
お話を伺った方
山田 悟先生
やまだ・さとる 医師、医学博士。北里大学北里研究所病院病院長補佐、糖尿病センター長。無理のないゆるやかな糖質制限「ロカボ」を提唱し、日本における糖質制限のトップドクターとして、患者の生活の質を上げるために糖尿病治療に取り入れている。日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医。著書に『糖質疲労』(サンマーク出版)など、多数。
食事による食後高血糖や、血糖値の急上昇・急降下をあらわす「血糖値スパイク」は、生活習慣病の引き金になります。将来の病気リスクは、できる限り減らして健康で暮らしたいものです。そのために必要不可欠なのが、食事による血糖値コントロールです。
調味料など、炭水化物以外からの糖質摂取を考えると、ごはんは「茶碗半分」を目安に。外食でも「ごはん少なめ」を選びましょう。朝食抜きや、1日2食の生活は、空腹時間が長くなり、血糖値を急上昇させる要因になります。血糖値コントロールのためには、適正糖質を守りつつ、3食しっかり食べるのがおすすめです。
意外と盲点なのが、調味料の糖質量です。砂糖はもちろん、とろみづけの片栗粉、みりん、ケチャップ、ソースなどは糖質が多いので、使う場合は、ごはんをさらに少なくするなど、ほかで調整します。
てんさい糖やきび砂糖、はちみつなど、体にいいイメージの砂糖や甘味料は、栄養価は高いですが、血糖値の観点から言うと使いすぎには注意したいところ。料理で使う調味料も含めて「1食の糖質量を20~40g」にするのがポイントです。
セーブするのは、糖質量だけ。肉や魚、卵、大豆食品などのタンパク質、ドレッシングや炒め物、揚げ物で使う油は制限なく食べてOKなのが、ロカボのルールです。
特に脂質は、前回も解説したように、たっぷり摂ることが医学的に有効であることが証明されています。“悪者”とされてきた脂質ですが、生活習慣病を防ぎたいなら、油控えはしないほうがよいのです。
また、野菜はトマトや玉ねぎなど、意外と糖質量の多い食材もあります。どれか一つの食材に偏ることなく、いろいろな野菜をまんべんなく食べるように心がけます。
食べ方にも血糖値をゆるやかにするちょっとしたコツがあります。それは、脂質を先に摂ってから、最後に炭水化物(糖質)を摂ること。これを、「オイルファースト」と「カーボラスト」と呼びます。
先に食べるのは、肉や魚などのタンパク質でも、オイルドレッシングをたっぷりかけた野菜でも、どちらでも構いません。重要なのは、脂質を先に摂っておくこと。食事の初めに脂質を摂ると小腸から「GIP(ジーアイピー)」というホルモンが分泌され、血糖値を下げるインスリンの分泌を早めてくれる効果があります。GIPの分泌には20分ほどかかるため、その後に糖質を摂ると、血糖値の上昇にブレーキをかけてくれるのです。
20分を待たずに糖質を摂取してしまっては、効果は半減。早食いをやめて、ゆっくりと味わっていただきましょう。
多くの女性が気になるのは、おやつではないでしょうか。嗜好品は、食事の20~40gとは別で「1日に糖質10g以下」なら、我慢せず食べてOKです。例えば、板チョコ1枚の糖質量は約30gですので、1日1/3枚は食べても問題ありません。
ナッツ類は、良質な脂質やタンパク質を含み、どれも低糖質なのでおやつに最適。市販のエクレア1個は、少しオーバーしますが糖質15g程度ですので、その日だけ食事で糖質量を減らすのもありでしょう。
ここまで解説した通り、1食の糖質量は20~40g×3食、おやつは10g以下にして、「1日70~130g」に糖質を抑えるのが、ロカボのルールになります。
写真/PIXTA 取材・文/釼持陽子