【スイッチOTC】
医療用医薬品として効果と安全性が確立した薬を市販薬にスイッチ
[解説してくださる方]
薬剤師
児島悠史先生
こじま・ゆうし 京都薬科大学大学院修了。大学や薬剤師会での講演、メディア出演・監修、雑誌連載のほか、ブログやX(@Fizz_DI)で科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有も行う。著書に『ドラッグストアで買えるあなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます』(羊土社)など。
スイッチ直後は薬剤師の指導が必要になることも
近年、医師の処方がないと入手できない医療用医薬品の、市販薬(OTC医薬品)への変更が認められる例が増えています。ここ1~2年でも胃腸薬のプロトンポンプ阻害薬(PPI)、片頭痛や不眠の薬、勃起不全(ED)治療薬、緊急避妊薬などが承認され、一部は市販が始まっています。
このように医療用医薬品から市販薬となった薬は「スイッチOTC」と呼ばれます。OTCはOver The Counterの略で、カウンター越しに購入可能という意味です。2025年11月現在、スイッチOTCとして約100成分が指定されています。
OTC医薬品に詳しい薬剤師の児島悠史先生によると、スイッチOTCとして認められるのは、医療用医薬品として有効性や安全性が確立していて、ほかの薬と飲み合わせが悪い、定期的に血液検査が必要というような扱いの難しさがないことなどが条件となります。製薬企業からの申請を受け、国の薬事審議会 要指導・一般用医薬品部会が審査し、承認されれば、スイッチOTCとして市販されます。「市販薬にスイッチされた直後は、まず薬剤師の対面販売を義務づける要指導医薬品として販売し、それで問題がなければ、第1類医薬品、第2類医薬品へと規制を緩めていくのが一般的です」。
スイッチOTCが承認・販売される流れ
医療用医薬品のうち、長年の使用実績があり、有効性や安全性が確認されている薬について、製薬企業が市販薬への転用(スイッチ)を申請する
↓
国の薬事審議会要指導・一般用医薬品部会が審査・承認する
↓
スイッチOTCとして承認される際に、薬の成分に応じて、要指導医薬品(購入時に薬剤師から対面で指導を受ける必要がある)、第1類医薬品(薬剤師による情報提供が必須)などの分類が設定され、市販される スイッチOTCになる際、製薬企業が消費者のニーズを満たす変更を加えることがあるそうです。「メントールなどの清涼成分を添加する、塗り薬の容器を“背中に塗りやすい形状”に変えるといった例があります。ほかにも、乗り物酔いの薬は市販薬のほうが味つけなども工夫されています」。 症状が軽い場合、スイッチOTCを含む市販薬は私たちの強い味方です。受診する時間がとれないときだけでなく、「例えば、インフルエンザと花粉症のシーズンが重なる時期、花粉症の治療には市販薬を使えば受診に伴う感染リスクを避けられます」。
スイッチOTCを含め、市販薬を使うときには薬の説明書をよく読みましょう。購入時には薬剤師に相談すると安心です。「一つの症状にも多くの種類の薬が選択肢になります。また、病院に行くべきかどうかもアドバイスできることがあります」。
なお、特定のOTC医薬品を世帯で年間計1万2000円を超えて購入した場合、所得控除を受けられます(セルフメディケーション税制)。
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