QOLを高めるがんサポーティブケア 第7回(後編)近年、がん医療の現場でもリハビリの意義が認められるようになりました。合併症や後遺症が出てからの対応ではなく、治療前から行う予防的リハビリに重点が置かれています。ベースとなる運動療法の新たな効果も判明しています。・
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がんのリハビリ
[解説してくださる方]
慶應義塾大学医学部
リハビリテーション医学教室 教授
辻 哲也先生

つじ・てつや 1990年、慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。同大学リハビリテーション医学教室に入局後、英国留学、静岡県立静岡がんセンターリハビリテーション科部長などを経て、2020年より現職。がんリハビリの先駆者として、この分野の開拓・発展に尽力する。日本がんリハビリテーション学会理事長。
治療が一段落しても運動を継続。再発予防にも効果が期待できる
「治療が一段落しても、毎日の運動を続けることがとても重要です」と辻先生は指摘します。というのも、カナダやオーストラリアを中心に実施した国際共同研究で運動療法が再発予防に高い効果を示すことが明らかになったからです(下コラム)。
治療後に運動療法を取り入れることが生存期間の延長に有効
●Challenge試験の概要と結果介入者:結腸がんの手術と補助化学療法を完了した患者(ステージⅡ・Ⅲ)889名(運動群445名、対照群444名)
追跡期間:3年間
運動群:体系的な運動プログラムに参加目標:有酸素運動をベースラインから週10メッツ・時以上増やす。
例)早歩き(4メッツ)を週2.5時間(30分×週5日)など
【フェーズ 1(0~6か月)】2週間に1回の対面での行動サポート+運動指導セッションへの参加(義務)。別の週にも運動指導セッションへの参加を強く推奨。
【フェーズ 2(6~12か月)】2週間に1回の行動サポートセッションへの参加(義務)。対面または遠隔(電話・ビデオ)かの選択可。
【フェーズ 3(12~36か月)】月に1回の行動サポートセッションへの参加(義務)。対面または遠隔かの選択可。
対照群:健康教育教材の受け渡しのみ結果
運動群は対照群に比べて再発・死亡リスクが28%低下。8年後の全生存率に7.1%の絶対的な差。(運動群90.3%、対照群83.2%)
Irwin ML.Extending Cancer Survival with Exercise-Time for Oncology to Act.N Engl J Med.2025 Jul 3;393(1): 82-84.
「運動群は、そうでない群に比べて再発・死亡リスクが28パーセント低下し、8年後の生存率は約7パーセントもの差がありました。つまり、運動が手術や薬物療法に上乗せして生存期間を延長させたのです。この効果の大きさは薬物療法に匹敵し、運動療法が補完ではなく、“第4のがん治療の柱”となる可能性を示唆しています」と辻先生は高く評価します。この研究では運動療法が新たながんの発症も抑えることがわかっています。
「がんのリハビリでは、患者さんに運動の継続を促す支援とシステムがより重要だと考えられるようになってきました。がんになってから行動を変えるのは難しいため、健康なうちから運動習慣をつけておくことが肝心です」
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