
「60代以上の女性によく見られるのが、三半規管の異常が原因のめまいです」と石原先生。
三半規管は耳の奥の内耳にあって体の平衡感覚をつかさどる器官で、中はリンパ液で満たされています。私たちが頭を上下左右に動かすとリンパ液の動きが変わり、それによって平衡感覚を得ることができます。しかし、三半規管の中で耳石(カルシウムでできた小さな石)が剥がれ、リンパ液の中に落ちて流れを乱すと、平衡感覚が正しくつかめなくなって、船酔いのようなめまいが起こります。
「この耳石のずれはシニア女性に起こりやすいとされます。たとえば靴のひもを結ぼうとして頭を低くしたときや人に呼ばれて急に振り返ったときなど、頭を動かす場面でグルグルと回転するようなめまいを感じるときは、耳鼻科を受診してください。耳鼻科の医師が耳石を元に戻す治療を行います」(石原先生)
めまいの原因として挙げられる病気にメニエール病があります。内耳にリンパ液が過剰にたまって内耳がむくむことで、めまいや難聴といった症状を引き起こすとされます。

このメニエール病について石原先生は「東洋医学では、メニエール病は『水毒』によるものと考えます」といいます。
「男性に比べて筋肉量が少なく基礎代謝量が低い女性は冷えやすく、体内に水を溜め込みやすい水毒になりがちです。水毒では内耳を満たすリンパ液の量も増えやすく、それが三半規管を乱してめまいを発症します。東洋医学において、水毒はメニエール病の主な原因だと考えられるのです」
増える液量はごくわずかですが、それによってリンパ液の流れが変わり、脳に伝わる刺激が増えるため、時に吐き気を伴うほどのめまいにつながります。
「女性が陥りやすい水毒ですが、多忙やストレスなどが原因で交感神経が優位になりっぱなしの人も、体の“水はけ”が悪くなりがち。睡眠時間を確保したりリラックスしたりするなどして自律神経のバランスを整えることが、水毒の改善、ひいてはめまいの緩和に効果的です」(石原先生)
*次回は、めまいを改善する方法についてお伝えします。
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