【前編】80代は“人生最後の自由な10年”。その質は50代からの過ごし方で決まる──。そう語る82歳の現役内科医・菅沼安嬉子先生に、100歳まで心も体も元気でいるための心構えを教えていただきました。
「心と体」82歳現役内科医が教える“健康長寿”の知恵
100歳までのライフプランを立てる
今も現役内科医として診療を続けている菅沼安嬉子先生。80歳を過ぎてもイキイキと輝くためには、50代からの心構えと準備が大事だといいます。
「人生100年時代を迎えた今、50歳はまだ人生の半分。そこから先が長いのです。50代で準備を始め、還暦を迎える60歳で第二の人生をスタート。60代はやってみたいことにいろいろトライし、70代でこの先の方向性を絞り、80代はいよいよ人生の総仕上げ。そんなライフプランを立ててみてはどうでしょう」と菅沼先生は語ります。
「人生二毛作」を念頭において
「私の母は美術学校で日本画を学びましたが、結婚と同時に絵を諦めざるをえませんでした。でも、更年期を過ぎてから絵を再開し、スケッチ旅行に出かけたり展覧会に出展して入選するなど、第二の青春を満喫。まさに“人生二毛作”です」。
そう話す菅沼先生のお母様の時代よりさらに寿命が延びている今、二毛作目の人生はもっと長くなっています。
「70代、80代は、決して“余生”ではありません。70代は第二の成熟期、そして80歳からが人生本番。その時期を充実させるためには、50代から“年代に応じた”心身の健康管理を行い、少しでも健康寿命を延ばすことが大事です」(菅沼先生)。
菅沼安嬉子(すがぬま・あきこ) 
1943年、東京都生まれ。1968年、慶應義塾大学医学部卒業。現在、菅沼三田診療所副院長。地域医療に貢献するとともに、長年、産業医としても働く人の健康を支えてきた。1985~2000年までの15年間、母校の慶應義塾女子高等学校で保健授業の講師を務めた。2001~2008年、慶應義塾大学看護医療学部講師(臨床栄養学)。2020年、女性で初めて慶應連合三田会会長に就任。
無理のない運動を心がける

アイロンを持って腕を上げ下げしたり、洗面台につかまって腕立て伏せを行ったり、床にあおむけになってソファの下に足を入れて固定して腹筋を行うなど、身近なものを利用した簡単体操で、筋力を落とさないようにしています。気軽に行えるのが長続きのコツなのだそう。
お洒落は毎日欠かさずに

現在、サービス付きシニアレジデンスで暮らす菅沼先生。メイクやお洒落を楽しみ、特に服は上質なものを長く着ます。ただし流行を多少は意識し、美容院で雑誌を見たり電車の中などでいろいろな女性のファッションを見て参考にすることも。人と会うときは、美容院で髪のセットをしてもらいます。
ナノプラスチック問題を新たなライフワークに

ペットボトル飲料などを通して微細なナノプラスチックが人体に蓄積しているという事実を知り、この問題に取り組むことを新たなライフワークに。

研究者や企業と連携し、研究活動やプラスチックフリーの自動販売機の普及などに奔走しています。2026年1月にはアメリカで行われたこの問題に関するカンファレンスに参加し、講演を行いました。
現役内科医として週1回の診療を行う

“寄り添う診療”を信条とし、診察中は常に笑顔での対応を心がけます。病気の背景に何があるのかを知ると治療にも役立つので、しっかり話を聞くことが大事、というのが持論。その人柄を慕って長年通う患者さんも多く、今も週1回は診療に携わっています。
『80歳、これからが人生本番』

1870円(税込み)世界文化社刊
82歳の今も現役医師として働き、社会活動も行っている菅沼先生が、医学的見地に加え自身の経験から提案する、80代でも輝き続けるための、50代からの“生き方”指南。
(次回へ続く。)