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リンパ浮腫と上手につきあうには早期発見・早期治療が鍵。自分に合ったケアを知って

2026.03.17

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QOLを高めるがんサポーティブケア 第3回(中編) がん治療によってリンパ液の流れが悪くなることが原因で発症するリンパ浮腫。患者数に対して専門施設が足りず、治療をあきらめている人も少なくありません。リンパ浮腫になっても困らないように基礎知識と対策を知っておきましょう。・前回の記事はこちら→

リンパ浮腫のケア

[解説してくださる方]
リムズ徳島クリニック 院長
日本リンパ浮腫治療学会 理事長
小川佳宏先生
おがわ・よしひろ 1989年、徳島大学医学部医学科卒業。徳島大学病院心臓血管外科を経て、2000年にリンパ浮腫の保存的治療をメーンに行うクリニックを開業。入院設備を備えており、全国から重症患者が受診する。日本リンパ浮腫治療学会をはじめ関連学会の要職を務め、リンパ浮腫の啓発活動(早期発見・早期治療の普及)にも取り組む。

おがわ・よしひろ 1989年、徳島大学医学部医学科卒業。徳島大学病院心臓血管外科を経て、2000年にリンパ浮腫の保存的治療をメーンに行うクリニックを開業。入院設備を備えており、全国から重症患者が受診する。日本リンパ浮腫治療学会をはじめ関連学会の要職を務め、リンパ浮腫の啓発活動(早期発見・早期治療の普及)にも取り組む。

発症すると完治は難しいため早期発見・治療開始が最も重要

手術や放射線治療を受けたからといって、すべての人にリンパ浮腫が起こるわけではありません。「国立がん研究センター中央病院の資料によると、リンパ浮腫の発症率はわきの下のリンパ節切除で20パーセント前後、骨盤内のリンパ節切除で20~30パーセント程度起こることがわかっています。多くの患者さんが発症しないのは、元に戻ろうとする体の力によってダメージを受けたリンパ管やリンパ節の近くにリンパ液を流すための新しいわき道がつくられるからです」と小川先生は説明します。

まれに10年以上経ってリンパ浮腫が発症することもあります。その場合、患者本人もがん治療との関連性に気づけず、近医にむくみを訴えると利尿剤を処方されるケースが多いそうです。


「利尿剤を服用しても改善しないときは、患者さんも医師も仕方がないとあきらめて放置されることも少なくありません」と小川先生は指摘します。

しかし、いったん発症したリンパ浮腫を完全に治すのは難しく、どのような状況に置かれても早期に気づき、できるだけ早く適切な治療を始めることがリンパ浮腫とうまくつきあうための重要なポイントであると小川先生は強調します。

「初期の頃は腕や脚が重だるい、皮膚表面に違和感がある、腫れぼったいなどの症状がみられます(下表)。

治療によるリンパ浮腫の発症は2~3割程度

国立がん研究センター中央病院公式チャンネル「お知らせしたいリンパ浮腫の知識」を参考に作成
最初にリンパ浮腫が起こりやすい部位もわかっていて、上半身の場合は二の腕や肩甲骨の周辺、下半身の場合は陰部、下腹部、太ももの内側になります。このような部位を中心に皮膚の表面をつまんで、むくみに早く気づくようにしましょう。

できるだけ早く「むくみ」のサインに気づく

●がんの手術や放射線治療後にリンパ浮腫が起こりやすい場所
1.わきの下(腋窩)のリンパ節を切除した場合
切除した側の腕、胸、背中、わきの下

2.骨盤内や脚の付け根(鼠径部)のリンパ節を切除した場合
切除した側の脚または両脚、おなかの下側、陰部

3.放射線治療をした場合
放射線を照射した部位の近く

国立がんセンター国立がん研究センター
「がん情報サービス/リンパ浮腫」を参考に作成


●皮膚をつまんで「むくみ」を確認する方法
リンパ浮腫になりやすい部分の皮膚をつまんでみます。皮膚がつまめず、手脚の左右で太さに違いがみられるときはリンパ浮腫が起こり始めているサイン。担当医にすぐに相談しましょう。皮膚の表面からむくんでくるため、毎日触ってみることが大切です。

小川佳宏先生への取材をもとに作成


皮膚がつまめず、腕や脚の太さに左右差がみられるときはリンパ浮腫が起こり始めているサインです。この段階のリンパ浮腫は自然によくなることもありますが、むくみが引いたからといって様子をみるのではなく、がんの主治医にすぐに相談することが大切です。

リンパ浮腫の専門外来で保存的治療のサポートを受ける

リンパ浮腫の治療は「保存的治療」と「外科的治療」に分かれます(下表)。

「保存的治療」がリンパ浮腫治療の基本

リムズ徳島クリニックHP「リンパ浮腫の治療」、国立がん研究センター中央病院公式チャンネル「お知らせしたいリンパ浮腫の知識」などを参考に作成

リムズ徳島クリニックHP「リンパ浮腫の治療」、国立がん研究センター中央病院公式チャンネル「お知らせしたいリンパ浮腫の知識」などを参考に作成


「保存的治療は複合的治療とも呼ばれ、具体的には日常生活の指導、スキンケア、リンパドレナージ、圧迫療法、圧迫下での運動療法になります。生活習慣病の治療に譬えると食事・運動療法にあたり、リンパ浮腫治療の基本です」。

一方、外科的治療の代表格は手術で、リンパ管と静脈を直接繫ぎ、リンパ液の新たな排出口をつくる顕微鏡下リンパ管静脈吻合手術が主流です。

「近年普及してきた手術を選択する患者さんが増えています。ただ、手術をしても完治することはないので術後も保存的治療の継続が必要です。リンパ浮腫の治療において“むくみにくい生活”を目指すことが何よりも大事で、朝起きたときの状態を夕方まで保持するためにセルフケアに取り組むことが欠かせないのです」と小川先生は強調します。

弾性ストッキングによる圧迫療法などに取り組んで「むくみにくい生活」を

セルフケアの根幹をなす保存的治療に取り組む際には、リンパ浮腫の専門外来を受診してリンパ浮腫治療の専門研修を受けたスタッフ(看護師など)から、自分のリンパ浮腫の状態や生活スタイルに応じたケアの方法を具体的に教えてもらいましょう。

「例えば、弾性ストッキングは患部の太さや皮膚の状態に応じて調整しないと十分な効果が得られません」。

(後編へ続く。)

連載「がんサポーティブケア」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2026年03月号

家庭画報 2026年03月号

取材・文/渡辺千鶴

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