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ロコモ対策は40代から。ロコモを遠ざける運動や食生活、身近な医師の検索法も解説

2025.11.27

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知っておきたい女性のからだと健康 最終回(後編)ロコモティブシンドローム(運動器症候群、以下ロコモ)という言葉はすっかりおなじみになりましたが、まだ自分には関係ないと思っているのでは? 筋肉や関節、骨などの運動器の機能の衰えは、30代でもその兆候があらわれることがあります。埼玉県立大学保健医療福祉学部 准教授の山田恵子先生にロコモに気づく方法や対策について伺います。前回の記事はこちら>>

ロコモティブシンドローム

[お話を伺った方]
埼玉県立大学保健医療
福祉学部 准教授
東京大学医学部附属病院
リハビリテーション科/部
山田恵子先生
やまだ・けいこ 1999年東京大学医学部卒業後、同学部附属病院整形外科等を経て、2005年東京医科歯科大学大学院医療管理政策学修士、17年ハーバード大学公衆衛生大学院修士、18年東京大学医学部附属病院企画情報運営部勤務、22年から現職。博士(医学、東京大学)。日本専門医機構整形外科専門医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医/認定スポーツ医。

やまだ・けいこ 1999年東京大学医学部卒業後、同学部附属病院整形外科等を経て、2005年東京医科歯科大学大学院医療管理政策学修士、17年ハーバード大学公衆衛生大学院修士、18年東京大学医学部附属病院企画情報運営部勤務、22年から現職。博士(医学、東京大学)。日本専門医機構整形外科専門医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医/認定スポーツ医。

若いときからしのびよるロコモティブシンドローム

ロコモ度テストや整形外科の診察で体力や弱点を知り、運動や栄養で対策を

20代から体力は落ちる一方。歩けていても安心できない

山田先生によると、筋力やバランス力、柔軟性、持久力などを含む、いわゆる身体能力は「10代後半から20代前半がピークで、それ以降は落ちていく一方」とのことです。「例えば、普段の歩行速度は余力を残しているため、年齢が上がってもそれほど急激に低下しにくいのが特徴です。しかし、自覚がなくても調べてみると、下肢の筋力やバランス力などが落ちていることも珍しくありません」。

まだ自分にロコモは関係ないと思わずに、転倒などに気をつけながら、「ロコモ度テスト」(下)をやってみましょう。

日本整形外科学会 ロコモ度テスト

ロコモかどうか、あるいはその度合いを評価する方法として使われる「ロコモ度テスト」には以下の3つが含まれています。安全に留意すれば自宅などでもテストできます。正しい動きや判定の詳細は下記の「ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト ロコモ度テスト」を参照。

(1)下肢の筋力を調べる 立ち上がりテスト
両腕を組んで高さ40センチの台に座り、両足を肩幅に開く。反動をつけずに立って3秒間そのまま立位を保持する。それができたら、再び座り、片脚を上げて軽く曲げる。そのまま反動をつけずに片脚で立ち上がり、立位を3秒保つ。反対側も同様に行う。

(2)歩幅を調べる 2ステップテスト
足を揃えて立ち、できるだけ大股で2歩歩く。2歩分の歩幅(センチ)を身長(センチ)で割った数値(2ステップ値)を出す。

(3)体の状態や生活状況を調べる ロコモ25
運動器の症状の有無やその他の体の状況、生活の場での困難 の有無を尋ねる質問票。下記の「ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト ロコモ度テスト」では、回答を入力することでロコモ度を自動判定できる。

●日本整形外科学会 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト「ロコモ度テスト」
「片脚での立ち上がりは利き足ではできるけれど反対側では難しいなどと、左右で差があることもよくあります」。前回記事ロコモの兆候ロコチェックに該当した場合はなおさら対応が必要です。「40代からロコモの4つの兆候を意識し、ロコモ度テストにトライして、自分に合う対策を始めてください」。

痛みや息切れなどの症状がなければ軽い運動を続ける

ロコモの予防や治療のポイントは、適正な体重を保つこと、筋力トレーニング、十分な栄養です。 

山田先生は、もし歩行や階段の昇降の際に膝や腰などに痛みがある場合は整形外科の診察を受けるべき、と強調します。「痛みには命にかかわる重大な疾患が隠れている場合があります。診察や検査でそれを除外し、状況や原因を把握することで運動などの方針を立てられます」。また、急性期の痛みが慢性に移行したり、治療しても痛みがなくなるまでの時間がかかったりするため、痛みは放置しないほうがいいのです。

ロコモに詳しい身近な医師を検索する

日本整形外科学会では、ロコモの知識を持ち、予防意識を啓発している医師を検索できるページを設けています。同学会所属の専門医「ロコモアドバイスドクター」、整形外科専門医ではない幅広い領域の医師「ロコモサポートドクター」、また、ロコモアドバイスドクターやサポートドクターのうち、がんロコモ(後述)の相談を受けられる「がんロコモドクター」を検索できます。

●日本整形外科学会ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト「あなたの街のロコモドクター」
ロコモの引き金となりやすい整形外科系の患者数の多い疾患としては、骨がスカスカになり、骨折しやすくなる骨粗しょう症、膝の軟骨が減り、関節のすき間が狭くなって痛みが出る変形性膝関節症、椎間板が変性する腰部脊柱管狭窄症、動脈硬化によって足の血管が詰まって歩くと痛みが出る閉塞性動脈硬化症などが挙げられます。

ロコモとメタボは重なりやすく、お互いを悪化させる

山田先生と千葉大学などとの共同研究では、ロコモになった人とメタボリックシンドローム(メタボ)になった人の重なり具合が明らかになりました。

2021年度に埼玉県さいたま市の人間ドックでロコモ度テストを含む健診を受けた約3万5000人のうち、ロコモは約15パーセント、メタボは約7.5パーセントで、ロコモ該当者の割合はメタボ該当者の約24パーセントでした。この数値は非メタボ該当者の約15パーセントに比べて有意に高く、メタボ該当者はロコモが重なるリスクが 1.87倍に上がることが明らかになりました。特に重複率が高いのが50代の男女で、メタボ該当者の男性の32パーセント、女性の約53パーセントがロコモであり、非メタボ該当者の2倍以上でした。また、この50代の重複層では、高血圧、糖尿病、脂質異常症の治療をしている人の割合が高いこともわかりました。

「ロコモとメタボはお互いを悪化させ、心血管疾患や脳血管疾患、整形外科系疾患の発症や要介護になるリスクを高める可能性があります。特に50代のうちからロコモとメタボの両方を同時に調べる仕組みが必要であると考えます」
なお、ロコモと重なるような概念に運動器不安定症があります。これは「高齢化にともなって運動機能低下をきたす運動器疾患により、バランス能力および移動歩行能力の低下が生じ、閉じこもり、転倒リスクが高まった状態」を指します。整形外科疾患の既往や罹患、運動機能検査の結果など一定の診断基準を満たして運動器不安定症と診断された場合には、保険 診療で運動器リハビリテーション を受けられます。

また、「歩くと息切れや動悸が強いといった状態に気づいたら、内科を受診してください」。

前記のような痛みや内科的な症状がなければ、片脚立ち、スクワットのほか、かかとを上げるヒールレイズ、片脚ずつ前に大きく踏み出して腰を真下に落とすフロントランジ、できるだけ大股で歩く、などの運動を積極的に行うと効果的です。

ロコモを遠ざける運動と食生活

ロコモの予防や治療の鍵は、適正体重の維持、運動と栄養です。

日本整形外科学会では、ロコトレ(ロコモーショントレーニング)や食事のポイントをロコモティブシンドローム予防啓発公式サイトやパンフレットで紹介しています。

バランスのよい食事をするために覚えておきたいのが「さあにぎやかにいただく」という合い言葉。ロコモチャレンジ!推進協議会が、東京都健康長寿医療センター研究所が開発した食品摂取多様性スコアを構成する食品群の頭文字から、考案しました。ここに挙げた食品から毎日7種類以上を目安に食べることが推奨されています。「毎日7種類以上が難しければ、3日間のうちにこの食品を食べよう、というくらいの気持ちで実践していただくといいと思います」。

さ=魚 あ=油 に=肉 ぎ=牛乳 や=野菜 か=海藻 (に) い=芋 た=卵 だ=大豆 く=果物

●日本整形外科学会ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト「ロコトレ」

●日本整形外科学会ロコモパンフレット2025年度版
「高齢になると、筋トレを継続しても、それほど筋肉量は増加しないことが多いです。しかし、機能は間違いなく向上するのであきらめる必要はありません。体の見た目はあまり変わらなくても、バランス能力、総合力が上がっています。また、身体活動は月に数回であっても、しない人に比べてロコモの予防効果が期待できる可能性があるという報告もあります。筋肉がなかなかつかないとがっかりせず、筋トレを続けていただきたいと思います」。

がんと併存しがちなロコモ。詳しい医師に相談を

がんになったとき、がん自体によって、あるいは治療によって運動器に問題が起こることがあり、それが原因でロコモになるリスクが上がります。また、もともとロコモである、あるいはロコモの兆候があった場合、がんによってロコモが進行するケースもあります。そうすると移動機能が落ち、日常生活に不便が生じて要介護リスクが高まります。また、がんの治療の継続に差し障りが出ることも考えられます。

「日常生活の質を向上し、がんの治療を継続するためには体力をつけ、移動できることが重要です。がんになると安静を優先して動くのが怖くなったり、運動器の痛みをがんやその治療による痛みと考えてしまったりすることがあるので、がんの主治医やリハビリテーション医、整形外科医、緩和ケア医などに相談してみましょう」と山田先生。日本整形外科学会では、がん患者さんのロコモについて相談できる「がんロコモドクター」制度を設けており、がんとロコモに詳しい医師に相談することができます(検索方法)。


連載「知っておきたい女性のからだと健康」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2025年12月号

家庭画報 2025年12月号

取材・文/小島あゆみ

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