最新研究が示す“疲れのメカニズム” 休んでも疲れが取れない本当の理由 最新研究から疲労の正体は脳の疲れだということが明らかになってきました。脳疲労のメカニズムの基本を押さえたうえで、脳の疲れを解消するための、日常生活で実践できる回復術をご紹介します。
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脳疲労を回復させる食事と睡眠の工夫
疲労回復対策として、まず起きている時間帯(昼間)の脳疲労をできるだけ軽減しましょう。
心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まる寒い季節は朝の過ごし方が大切です。起床して最初に行いたいのは、暖かい部屋の中で日光を浴び、寝ている間に失われた水分を補給すること。それから朝食を早めにとります。食事をすると副交感神経が活性化し、自律神経全体の機能が徐々に高まるからです。
【朝習慣】自律神経をやさしく目覚めさせる朝習慣
起きたらすぐに水を飲む50歳以降は血管の病気のリスクが高まる。起床後3時間以内に発症するケースが多いため、朝一番は水分を補給して脱水状態を解消しよう。
早起きしすぎない朝4時、5時に目覚めるのは体が老化してきているサイン。眠れなくても起床せず、布団の中で静かに過ごすのが、脳を疲労させないためにもベターだ。
なるべく早く朝食をとる交感神経が興奮すると疲れるだけでなく心血管イベント(心臓や血管の重大な病気)のリスクも高まる。起床後に朝食をとることで自律神経が穏やかに機能を高めてくれる。
散歩や運動は完全に目覚めてから散歩や運動など、体をアクティブに動かすのは、全身の機能が完全に目覚め、交感神経が優位になる午後がおすすめ。脳が疲れないための大切なポイントだ。
午前中はゆったり落ち着いて過ごすようにし、散歩や運動など体を動かすのは全身の機能が完全に目覚める午後に行うのがよいでしょう。
また、食事の際は疲労回復に効果的な食べ物を積極的にとりたいもの。自律神経の疲れを取るには脳までしっかり届き、かつ長時間効果が持続する抗酸化作用の強い成分が理想です。これらの条件を満たしているのが「イミダペプチド」や「EPA」、「DHA」で、なかでも脳内の酵素によって体内で合成することもできるイミダペプチドは疲労回復に速効性があります。この成分は鶏胸肉に最も多く含まれ、一日70グラム程度を摂取するのがよいとされています。
【呼吸法】3・4・5呼吸法で脳を冷やす
脳の冷却には鼻呼吸がポイント鼻腔は自律神経を司る視床下部の近くを通っているため、鼻から吸い込んだ空気で熱交換が行われ、昼間の活動で熱を帯びた脳を効率的にクールダウンすることができる。
鼻から3秒かけてゆっくり息を吸い込む。

息を4秒止める。視床下部と鼻腔との間では熱交換が行われている。

口から5秒かけて息を吐き、最後まで吐ききる。寝る前に涼しい室内でこの動きを3~4回くり返す。
脳は体内で最も発熱しやすく、のぼせやすい臓器なので、冷却することもその疲れを取るのに役立ちます。手早く冷却できる方法としては鼻呼吸がおすすめです。
【入浴法】睡眠効率を上げる入浴法
●40度のお湯に5分
●長湯しない
●スマホや本を持ち込まない
熱めの湯の全身浴は熱中症リスクがあるので注意冷え症には40度の湯に5分程度浸かるのがベスト。たとえば、42度の湯に30分浸かると深部体温が3度上がりほぼ全員が熱中症になる。浴槽の自動保温機能がONのままの入浴は危険。
そして、脳疲労の回復には睡眠が最も効果的です。といっても睡眠時間を長くすればよいわけではありません。睡眠の質が何よりも大切です。
【設定温度】よい睡眠を保つ部屋の過ごし方
脳の快適温度は意外と低い脳が疲れをため込まず、最も機能を発揮できる室温は22~24度。この温度は、筋肉量が少ない女性にとっては寒く感じることが多いので、脳は冷やしても体は衣類や布団で温かさを十分に保つ。
入浴法や寝室環境などをもう一度見直して、快眠を心がけることが脳疲労を回復させる近道です。
(次回に続く。)
家庭画報2025年12月号別冊付録より。