〔特集〕正しく知れば怖くない 認知症の「新常識」 50代を迎え人生の折り返し地点を通過。親も高齢になり、「認知症」が身近な問題として徐々に存在感を増してきました。今、私たちが取り組むべきは、認知症を正しく理解し、恐れず、効果的な予防法に努め、適切な医療を求めること。まずは、ありがちな誤解や思い込みを改め、正しい知識を“新たな常識”として身につけることから始めましょう。
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【調べる】
アミロイドβの蓄積を早期検出
アルツハイマー病検査の最前線
認知症の中で最も多いアルツハイマー病では、その原因物質の一つであるアミロイドβの蓄積を検出する技術が開発され、かなり早い段階から脳の状態を調べることが可能になりました。早期予見・早期予防に着目した新しい脳ドックも登場しています。その最前線をご紹介します。
[お話を伺った方]
アルツクリニック東京 院長
新井平伊(あらい・へいい)先生
順天堂大学医学部名誉教授。2019 年より現職。「アルツハイマー病研究者世界トップ100」に選出された研究者の一人で、認知症に対して国内屈指の高度な知見を持つ。
アミロイドPET&健脳カフェで予備群を診断して発症を遅らせる
「発症すれば治らない病気であることに変わりありませんが、認知症の中で最も多いアルツハイマー病に対しては原因物質のアミロイドβを無症状期から検出できる画像検査(アミロイドPET)やアミロイドβを取り除く薬剤(レカネマブ、ドナネマブ)が開発されたことで早期予見・早期予防が可能になりました。軽度認知障害(MCI)に保険診療が適用されたのは、このことを象徴する出来事で、より確実に発症を先延ばしにできる時代になったのです」と新井平伊先生は解説します。
アルツハイマー病は、脳にアミロイドβやタウ蛋白が蓄積することで神経細胞の変性が進み、脳の萎縮や認知機能の低下が起こって発症する。この期間は20~30年。有用な検査の登場で早期予見が実現可能に。
Jack et. al. Lancet Neurol(2010/2013)より改変して引用
MRI 検査で「異常なし」の判定であってもアミロイドPET を行うとアミロイドβの蓄積が検出されることがある。しかも、蓄積の有無だけでなく、蓄積量と分布も調べることが可能だ。
●アミロイドPET検査を受けられる施設(日本核医学会PET撮像施設認証を受けている施設一覧) https://jsnm.org/archives/5001/ ※健康な人を対象としたアミロイドPET検査の実施については各施設にお問い合わせください。
アルツクリニック東京では、健康な人を対象にアミロイドPET検査で脳内のアミロイドβの蓄積を可視化する「健脳ドック」を積極的に展開。このオプションとしてタウPETも国内初の試みとして導入しました。
アミロイドβと結合する放射性薬剤を注射後、アミロイドPET を行い、脳内のアミロイドβの蓄積量と分布を調べる。
結果説明と生活習慣の見直しなどをアドバイス。2~3 年後に再検査を受け、アミロイドβ増加傾向の有無を確認することが望ましい。完全予約制(電話予約が必要)。費用は30万3000円。
「発症の20年以上前から脳内変化が始まるため、40~50代の早い段階で一度、自分の脳の状態を確認することが重要です」。アミロイドβの異常蓄積がみられたハイリスク者には「健脳カフェ」と呼ばれる社会活動の場を提供。科学的根拠に基づいた予防プログラムを行っています。

誰でも参加できる健脳カフェでみんなで楽しく予防プログラムを
毎週金曜に開かれる健脳カフェではデュアルタスクを取り入れた運動の後、認知症の発症予防や脳の活性化に効果が期待される麻雀、カラオケなど好きな活動を行う。認知症予防に関心がある人なら誰でも参加できる。鍼施術室もあり、認知症専門鍼灸師が認知症の発症予防や症状改善に取り組んでいる。鍼治療費は別途必要で7700 円(30 分)
「フォローアップ体制があるからこそ、“調べる”意味と価値が見出せるのです」と新井先生は意欲的に取り組んでいます。
アルツクリニック東京PETラボ/健脳カフェ
東京都新宿区左門町20 四谷 メディカルビル1階
TEL:03(3212)0003
PETラボでの健脳ドックは完全予約制。施設内で開催される健脳カフェ(金曜 午前の部10時~12時30分 午後の部14時~16時30分:健康麻雀のみ)は予約不要。参加費1500円。