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メンタル不調改善の鍵は自律神経。100%防ごうとするより振り回されないことが大切

2026.04.14

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疲れ、冷え、不眠…etc。「なんとなく不調」の改善法(20) 女性に多い「なんとなく不調」。病気ではないものの体調がすぐれず、痛みや不快感を抱えている状態を指します。春は気分の浮き沈みが起こりやすい季節。ストレスや不安感を軽減する方法を、医師の石原新菜先生に伺います。連載一覧はこちら>>
お話を伺った方
石原新菜先生

いしはら・にいな 医師、イシハラクリニック副院長。幼少期をスイスで過ごし、帰国後は伊豆の緑豊かな環境に育つ。帝京大学医学部卒業後、同大学病院で2年間の研修医を経て、現在は父、石原結實のクリニックで治療にあたる。漢方医学、自然療法、食事療法に詳しく、わかりやすい医学解説と親しみやすい人柄から講演や各種メディアでも活躍中。


自律神経のコントロールで気分が整う

ささいなことでイライラしたり、気分が落ち込んだり……。誰しも多かれ少なかれ、こうした経験はあるでしょう。メンタルの浮き沈みをゼロにすることは難しいものの、ストレスや不安感を少しでも軽減して、気持ちを安定させる方法はあるのでしょうか。

「まずは自律神経を整えること。現代人の多くは交感神経が優位になりすぎて、副交感神経がオフにならない状態に陥っています」(石原新菜先生)



交感神経は活動時に優位になります。具体的には心拍数や血圧を上げたり、発汗やエネルギー消費を促進したりすることで、体と心を“戦闘モード”にする働きが。一方、副交感神経は消化や休息時に優位になり、体を“リラックスモード”に導きます。

アクセル役の交感神経とブレーキ役の副交感神経がバランスよく働く状態が理想ですが、ストレスや運動不足、生活リズムの乱れといったさまざまな要因から「副交感神経がオンにならない人が増えている」と石原先生は指摘します。

「自律神経のバランスを整えるために大切なのは、呼吸です。ヨガやストレッチ、ウォーキングなどの運動を呼吸を意識しながら行うことで、副交感神経が優位になりリラックスできます。適度な疲労感が得られることで睡眠の質も上がり、より自律神経の安定につながります。ただし、強度の高すぎる運動は、かえって交感神経を刺激してしまうので避けましょう」

気を巡らせてメンタルをケア

東洋医学では、気分の変調には「気」がかかわっていると捉えます。

「東洋医学において気は生命エネルギーであり、精神のコントロールにもかかわります。気が不足している『気虚(ききょ)』の人は、体が疲れやすいだけでなく気分も落ち込みやすく、うつ状態にもなりやすいとされています。一方、気の巡りが滞っている『気滞(きたい)』の人は、少しのことでイライラしたり、かと思えばすぐに気持ちが沈んだりと、情緒が不安定になりがち。ですから、気が不足している場合は気を補い、その気をきちんと巡らせることで、メンタルの不調に対応できます」(石原先生)

気虚タイプにおすすめの養生法としては、朝食をしっかりとってエネルギーを補うこと。

気が不足しているタイプの人は、まず朝食をしっかりとることから始めて。

気が不足しているタイプの人は、まず朝食をしっかりとることから始めて。

「気虚の人は胃腸が弱く食が細い人が多いのですが、朝は和食中心の食事をしっかりとって、1日のエネルギーを確保してください。気を補う山芋や鶏肉、えびなどの食材を取り入れるのもよいでしょう。気は眠っている間に蓄えられるので、睡眠不足には気をつけてください」(石原先生)

気滞タイプの人は、ハーブやスパイスを取り入れた食事がおすすめです。

「ハーブやスパイスには気の流れを促す働きがあるので、料理以外にもハーブティーや入浴剤などで取り入れてみてください。ほかにもリラックス系のアロマを焚く、瞑想やヨガで深い呼吸をする、なども効果的です」(石原先生)

「今」に集中してストレスから距離を置く

さらに、意識をほんの少し変えるだけでストレスから離れられる、と石原先生。

「マインドフルネスで“今ここ”という言葉(過去や未来ではなく、今この瞬間に意識を向ける状態)がありますが、この考え方はとても役立つと感じています。人間、誰しも『昨日こんな失敗をしてしまった』『明日が憂鬱だ』などと感じることはありますよね。でも、自分が生きているのは“今のこの時間”しかないわけで、過去や未来に振り回されるのはもったいないと思うのです。それに気づいて、“今ここにいること”に集中すれば、頭の中に抱えているストレスから離れられますよ」

ほんの10分程度でもほかのことに集中すると、先ほどまでの悩みが軽く思えたり、違う角度から見たりできるようになるといいます。

“今ここ”を意識できれば、ネガティブ思考や取り越し苦労から解放されやすくなる。

“今ここ”を意識できれば、ネガティブ思考や取り越し苦労から解放されやすくなる。

「ヨガや瞑想はもちろん、どんなことでもよいので集中できる時間をとりましょう。私は運動が好きなので、もっぱらジムで走りますが、ゲームが好きならゲームでもいいし、料理でもいい。とにかく夢中になれる時間を持つことが大切です。忙しいときこそ自分のための時間を作ることで、ストレスから距離を置くことができます」(石原先生)

不調に振り回されない土台作りを

これまで20回にわたり、さまざまな「なんとなく不調」の原因と改善法をお伝えしてきた本連載も今回が最終回。あらためて、石原先生になんとなく不調との付き合い方について伺いました。

「慢性的な運動不足や生活リズムの乱れ、栄養バランスの偏りなど、なんとなく不調を招く原因は数多くあります。とはいえ、現代人は多忙ですから、なかなかすべてを完璧に改善することはできません。それでも、自分の健康の土台がある程度しっかりしていれば、不調に振り回される“振れ幅”が小さくてすみます。この連載では、そのための手段をお伝えしてきたつもりです。腹巻きをするとか、5分でもいいから湯船につかるとか、何もないけどとりあえず味噌汁は飲んでおくとか、それくらい手軽なことでよいので、ぜひご自身の体をいたわってみてください」

小さなことでも意識して続けるうちに、いつしか「なんとなく不調」が「なんか今日、調子いい」に変わるといいます。

「たとえば、頭痛持ちで痛み止めが手放せなかった人が、体を温めることを心がけた結果、『そういえば今月は薬を飲まずにすんだな』と気づいたら、きっとその習慣を続けたくなるのではないでしょうか。それが養生の基本であり、健康の土台が整ってきたということ。ぜひそんなふうにご自分の体と心を大切にして、調子のよい毎日を送っていただけたらと思います」

写真/PIXTA

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