〔特集〕正しく知れば怖くない 認知症の「新常識」 50代を迎え人生の折り返し地点を通過。親も高齢になり、「認知症」が身近な問題として徐々に存在感を増してきました。今、私たちが取り組むべきは、認知症を正しく理解し、恐れず、効果的な予防法に努め、適切な医療を求めること。まずは、ありがちな誤解や思い込みを改め、正しい知識を“新たな常識”として身につけることから始めましょう。
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【予防する】
科学的根拠のある予防法とは?
50代から取り組む生活習慣と体のケア
“認知症予防”の謳い文句が世の中に溢れています。でも私たちが知りたいのは、効果が科学的に証明されている、現役世代にとって“本当に役立つ予防法”。認知症専門医・内田直樹先生のお話をもとにご紹介します。
[お話を伺った方]
たろうクリニック 院長
内田直樹(うちだ・なおき)先生
1978年生まれ。2003年琉球大学医学部医学科卒業。福岡大学病院外来医長などを経て2015年より現職。在宅医療を中心に認知症の診療と生活支援を行う。著著に『脳にいいスマホ』『早合点認知症』(ともにサンマーク出版)ほか。
「“中年期からの日常生活”で、発症リスクが決まる」
多くの認知症専門医が拠りどころとして信頼を寄せる報告書があります。2024年、権威あるイギリスの医学雑誌『ランセット』が主導する委員会(国際的な専門家の協力のもとエビデンスに基づく調査・分析、提言を行う機関)が発表した「修正可能な認知症のリスク因子14」です。一生を若年期、中年期、高齢期に分け、ライフステージごとのリスク因子と、各リスクが認知症発症に影響する割合を示しています。
英医学雑誌『The Lancet(ランセット)』が2024年、「修正可能な認知症のリスク因子14」を発表。中年期からは特に生活習慣病予防、難聴対策、運動が、認知症発症予防に有効であるとわかる。
The Lancet. 2024 ; 404 : 572-628 をもとに改変
「中年期以降のリスク因子の割合を足すと40パーセント。これは今から日常生活に気をつけることで認知症発症のリスクを最大4割減らせることを意味しています。要は自身の心がけ次第。生活改善のモチベーションにも繫がる有意義な情報といえます。私たちはこのデータから、多くを読み取ることができます」(内田先生)。
注目すべき項目は「LDLコレステロール高値(脂質異常症の目安となる)、糖尿病、高血圧」。更年期以降、女性にも増えてくる3つの生活習慣病がすべてリスク因子に含まれているのです。「つまりこれは、“栄養バランスの取れた食事、適度な運動、良質な睡眠、ストレスの軽減”といった生活習慣病予防の基本がそっくり認知症予防と重なることを伝えています」。
福岡県久山町の住人1017名(60歳以上)を15年間追跡調査した結果、糖尿病の人は血糖値が正常な人に比べて2.1倍アルツハイマー型認知症になりやすいことがわかった。
Ohara T, et al. Glucose tolerance status and risk of dementia in the community:the Hisayama Study. Neurology 2011 ; 77 : 1126-1134.をもとに改変
高齢期で目立つ項目は「社会的孤立」です。人によっては年を重ねてから孤立を解消するのは難しく、中年期のうちから人間関係を維持し、社会と繫がりを保ち続けることの大切さにあらためて気づかせてくれます。
内田先生の意識改善アドバイス
スマホを“能動的に”使おう

スマホは、機能やアプリを活用して能動的に使えば認知症予防に役立つ便利なツールになります。たとえばヘルスケアアプリで歩数や歩いた距離を記録して運動のモチベーションを上げる、地図アプリを見ながら知らない土地を歩いてみる、料理を写真に撮って食事日記をつける、オンラインの講演会や趣味の教室を受講するなど用途は無限大。
物忘れが気になる人も、大事な約束の日時はリマインド機能やアラーム設定を活用すれば安心です。
(次回に続く。
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