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がんと診断された直後から予防的に行うリハビリがQOLの維持に役立つ

2026.06.22

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QOLを高めるがんサポーティブケア 第7回(前編)近年、がん医療の現場でもリハビリの意義が認められるようになりました。合併症や後遺症が出てからの対応ではなく、治療前から行う予防的リハビリに重点が置かれています。ベースとなる運動療法の新たな効果も判明しています。

がんのリハビリ

[解説してくださる方]
慶應義塾大学医学部
リハビリテーション医学教室 教授
辻 哲也先生

辻 哲也先生

つじ・てつや 1990年、慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。同大学リハビリテーション医学教室に入局後、英国留学、静岡県立静岡がんセンターリハビリテーション科部長などを経て、2020年より現職。がんリハビリの先駆者として、この分野の開拓・発展に尽力する。日本がんリハビリテーション学会理事長。

がん診療連携拠点病院を中心にリハビリに取り組む病院が増加

リハビリテーションは、病気やケガなどで低下した心身の機能回復を図り、その人らしい自立した生活を取り戻すために必要不可欠な医療です。こうした意義が、近年、がん医療においても認識されるようになり、がん診療連携拠点病院を中心に「がんのリハビリテーション(以下、がんのリハビリ)」に積極的に取り組む医療機関が増えています。

黎明期からこの分野を切り拓いてきた辻 哲也先生は「がんは不治の病ではなく、慢性疾患として捉えられる時代になりました。がん患者さんも適切なリハビリテーションの治療や支援によって、ご本人が望む日常生活を送ることが可能です」といいます。


そもそもがんになると、さまざまな身体機能がダメージを受けます(表)。

「がんは、体のあらゆる部位に発生するため、その部位が持つ機能が冒されることで特定の障害が起こります。例えば、がんが骨に転移すると痛みが出たり骨折したり、がんが末梢神経を巻き込んで大きくなると手足がしびれたり筋力が低下したりします」。

がん治療によっても体のさまざまな部位に機能障害が起こる

辻 哲也先生への取材、国立がん研究センターがん情報サービス「がんとリハビリテーション医療」をもとに作成

辻 哲也先生への取材、国立がん研究センターがん情報サービス「がんとリハビリテーション医療」をもとに作成

がんの手術や薬物療法なども身体機能にダメージを与える

がんの治療も同様に身体機能にダメージを与えます(表)。特に侵襲性の高い手術は合併症や後遺症を発症しやすく、胸やおなかを切開することで肺炎や無気肺を、リンパ節や神経を取ることでリンパ浮腫や運動機能障害を起こすことがあります。

さらに、がんが存在する部位を摘出することでその部位が持つ機能(発声、嚥下、排尿排便、歩行など)を失うことがあります。

「薬物療法や放射線療法、血液がんの治療で行われる骨髄移植などの治療中も、筋力や体力の低下などが起こりやすくなります。副作用などで治療の負担が大きいと心身ともに疲れ果て、食欲が低下して倦怠感などが生じ、活動量が減ってしまうからです」

また、体の中にがんがあることで「がん悪液質」(がんが栄養を奪うことで体重減少、食欲不振、筋力の低下などが出現する)と呼ばれる状態にもなりやすく、身体機能の低下にさらに追い打ちをかけます。

「がんと診断された直後からどのような時期でもがんのリハビリに取り組むことが大切です。それにより心身の機能維持と回復を図り、治療効果を高め、生活の質(QOL)向上だけでなく生命予後にもよい影響をもたらします」

(次回へ続く。)

連載「がんサポーティブケア」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2026年07月号

家庭画報 2026年07月号

取材・文/渡辺千鶴

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