めるがんサポーティブケア 第8回(前編)がん薬物療法に伴う副作用に対処するための薬剤が開発されている一方で、対応しきれない副作用も少なくありません。このような難治性の副作用に対し、漢方薬による支持療法が取り組まれており、その有用性が期待されています。

漢方による苦痛の軽減

[解説してくださる方]
福井県済生会病院 内科顧問
金沢医科大学名誉教授
元雄良治先生

元雄良治先生

もとお・よしはる 1980年、東京医科歯科大学(現 東京科学大学)医学部卒業。金沢大学がん研究所腫瘍内科等を経て2005年、金沢医科大学腫瘍内科学主任教授に就任。がん薬物療法と漢方の二刀流で、がん治療にあたる。26年4月より現職。日本がんサポーティブケア学会漢方部会部会長。国際東洋医学会会長。

標準的ながんの支持療法では対応しきれない副作用がある

がんの3大療法(手術、薬物療法、放射線療法)を行う際、しばしば副作用や合併症を伴います。なかでも薬物療法は、全身倦怠感・疲労感、悪心・嘔吐、食欲不振、末梢神経障害、口腔粘膜炎、好中球減少など、さまざまな副作用が出現します。これらの副作用を予防・軽減するために治療の際には支持療法、すなわちがんサポーティブケアが必ず提供されます。「近年、支持療法のための優れた薬剤が開発され、悪心・嘔吐、好中球減少は上手にコントロールできるようになりました」とがん薬物療法の専門家でもある元雄良治先生は説明します。

がん治療に伴う精神症状にも漢方アプローチが可能

『がんサポーティブケアのための漢方活用ガイド』日本がんサポーティブケア学会監修・同漢方部会編(南山堂刊)を参考に作成

『がんサポーティブケアのための漢方活用ガイド』日本がんサポーティブケア学会監修・同漢方部会編(南山堂刊)を参考に作成



一方で、西洋薬ではコントロールが難しい副作用も少なくなく、全身倦怠感・疲労感、食欲不振、しびれは3大難治性症状といわれます。「これらを含め、標準的な支持療法では対応しきれない副作用対策の切り札として注目してほしいのが漢方医学(以下、漢方)です」と元雄先生はいいます。

がんの支持療法として漢方薬による薬物療法を活用

漢方とは、古代中国の伝統医学を起源とし、長い年月をかけて独自の発展を遂げた日本古来の医療体系です。「個々の患者さんの体質や症状に合わせてオーダーメイド治療を行うのが最大の特徴で、病気を単なる局所の異常ではなく体全体の不調としてとらえることで、多様で複雑な症状に対応することができるのです」(元雄先生)。

治療手段には、漢方薬、鍼灸、気功、食養生があり、がんの支持療法として医療機関で主に行われているのが漢方薬による薬物療法です。

「漢方には“異病同治”という概念があり、異なる症状であっても同じ病態に由来するものなら同じ処方を用いることができます。つまり、がん薬物療法の副作用のように複数の症状が重なり合って出現するときは、一つの症状に一つの薬剤で対応する西洋薬よりも複数の症状に一つの薬剤で対応できる漢方薬のほうがポリファーマシー(多くの薬剤を服用することによる副作用の出現、薬の飲み間違い、飲み忘れなどの有害事象)や患者さんの服薬の負担を軽くする点でも適しているのです」と元雄先生は漢方を活用する利点を示します。

また、日本の漢方エキス剤は世界最高品質を誇り、148種類の漢方処方に健康保険が使えて薬剤費の自己負担が少ないのもメリットです。

(次回へ続く。)

連載「がんサポーティブケア」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2026年08月号

家庭画報 2026年08月号

取材・文/渡辺千鶴

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