QOLを高めるがんサポーティブケア 第6回(後編)歯周炎・歯周病など口の中の状態ががん治療中に種々の悪影響を及ぼすことが明らかになり、がん治療前から歯科治療や口腔ケアのサポートが行われるようになりました。今回は発症頻度の高い口腔トラブルを中心に対策を紹介します。・
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口腔トラブルのサポート
[解説してくださる方]
国立がん研究センター 中央病院 歯科 歯科医長
上野尚雄先生

うえの・たかお 1997年、北海道大学歯学部卒業。歯学博士。同大学第一口腔外科に入局。静岡県立静岡がんセンター歯科口腔外科を経て、2008年より国立がん研究センター中央病院歯科に所属。12年より現職。専門はがん治療における歯科支持医療。日本がんサポーティブケア学会粘膜炎部会部会長。
骨転移の治療薬を使う場合は薬剤関連顎骨壊死に要注意
さらに、がん患者の口腔トラブルで問題になってきているのが、薬剤関連顎骨(がっこつ)壊死です。骨転移の治療薬として骨を丈夫にする骨吸収抑制薬(ビスホスホネート製剤など)を投与しますが、年単位で使い続けていると数パーセントの人が顎骨壊死を発症することがあります。骨が壊死すると痛みが生じ、食べる機能などが著しく低下し、生活の質が損なわれます。
「近年の研究では口の中の慢性炎症、特に衛生管理が不十分な歯周炎が顎骨壊死の発症リスクを高めることが明らかになっています」と上野先生は説明します。すなわち、顎骨壊死の予防でも歯周炎の管理が重要であることが示唆されているのです。「骨吸収抑制薬を投薬中から歯科で定期的に口腔ケアを行い、歯周炎を管理することで顎骨壊死の発症リスクを減らしましょう」。
歯性感染症や薬剤関連顎骨壊死への対応も歯科での予防的サポートがカギに
●歯性感染症への対応【口腔・咽頭は全身感染症の熱源となるリスクが高い。特に歯周炎・歯周病があると歯性感染症を引き起こしやすい】対策:がんの治療開始前から歯科でのサポートを受け、感染リスクを低下させるサポート(1)感染源となりうる歯垢(プラーク)や歯石などの細菌性の汚染物を清掃・除去してもらう
サポート(2)セルフケアが行えるように歯ブラシを用いた適切な清掃方法を指導してもらう
●薬剤関連顎骨壊死への対応【骨転移で骨を丈夫にする薬を長期間服用すると顎骨壊死を発症することがある。管理不足の歯周炎があるとリスクが高まる】対策:骨を丈夫にする薬を投薬中から歯科で定期的に口腔ケアを受け、発症リスクを減らす発症後のサポート:投薬と口腔ケアを中心に保存的ケアが行われる。痛みを取ったり食事を食べやすくするために抜歯を検討することもある
上野尚雄先生への取材および提供資料をもとに作成
がんの治療中に歯科での口腔ケアを受けたくなったら主治医に申し出て歯科に繫いでもらいます。薬物治療中の人は外来化学療法室の看護師に相談するのもよいでしょう。
また、日本歯科医師会は一般の歯科医を対象に講習会を開催し、「がん診療連携登録歯科医」(がん患者への歯科治療や口腔ケアの知識を習得した歯科医)を養成しています。この資格を持つ歯科医も受診先の目安になります。
「がんになる前から歯科による口腔ケアを定期的に受けていた人は、がん治療中の口腔トラブルが少ない印象です。いざというとき、困らないように健康なうちから口腔ケアにも取り組んでおくことが重要です」と上野先生はアドバイスしています。
口腔ケアに関する情報を知りたい
●日本歯科医師会「歯とお口のことなら何でもわかるテーマパーク8020/ブラッシング」※日本歯科医師会では、虫歯や歯周病予防を目的とした正しいブラッシング法の情報を提供しています。
https://www.jda.or.jp/park/prevent/index08_04.html●がん情報サービス「口内炎・口内の乾燥」※国立がん研究センターがん情報サービスでは、口腔トラブルのうち、口内炎や口内の乾燥ケアに関する情報を提供しています。
https://ganjoho.jp/public/support/condition/stomatitis/index.html●「がん診療連携登録歯科医名簿」※国立がん研究センターがん情報サービスでは、日本歯科医師会が主催する「全国共通がん医科歯科連携講習会」を修了し、がん患者さんへの口腔ケアや歯科治療についての知識を習得した「がん診療連携登録歯科医」の名簿を公開しています。
https://ganjoho.jp/med_pro/cancer_control/medical_treatment/dental/dentist_search.html・
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