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認知症の発症に関わる悪玉物質「ホモシステイン」を排出する栄養素と脳にいい食べ物

2026.05.08

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医師が教える認知症予防マニュアル(4) 現在、認知症患者はおよそ700万人いるといわれ、その数は増え続けています。この連載では、長年にわたって認知症患者の治療に当たってきた医師の今野裕之先生の著書『ボケたくなければ「寝る前3時間は食べない」から始めよう』(世界文化社)より、認知症の正しい情報と、予防につながる実践的な方法をお伝えします。


認知症リスクを高める「ホモシステイン」

前回記事では、夜から翌朝までの12時間食べない「間欠的ファスティング」のメリットと、認知症予防のためにとりたい食品について解説しました。

今回は、認知症の発症に悪影響を及ぼすとして、最近注目されている「ホモシステイン」という物質についてお話しします。

ホモシステインは、必須アミノ酸(体内には存在せず食事で摂る必要のあるアミノ酸)の一種「メチオニン」が代謝されてできる物質です。メチオニンは食肉やマグロ、カツオなどの魚介類、乳製品、豆類やナッツにも多く含まれており、代謝されて美白に関わるシステインや、抗酸化作用や肝機能を高める作用を持つグルタチオンなどに変わる重要な物質です。

ところが、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12などの特定の栄養素が欠乏すると、メチオニンの代謝が滞り、システインやグルタチオンに変えることができず、その手前で作られるホモシステインが血液中に増えてきます。


ホモシステインは動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中のリスクを高める悪玉物質で、血管を傷つけ、血管性認知症やアルツハイマー型認知症の発症にも影響を及ぼします。さらに酸化すると、神経を傷つけてアミロイドβを増やす働きのある「ホモシステイン酸」という別の悪玉物質に変わるのです。

ホモシステイン値の高さと認知機能の低下は関連する

私は、これまで認知症の栄養療法に取り組む中で、認知症のリスクとなるホモシステインの値に注目してきました。実際、血液中のホモシステインが多いと認知症が起こりやすくなるということが、複数の研究から報告されています。

だからこそ、ホモシステインの代謝を促してくれる葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12などが不足しないように、食事から補給していくことが大変重要です。

ホモシステインと認知症に関する世界のデータ

ホモシステイン値が最も高い中年女性のグループは、最も低いグループに比べて20~30年後に脳梗塞を起こすリスクが3倍、アルツハイマー型認知症になる確率が2.4倍だった(スウェーデン・イエテボリ大学)

認知症を発症していない1092名の高齢者を8年間追跡調査したところ、血中ホモシステイン濃度が14nmol/mlを超えるとアルツハイマー型認知症の発症リスクがほぼ倍になった(アメリカ・フラミンガム心臓研究)

61~87歳の任意の参加者100名を5年間調査したところ、ホモシステインの代謝に欠かせないビタミンB12の血中濃度が最も低いグループでは、最も高いグループの6倍脳の萎縮が進行していた(イギリス・オックスフォード大学) 

ホモシステイン値が高いと、認知症の前段階である老化に伴う認知機能障害(軽度認知障害)をきたす確率が240%も高くなる(アメリカ・ミシガン大学)

脳の健康を維持する栄養補給のコツ

ホモシステインの代謝を促し、動脈硬化の進行や脳のゴミの蓄積を防ぐために大切なのは、ビタミンB群である「葉酸」「ビタミンB6」「ビタミンB12」を食事から摂ることです。3つのどれか1つではなく、すべてが十分に体内にあることが、ホモシステインを減らすことにつながります。

ビタミンB群は体に蓄積されないので、毎日摂ることが必要です。また、ビタミンB群は糖質や脂質の代謝にも欠かせないため、パンやご飯をたくさん食べたりアルコールを飲む人では不足しがち。糖質を食べすぎないことはビタミンB群の浪費を防ぎ、認知症予防にもつながります。

葉酸

ほうれん草や小松菜、ブロッコリーなどの葉物野菜は葉酸を多く含む。

ほうれん草や小松菜、ブロッコリーなどの葉物野菜は葉酸を多く含む。

野菜類や豆、海藻などに多く含まれる。体内では腸内細菌により合成され、赤血球を作ったりDNAの合成にかかわったりする。

ビタミンB6

植物性食品のなかではビタミンB6が豊富なバナナ。

植物性食品のなかではビタミンB6が豊富なバナナ。

動物性、植物性の様々な食品に含まれるため、偏りなく食べることが大切。脳内では、ドーパミン、セロトニン、GABA などの神経伝達物質の合成に欠かせない栄養素。

ビタミンB12

あさりは貝類の中ではビタミンB12の含有量がトップクラス。

あさりは貝類の中ではビタミンB12の含有量がトップクラス。

牛、豚、鶏などのレバーや魚介類に多く含まれる。葉酸とともにDNA合成に不可欠で、赤血球の形状にもかかわる。食事で不足しがちな場合はサプリメントも利用できる。

認知症予防のエビデンスがある栄養成分

上記以外に、認知症予防のためによいとされるのが、抗酸化作用のあるポリフェノールです。植物に含まれる健康成分で、どのポリフェノールにも抗酸化作用がありますが、なかでも認知症予防のエビデンスがあるものをご紹介します。

クルクミン
生薬でもあるウコンに含まれる黄色い色素で、カレーのスパイスの一つとして知られる。肝臓の解毒作用を高める、胆汁分泌を促進する、アルコール分解を促進するといった働きがある。アミロイドβの蓄積を予防する効果もあるため、カレーライスで摂るならご飯を玄米やバターライスに変更して量を控えめに。

フェルラ酸
玄米、雑穀ふすまなどから摂取できるポリフェノール。抗酸化作用、抗炎症作用を持ち、アミロイドβの産生や神経毒性を抑制する。記憶力に関する神経伝達物質の分解を防ぐ「ガーデンアンゼリカ」というハーブエキスとあわせて、認知症予防のサプリメントとして販売されている。

カテキン
緑茶に含まれる成分で、抗菌、抗炎症、抗酸化、血圧上昇抑制、脂質代謝改善、抗アレルギーなど、様々な作用を持つ。アミロイドβなどの凝集を抑え毒性を弱めるという報告があるほか、レビー小体型認知症やパーキンソン病の脳内に蓄積するαシヌクレインの凝集や毒性を防ぐ可能性も報告されている。

ここまで、認知症の予防に役立つ食品についてお伝えしてきました。次回は、脳のゴミ出しを促す睡眠のとり方についてお話しします。


今野裕之先生

こんの・ひろゆき 医療法人社団TLC 医療会 ブレインケアクリニック名誉院長。一般社団法人日本ブレインケア・認知症予防研究所所長。博士(医学)・精神保健指定医・精神科専門医・日本抗加齢医学会認定専門医。日本初のリコード法(アルツハイマー型認知症の治療プログラム)認定医。順天堂大学大学院卒業。日本大学医学部附属板橋病院、薫風会山田病院などを経て、2016 年ブレインケアクリニックを開院。リコード法を導入し、一人ひとりの患者に合わせた診療を行っている。また、認知症予防・治療に栄養療法を取り入れている。

認知症診療医が、誰でもすぐにできて続けられる認知症予防のコツをお伝え 『ボケたくなければ「寝る前3時間は食べない」から始めよう』

『ボケたくなければ「寝る前3時間は食べない」から始めよう』

アルツハイマー型認知症の原因物質と考えられているアミロイドβなどを除去するには、質のよい睡眠が大切です。「寝る前3時間は食べない」習慣が深い眠りを導く仕組みを、わかりやすく解説。さらに、食事のとり方や簡単な運動など、つらくないから続けられる“脳にいい”習慣をご紹介します。 

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構成・編集協力/南雲つぐみ

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